池袋だけに!? 西武池袋本店の屋上に「池」ができました
JR池袋駅東口にある西武池袋本店は、長さが500メートルくらいある巨大ビルだ。年間来店客数は7000万人を超える。その存在の大きさたるや、駅前巨艦といっても過言ではない。
2015年4月29日、同店9階屋上に「池」ができた。
確か池袋って低湿地だったんだよね...
地名が示す通り池袋は元々低湿地だった。西口にある碑には次のように記されている。
「むかしこのあたりに多くの池があり、池袋の地名は、その池からおこったとも伝えられている。池には清らかな水が湧き、あふれて川となった......」。
そんな池袋とはいえ、ビルの屋上に池ができた、とはどうしたことか。筆者は現場に向かった。
絵画から飛び出たような空間!?
天候が良かったこともあり、同百貨店は家族連れで賑わう。かきわけるようにして屋上へ辿り着くと、美術の教科書で見たことのある景色が広がっていた。
19世紀から20世紀にかけて活躍した印象派画家クロード・モネの世界が再現されているのだ。
アルバやサニーピンクといった睡蓮が咲き、その上にバラのアーチを配した太鼓橋が架かっている。その周囲には季節の花が咲いている。今の時期ならニホンサクラソウやフジを愛でることができる。
ミニ遊園地が空中庭園に生まれ変わった
かつて同屋上はミニ遊園地として賑わっていた。小さなメリーゴーランドやアスレチック、乗馬マシンの動作するコイン遊具、ゲーム機、スナックコーナーなど、昭和時代に少年少女だった人にとっては懐かしい思い出だ。
しかし時代の流れとともに遊具は徐々に撤去され、ビアガーデンが開かれる夏場を除き、訪れる人はまばらだった。
寂れまくっていた9階屋上は、憩の場として再生された。新しい名称は「食と緑の空中庭園」。壁は植物に覆われ、園内の左右に人工池「睡蓮の庭」、フィッシュショップ、ガーデニングショップを配している。
レストラン&バーの「ラ テラス」、スナックを提供する10のショップ、1968年から営業を続ける手打うどん「讃岐かるかや」もある。あの漫画「孤独のグルメ」にも登場した店だ。行列は最も長かった。
この屋上が家族連れでこんなに賑わっているのは、四半世紀くらいなかったのではないか。近くにいた中年女性は「こんな光景、超久しぶりじゃない?」とつぶやく。
中央部にはウォーターテーブルがあり、水面を眺めながら食事を楽しめる。
遠くに見えるサンシャイン60は昔のままだが、内部ではリニューアルが進む(参照:「ふなっしー×ラスカル」コラボに見た、池袋が「BUKURO」に進化する日)。
昔はパルコの屋上につながる通路があったが、現在は往来できないようになっている。
その点は正直残念だったが、子供中心から3世代楽しめる空間に「経年進化」を遂げたのは高く評価できる。
5月末日まで「串フェス」が開催されている。次回はそちらもレポートしたい。