うどん県何やってんの...香川県が極秘飼育していたポケモン「ヤドン」800匹に逃げられる
四国新聞は香川県高松市に本社のある地方紙だ。地元・香川に密着した紙面で、2014年5月26日の一面トップは「かけうどん15円値上がり」だった。
4月1日、香川県民に驚愕の事実が知らされる
2015年4月1日、同紙の朝刊を開いた読者は驚いた。紙面に「極秘プロジェクト目的で香川県が極秘に飼育していた謎の生物『ヤドン』が集団脱走した」――という広告記事が掲載されていたからだ。
香川県ヤドン研究センターは、こう注意を促す。
「ヤドン800匹脱走 ご注意ください」
さらに同日6時、香川県公式観光サイト「うどん県旅ネット」にヤドンの特設ページが開設された。新聞とほぼ同じものが閲覧できる。
ヤドンは、ポケットモンスターシリーズに登場するキャラクターだ。ピンクの肌で短い4本足。高さ1.2メートル、重さ36キロ。長い尻尾からは、栄養分はないが甘みのある液体が出る。
ヤドカリ+鈍感から命名されたようで、動きは緩慢でおとなしい。のほほんとしている。どこかとぼけた外見から、ポケモンの中でも比較的人気がある。
さて、問題の記事によれば、水不足に陥りがちな香川県は、ヤドンがあくびをすると雨が降るという言い伝えに着目していた。1964年に瀬戸内海の無人島に研修センターを設立して飼育を開始、あくびと降雨のメカニズムを解明しようと研究を続けていた。
雨乞いプロジェクトは日の目を見ることなく昨年終了したが、11月からは「しっぽに含まれる甘味成分の分析と再現」に研究テーマを方向転換し、新たな甘味料の開発に取り組んでいた。800匹の大脱走はその矢先に起きた――ということらしい。
全国からヤドン目撃情報が多数
号外が「目撃情報をツイッターでお寄せください」と呼び掛けたところ、昼の13時現在で410匹の情報が寄せられた。
情報提供者の投稿を見る限り、大きくなったり小さくなったり、そのサイズはいろいろだ。
洗濯物干し場に3匹 #sanukiyadon pic.twitter.com/eXSrHzQXoA
— 古葉一樹=唐揚げ定食P (@ituki_furuha) 2015, 4月 1
ヤドンうどん
#sanukiyadon pic.twitter.com/g4Jha9BaMj
— dareだよー (@omaedaredayoo) 2015, 4月 1
近所のぬこと一緒になんかいると思ったらココんちのヤドンだったのか。http://t.co/rVJCvFftwb #sanukiyadon pic.twitter.com/TO9k8LjBuV
— アマルスこいた (@amaura_KOITA) 2015, 4月 1
ヤドン...なんでか郵送についてきたんだけど、手乗りサイズですごく癒される。 #sanukiyadon #3DS pic.twitter.com/j3o1VzadwO
— かたわれている (@redfox_scale) 2015, 4月 1
ヤドン、ランチにうどんを食べて巨大化。
#sanukiyadon pic.twitter.com/3Zbb1uowuD
— うどん (@Fruity_Journey) 2015, 4月 1
Jタウンネットにもヤドン出没!?
もちろんこれはエイプリルフールネタだが、ニュースに接した人たちは結構ノリノリ。本日中に800匹集まるかもしれない。
県の担当者によると、「目撃情報ページについては、800匹集まった時点で『ご協力ありがとうございました!』で一区切りつける予定ですが、特設ページは何らかの形で残すことを考えています」とのこと。
ヤドンのPNG画像は特設ページに8種類アップされている。
編集部も1匹つく...周辺を捜索したところ、ヤドンを目撃した。まさか東京まで逃げているとは。ヤドンが狙っているのは東京・牛込の銘菓「おっぱいちゃん」である(参照:男のロマンがここに...新宿区牛込の銘菓「おっぱいちゃん」を食す)。
なお、号外に書かれている希少糖の話はジョークではない。
県は産学官が連携した「希少糖プロジェクト」を立ち上げている。商品化された「レアシュガースウィート」は天然由来成分でできていてノンカロリー、それでいて甘味は砂糖の70%程度もある。2014年日経優秀製品・サービス賞 最優秀賞を受賞した。
「うどんだけじゃない」を地で行くあたり、香川県の巧みなPR戦略に感心するばかり。うどんとヤドンでは、一文字しか変わってないじゃないか!というツッコミはひとまず置いておこう。
なお、このエイプリルフール企画は株式会社ポケモンから県に持ち込まれ、今回はじめて実現したという。