「世界で一番甘い桃」と聞きつけて早速行ってきました!
"世界で一番甘い桃"と聞いて、早速、産地へ行ってきました。
60年前にイギリスで誕生した"ギネスワールドレコーズ"が集めた様々な世界一の記録が、ギネス世界記録です。そこに2015年5月末、"世界一甘い桃"として、日本の桃が認定されました!
記録された糖度は『平均糖度22.2度』。ピンとこないかもしれませんが、産地ブランドの桃の場合、多くは最高ランクが糖度13度以上基準ですから、22.2度というのは驚異的な甘さなのです。
山梨、福島、和歌山、岡山......日本には、桃名産地がいくつもありますが、いったいどの県が世界一の桃を作り出したのか?その産地は、意外にも"大阪"です。
江戸時代から300年の歴史を誇る、勇壮な"だんじり祭り"で有名な岸和田市の、"包近(かねちか)"は府下最大の桃産地です。そこに、ギネスに認定された桃の生産者、松本隆弘さんがいます。
"桃山"、"桃谷"など桃にちなんだ地名の多いことからもわかるように、大阪は、古くから桃の栽培に適した土地でした。全国的知名度は低いものの、特に包近は明治から続く名産地であり、松本さんも地元で愛される地域ブランド"包近(かねちか)の桃"を守るために取り組んできました。
松本さんのギネスへのチャレンジは、足掛け3年に及ぶ長いものでした。
2012年、松本さんは長年培った高糖度栽培の技術をもって、日本国内の分析機関で糖度を測定したところ、なんと驚きの糖度23度という記録が出たのです。
その結果をギネスに送ったところ、戻ってきた答えは「農作物の美味しさを競うカテゴリが無い」。そう、過去にない記録のためギネスも認定が出来ないというのです。
しかし「興味がある」としてギネスは、基準として"糖度22度以上"さらに「日本基準ではなく、世界基準での分析」を求めてきたのです。これが大変な難題で、その時点では、日本の分析機関でギネスが求める基準での判定ができませんでした。
翌2013年は、行政や関係機関に協力を仰ぎ、何とか再申請できる体制を整えますが、その時には桃のシーズンは終わってしまっていたのです。
そしてさらに2014年。松本さんは、満を持してギネス基準で計測した"糖度22.2度"を持って申請をしますが、判定員はそれでも首を縦には振りません。
果たしてそれが"果物"として存在している状態だったのか、"栽培履歴"や"生食が出来る状態だった事の証明"まで求められたのです。
「ハンコが押してあるのに、『サインじゃないとダメ』なんて言われるんだよ」と、当時を振り返る松本さん。それでもめげず、求められることをすべてクリアにして、ついに、"世界一甘い桃"として認定されたのです。
松本さんがギネスにチャレンジした理由は、農業者としての誇りもありますが、それ以上に、「桃業界に希望を与えたかった」から。
前述のように、いつだって桃の名産と言えば挙がるのは、山梨、福島、和歌山、岡山など。
ここでは変化することなく停滞した空気の中、桃を作り続けるしかなくなっていると感じていました。
しかし、「いちご業界やりんご業界は、もっともっとシビアな戦いをしている」ことは、知っています。その風を、地元に吹き込もうとしたのです。
「桃全体の数からいったら見向きもされない産地から世界チャンピオンがでたら、日本中びっくりするでしょ!」これを機に桃業界全体が競い合い、その中で地元「包近の桃」も盛り上がっていく...そんな未来を思い描いているのです。
松本さんの桃はこの日が初選果。見守っていると早速、糖度18度の桃が出ました!
凄すぎる...6月中旬の桃と言えば糖度11度がでれば良い方で、桃の香りはするが味が薄い...というもので、この数値です!
最盛期でも糖度15度を出せる職人級の農家さんが、日本中に何人いるでしょうか。
その場で味見をさせてもらいました。香りがしっかりと有り、果汁が溢れて後味も濃厚!
この時期の桃とは思えません!!
間違いなく、世界を代表する美味なる桃です。
松本さんのチャレンジにより、ギネス世界記録に新たに加わった「農作物の美味しさ」というジャンル。世界から注目を集めること、間違い無いでしょう。今こそ、日本の農業の強さを示すチャンスかもしれません。
松本さんはチャンピオンベルトを手に、世界の桃農家からのチャレンジを待っています!
今回の筆者:うまいもんドットコム
うまいもんドットコムでは全国各地から通年で3,000品以上の美味しい食の逸品をご紹介しております。 日本の季節の移り変わりに合わせて、旬の極上素材やここでしか買えない新品種の果物を、信頼できる生産者や築地市場から直送します。http://www.umai-mon.com