なぜ? 日本一「パチンコ」が盛んな鹿児島県の地域性
日本のいたるところにあるパチンコ・パチスロ店。駅前の一等地に出店しているのをみると、さぞ羽振りがよさそうに見えるけれども、市場規模は20兆円を切り、遊技人口は減少している。
当然のことながら店舗数も減少傾向にある。1990年に全国で1万6704あったパチンコ・パチスロ店は、2013年に1万1893まで減少。23年間で約29%もなくなった計算だ。
地方は繁華街もテレビCMもパチンコだらけ?
一方で「地方に行ったらパチンコホールが多いのにビックリ」「深夜のテレビはパチンコのCMがひたすら流れる」という声もある。地方は大都市圏ほど娯楽施設が揃っておらず、ヒマつぶしに来店する人が多いという指摘がある。それでもネットやスマホゲームの登場で、20~30代のパチンコ離れは止まらないようだが。
Jタウンネットは、全日本遊技事業協同組合連合会が公表している「平成25年度 遊技場店舗数、遊技台数一覧表」をもとに、都道府県ごとの「遊技場」――パチンコ・パチスロ店の数を調べた。
絶対数でいうと東京や大阪、愛知が上位に並ぶが、10万人当たりの店舗数に直すと全国のトップは鹿児島だ。東京の約1.8倍の15.4店もある。
県内随一の繁華街として栄えた天文館商店街は、今やいたるところにパチンコ店がある。しかも平日でも客が入っているという。
明治維新をリードした鹿児島。江戸時代に武士の子弟が受けた禁欲的な「郷中教育」は広く知られている。西郷隆盛に代表されるような、金銭に執着しない人間が多いイメージがあり、ギャンブ......いや遊技に手を出す人は少なそうなのだが......。それも遠い昔の話なのか、それはそれ、これはこれなのだろうか。
上の図表の都道府県マップで青色になっているのは全国平均以下で、赤色は全国平均以上。南関東や大阪・和歌山を除く関西、北陸、福岡は青=10万人当たりの店舗数が少ないが、北海道・東北、そして北関東は赤い。東九州と岡山を除く中国地方も同様だ。
南関東は台数も全国平均以下
今度は遊技台――パチンコ台とパチスロ機の合計をまとめた。
10万人当たりの台数で、南関東と京都・奈良・兵庫の関西3県が平均を下回っているのは変わらないが、九州地方は全部「赤」、つまり平均以上になっている。福岡はホールの大型化が進んでいるようだ。同様の傾向は三重にも見られる。
反対に、山形や島根、広島などは平均以下となっている。
ベスト3を占めたのは、宮崎・鹿児島・大分の九州組。この3県は、店舗数でもそろって全国トップクラスなのは先に示した通りだ。また上位県の1つである高知は、海を隔ててお隣に位置する。公営ギャンブルが少なかったこと(鹿児島、宮崎)や、繁閑の差が激しい漁業関係者の多さ、はたまた「県民性」に理由を求める向きもあるが、その真相は定かではない。
沖縄はパチンコよりパチスロ
ちなみに人口10万人当たりの店舗数・台数で、ともに全国最下位だったのが沖縄だ。米軍統治下時代が長く、県内には公営ギャンブルがないし、パチンコ店が拡大するようなことはなかった。また鉄道が走っていなかったため、駅前にパチンコ店が進出する環境もなかった。
もう一つ沖縄が異なるのは、パチンコよりもパチスロの方が支持されていることだ。
全国の遊技台は、パチンコ台が300万9314あるのに対し、パチスロ機は160万2148。前者の方が圧倒的に多い。
ところが沖縄はパチスロ機が58.1%のシェアを占める。沖縄向けに製造された機械を「沖スロ」と呼ぶくらいだ。コインの大きさが本土のものよりも大きいなど、独特の仕様が施されている。