現地調査!放置自転車「都内最悪」アキハバラの現状を探る
放置自転車といえば郊外の駅前のイメージが強い。ところが今、東京都内で多いのは中心部の主要駅だ。
2015年3月30日、東京都は駅周辺における放置自転車台数を公表した。台数が最も多かったのは、オタクの街で知られる「秋葉原」で872台。2位は利用客数世界一の「新宿」で677台。以下、「赤羽」が663台、「錦糸町」が597台、「浅草(TX)」が514台と続く。
都全体で見れば放置自転車の台数は着実に減少している。駐輪場設置に積極的に努めた結果、ピーク時の1990年と比較すると約6分の1まで縮小した。ところが秋葉原に限っていえば、2013年から189台も増えている。
都の調査は2014年10月の平日午前11時頃に行われた。
ならば午後の秋葉原はどうなっているのか。平日と日曜の計2日、Jタウンネット編集部は秋葉原駅一帯の放置自転車の実態を探った。
山手線・京浜東北線の東側がひどい
最初の調査は平日の15時~18時頃に実施した。天気は晴れ。
真っ先に向かったのは秋葉原界隈で最も大きい商業施設、ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaの前。ざっと数えたところ65~70台ほどあった。
マルチメディアAkibaには専用駐輪場があって、自転車は約150台が収容できる。料金は1回400円だが5000円以上の商品購入で無料となる(自転車の場合)。
入口にいた警備員に尋ねたところ、「よほどのことがない限り、土日祝日でも満車になることはありません」という。自転車を放置している人は、数百円を惜しんでいるのか、それとも預ける手間が煩わしいのか......。
コイン駐輪場の状況とは
時間貸しのコイン駐輪場はほかにもある。
駐車場綜合研究所が管理・運営している駐輪場は全部で6カ所ある。下の図の(1)~(6)がそれで、料金システムは一緒。最初の2時間は無料、10時間までは100円、その後5時間ごとに100円がかかる。
駅の改札口に近いほど利用率は高い。「秋葉原駅中央高架下自転車駐輪場」は99台のうち空きは6台しかなかった。また、ガンダムカフェの横にある「秋葉原駅西側高架下自転車駐輪場」はほぼ満車状態で、69台中2台しか空いていなかった。
曜日と時間帯によっては満車になることもあるだろう。「秋葉原駅公園自転車駐輪場」は44台中空きは4台だったが、その横に大量の自転車が放置されていた。利用しようとしていたとき、満車だった可能性も否定できない。
昭和通り沿いの自転車は通勤・通学客か
マルチメディアAkiba前以上に放置自転車が目立つのは、駅東側の昭和通り沿いだ。直下を東京メトロ日比谷線が走っており、乗換客で終日ごった返している。
地下鉄の地上出口付近は放置自転車でいっぱい。放置自転車にマナーもへったくれもないのだが、駅東側と比べて止め方が大胆な印象を受ける。
しばらく観察していると配送車がやってきた。商品の運び出しに難儀している様子。マナー違反が生む社会的ロスにため息が出る。
昭和通りは道幅が広い。秋葉原駅付近の中央分離帯には駐輪場が設置されている。JR・東京メトロの両駅改札口に近く、通学・通勤客向けの好立地といえる。空いているようにも見えたが、ここは登録者中心の駐輪場で、時間貸しは30台しか収容できない。
中央通りより西側は駐輪場が少ない
こんどは駅の西側をまわった。東側と比べて時間貸しの駐輪場は少ない。
ソフマップやドン・キホーテの店舗が多く立地する中央通りは、秋葉原のメインストリートだ。外国人観光客が記念写真を撮る光景をよく目にする。
昭和通りやヨドバシカメラ前ほどひどくはないが、交差点付近に放置自転車がたまっている。他のエリアよりもママチャリ率が高い。ぶらり買い物に来た人が放置しているのだろうか。
裏通りにもあふれる自転車
裏通りを歩く。小さい雑居ビルにPCパーツ店やフィギュアショップ、メイド喫茶などがひしめくディープなエリアだ。来客用の駐輪場を用意できている店は多くないと思われる。
公園や宗教施設の脇に自転車を放置するケースが目立つ。その密度は中央通りよりも高い。
マンション前に自転車やバイクが放置されているのも目につく。千代田区以外の原付ナンバープレートは珍しくない。
ここからは仮説だが、この界隈で働く人が駐輪しているのではないか。
同じ場所を日曜もまわったが、放置自転車の数は平日より明らかに多かった。秋葉原全域にある駐輪場をフル活用しても足りないだろう。