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勝手に決定! 埼玉西部の2大都市「川越」と「所沢」はどっちが格上か

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2015.04.01 06:00
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東京の池袋を歩く人の約8割は埼玉県民という俗説がある。それが本当か否かは不明だが、池袋駅を起点とする東武東上線と西武池袋線は、どちらの路線も埼玉県西部を結ぶ。

東上線沿線の最大都市は「川越」で、一方の池袋線は「所沢」。池袋からの所要時間も人口規模も似ている両市はお互いを意識する存在だ。

写真右が所沢市の西武プリンスドーム、同左が東武東上線川越駅構内のポスター(写真は編集部撮影)
写真右が所沢市の西武プリンスドーム、同左が東武東上線川越駅構内のポスター(写真は編集部撮影)

一体どちらの市が、町としての実力が「上」なのか。様々な角度から比較した。

人口はいい勝負

独自の歴史を持つ両市だが、戦後、東京のベッドタウンとして大きく発展した。
川越は埼玉で最初に市になった都市だが、1996年から14年間、所沢が人口数で上回っていた。ところが2010年に川越が再逆転、その差は広がりつつある。

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川越と所沢の人口推移(編集部作成)

これだけ見ると所沢の勢いが衰えているよう見える。ところが面積では川越の方が約1.5倍も広い。しかも川越がほぼ平地なのに対し、所沢は「トトロの森」で知られる丘陵地帯だ。可住地面積は川越の61.3%しかない。

所沢の中心部には高さ110メートル超の高層マンションが何棟も建っている。フォーラスタワー所沢、所沢スカイライズタワー、グレーシアタワーズ所沢はいずれも地上31階建て。これらに匹敵する高い建物は川越に存在しない。高層マンションを建設する計画は幾度もあったのだが......。
遠くから街並みを見る限りでは所沢の方が都会に見えるが、人口規模で川越の勝ち。

東京から近いのは所沢、電車賃も安い

東京都に境を接する所沢は池袋までの距離も近い。東武鉄道の運賃設定が高めというのもあるけれど、池袋までのIC運賃は120円以上も違う。1996年から約14年間、所沢の人口が多かったのは、このあたりに理由があるのかもしれない。
しかも東武東上線は人身事故の発生率がとても高く、シャレにならないほど列車がよく停まる。
同線と西武池袋線は東京メトロ有楽町線・副都心線に入れる。相互乗り入れ分を加えると本数で東武東上線が上回るが――鉄道は所沢の勝ち。

両市の位置関係(編集部作成)
両市の位置関係(編集部作成)

そんな所沢にも弱点がある。上の地図を見れば分かる通り、市の中心部が西武線にUの字に囲まれているのだ。同市内の立体交差は進んでおらず、踏切渋滞がしょっちゅう発生する。そして幹線道路なのに片側一車線も数多く残る。
古い街並みを残し、道の狭い川越の渋滞もひどいけれども、所沢は車を運転していて本当にストレスがたまる。
道路事情では川越の勝ち。

実は工業の盛んな川越

埼玉県西部を通っている高速道路は関越道と圏央道の2つ。IC(インターチェンジ)は両市内に1カ所ずつあるが、使い勝手がいいのは明らかに川越ICの方だ。

その周辺には川越狭山工業団地がある。企業の入居が始まったのは1964年だが、248万平方メートルの工場団地は当時、日本一の規模だった。
製造品出荷額等で川越市は、深谷市と狭山市に次ぐ3位を占めている。前は今よりも順位が上だった。
経済力でも川越の勝ち。

両市の基礎データ(東洋経済新報社の「都市データパック2014年版」をもとに編集部作成)
両市の基礎データ(東洋経済新報社の「都市データパック2014年版」をもとに編集部作成)

駅前の賑わいも川越が勝利

江戸時代からの伝統をもつ商都・川越。中心駅はJR・東武東上線川越駅で、乗降人員数で所沢駅の約2倍ある。
同駅から北に広がる「クレアモール」。県内で最も人通りが多く、ファストファッションブランド「ZARA」「GAP」の路面店だってある。その賑わいや所沢どころか、浦和や川口、熊谷をもしのぐ(参照:東京五輪で活気づく小江戸・川越に、2015年大異変が!?)。

両市にある鉄道駅の1日平均乗降人員(編集部作成)
両市にある鉄道駅の1日平均乗降人員(編集部作成)

対する所沢駅はというと、西武百貨店とダイエーこそ健在だが、丸井はパチンコ屋になってしまった。メインストリートのプロぺ通りは、飲食店やチェーン店ばかりで個性的な店はほとんどない。
商業でも川越が勝っている。

娯楽施設は所沢の圧勝!だが観光客数は...

押されっぱなしの所沢にも優れたところがある。西武プリンスドームや西武園ゆうえんち、狭山スキー場などレジャー施設が充実していることだ。所沢航空発祥記念館には日本初の国産軍用機・会式一号機、戦後初の国産ジェット練習機・T-1B、戦後初の国産旅客機・YS-11などが展示され、フライトシミュレーションも設置されている。トトロの森、狭山湖といった自然環境も豊かだ。
川越のレジャー施設といったら県営の川越水上公園くらいだが、残念なことに夏場しか営業していない。

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西武園ゆうえんち(OHTAKE Tomohiroさん撮影、Flickrより)

年間観光客数で見ると所沢は500万人台で、そのうち約4割が埼玉西武ライオンズの観客が占める。

それでも小江戸のブランド力には勝てない。川越の年間観光客数はついに650万人を突破、この20年で約2倍に増えている。

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川越の蔵づくりの街並み(yendo0206さん撮影、Flickrより)

観光・レジャー施設に関しては引き分けといったところか。

駅前再開発で所沢は生まれ変わるかも?

鉄道以外はいいところのない所沢だが、逆転の余地はないのだろうか。

所沢駅は2013年6月に駅舎の改良工事を完了したばかりだが、さらに東口と西口で大規模な再開発計画が控えている。
敷地面積は東口が1万9000平方メートル、西口が5万3000平方メートル。西日本最大級のショッピングモール「阪急西宮ガーデンズ」とほぼ一緒だ。
道路事情が改善されないまま大型商業施設ができることの不安も残るが、所沢が西宮北口や二子玉川のような街に変わる可能性だってある。

将来性では所沢に軍配を上げたい。

所沢駅東口・西口開発計画(西武グループ公式サイトより)
所沢駅東口・西口開発計画(西武グループ公式サイトより)

バブル全盛期、西武グループの総帥だった堤義明氏は世界一の富豪と呼ばれた。西武ライオンズも黄金時代で、所沢のステータスも高かった。納税者1人当たり所得で所沢が川越を上回っているのはその名残りといえそうだが、現段階では川越の方が「上」なのは認めざるを得ない。

2014年4月、西武ホールディングスは東証一部に再上場を果たした。眠れる獅子が目を覚まし、所沢の名を再び天下にとどろかせる日はやってくるだろうか。

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