勘違いしてませんか? 茨城県民の日は「茨城県ができた日」じゃありません
県民の日=県誕生の日ではなかった
実際、茨城県の県民の日を定める条例が公布・施行されたのは1968年のことだが、条文には県設立の日=県民の日とは一言も書いていない。
観光いばらきのウェブサイトにも、以下のように記載されている。
「明治維新後に進められた『廃藩置県』。統廃合が行われた1871年(明治4年)の11月13日に、はじめて『茨城県』という県名が用いられたそうです。(当時は、現在の茨城県域には『茨城県』『新治県』『印旛県』がありました)
明治元年から100年目の1968年(昭和43年)に制定された『県民の日を定める条例』により、この11月13日が『県民の日』と定められました」
全国入試問題研究会は茨城県立歴史館と県広報広聴課に対しても質問状を送っている。歴史館の回答によると、次の2点が「県民の日」制定の決め手になったようだ。
(1) 茨城県の初代参事、山岡高歩(山岡鉄舟)が着任したのが11月13日だった
(2) 毎年11月13日、県庁が開設された弘道館で功績表彰などを行っていた
また広報広聴課は上記(1)に加え、「1872年11月13日に初めて茨城県という名称が『明治史要 全』において用いられた」ことを挙げている。
新政府が編纂した国家史、明治史要の刊行が開始されたのは1876年以降のことだが、確かに11月13日と記されている。上記の観光いばらきの説明はこの説に拠ったものだろう。
このあたりの事情がいつしか忘れられてしまい、「県民の日=県が生まれた日」と思い込んでしまったことが、今回の出題ミス(?)の原因のようだ。
なお同時に誕生した埼玉県と大分県は11月14日を県民の日としている。
それにしても、IIIの文章を「同じ年の11月に」としておけば何の問題もなかったのに......。