「プレミアム商品券・宿泊券」、明暗分かれる...「2割しか売れない」自治体も
国が緊急経済対策の目玉として投入した、総額4200億円に上る地方創生交付金。これを使って自治体が続々と発行しているのが、「プレミアム付き商品券」「ふるさと名物商品・旅行券」だ。
前者が地元民、後者が観光客などをそれぞれ対象にしている、という違いはあるものの、基本的には同じシステムで、「プレミアム(割り増し)」の名前どおり、購入額よりも多くの支払いに充てることができる。
鳥取の宿泊券は大好調
例えば、6月24日からコンビニで発売される千葉県の宿泊券は、購入額1枚2000円で額面は4000円。つまり割引率は50%に達する。
いち早く発売したのは鳥取県だ。4月1日、全国のコンビニで午前9時に販売を開始したところ、用意した1万4000枚がたった4分で売り切れた。
額面1万円を5000円で発行したこともあって、テレビや新聞でも大きく取り上げられた。
購入者の住所は、大阪・広島・兵庫の3府県で全体の約54%を占めた。県外から観光客を誘致する起爆剤となり得ることを証明した形だ。
このほか静岡市の「家康公400年祭記念プレミアム付商品券」の場合、倍率は約1.2倍となった。
また千葉市は、1万円で2000円のプレミアムが付く商品券の予約を受け付けたところ、応募数が発行数を約3倍上回ったと発表した。
メディアでも大きく取り上げられ、ふるさと納税ブームの再来を思わせる人気を博しつつある自治体の「プレミアム」券。ところが、今一つ人気が伸び悩んでいるところも出ている。
おみやげ券や商品券がいまいち売れてないのはなぜ?
島根県が発行する県外者向けの「プレミアム宿泊券・おみやげ券」は、6月5日にネットで第1期の申込み受付を開始し、15日に締め切った。
宿泊券は予定の10万枚を超えた。一方のおみやげ券は、予定冊数13万3333のうち約2割の申込みにとどまった。県は7月中旬にも再募集するという。
宿泊券が額面5000円/販売額2500円と割引率が50%なのに対し、おみやげ券(1000円×5枚綴り/冊)は額面5000円/販売額3500円と割引率はやや低い。おみやげ券の方が不振なのは、あるいはそうした事情もあるかもしれない。
もっとも取扱店は土産物店に限らない。スーパーやドラッグストアチェーンの一部店舗も取扱店になっている。その店に置いてある商品なら、タバコと保険適用のある薬、商品券、などを除き、たいていの商品は買える(飲食の支払いには使えない)。
4分の1しか予約が集まらないところも...
同じく、なかなか振るわないのが岐阜県関市。
1万円で1万2600円分使え、セット内容は以下の通り。6月5日~20日の16日間、購入希望者は官製ハガキで事前に申し込む。
(1)大型店・中小店でも利用できる「全店共通券」1000円券が6枚
(2)中小店だけで利用できる「中小店専用券」1000円券が6枚
(3)地域振興券600円が1枚 ※市内旧武儀郡五町村の温泉・道の駅で使用可
関市の商品券も予約が伸び悩んでいる。18日付けの中日新聞によると、16日現在で、予約数は総セット数の約4分の1にとどまっているという。
このほか、愛媛県の「愛顔(えがお)のえひめ商品券」も、6月12日付愛媛新聞(ウェブ版)の記事によれば、総じて4割程度の予約に留まったという。足利市も予約が発行総額の半額以下となり、急遽窓口での再発売に踏み切ることとなった。
自治体の実に97%が発行するという一連のプレミアム商品券。売れ行きに差が出るのは当然といえば当然だが――今後の行方は果たして。