お湯割りの作り方、九州人「お湯が先」 関西人「焼酎が先」なのはなぜ?
日本で古くから親しまれている焼酎(しょうちゅう)は、いろいろな割り方・飲み方がある。何も足さない「ストレート」、ロックグラスに氷を入れて焼酎を注ぐ「オンザロック」、水と氷を入れた「水割り」。
中でも、寒い季節にうれしい飲み方が「お湯割り」ではないだろうか。焼酎ならではの香りを存分に楽しむことができ、作り方次第で味わいは無限に変化する。
このお湯割りについて、お湯を先に入れるべきか、それとも焼酎を先に入れるべきか。Jタウン研究所は、2015年2月6日から3月2日の25日間、「焼酎のお湯割り、先に入れるのは『焼酎』?『お湯』?」というテーマでアンケートを実施した。
設問は、焼酎またはお湯のどちらかを選ぶシンプルな内容で、全国からのべ958人に投票いただいた。
その結果をまとめたのが下の表。「お湯を先に入れる」の割合が高い県ほど青色が、逆に「焼酎が先」では赤色が濃くなっている。アイボリーは50%ずつだった県だ。
全国的に見ると「お湯」が59.1%で、「焼酎」が40.9%。もう少し差が開く=お湯を先に入れる人が多いと編集部は予想していたが、焼酎を先に入れる派が意外に健闘した。
焼酎の本場はやっぱり「お湯が先」
地方別の傾向を見てみると、九州は「お湯が先」を支持する人が圧倒的に多く、78.2%もいる。泡盛の産地である沖縄も支持率は75.0%あり、中国や東海、北海道地方も全国平均を上回る63~65%の支持があった。
焼酎王国といわれる九州と沖縄の内訳をみてみよう。佐賀と長崎の2県は「焼酎」の得票率が50%もあるが、両県とも投票数は2ケタに満たない。
一方で福岡、宮崎、鹿児島の3県は、投票数がいずれも2ケタあり、その合計数は90票近くに達するとともに、割合はいずれも75%を超える。これらの数字が九州人の実態に近いといえよう。
九州では、新社会人が酒席で先輩たちのためにお湯割りを作らされ、その時にうっかり焼酎を先に入れるとたちまち厳しい「指導」が入るという話も聞く。今回の結果は、そうした九州の焼酎文化を裏付けるものといえそうだ。
「焼酎を先に注ぐ」が多い理由を考える
「焼酎が先」の支持率が全国平均よりも高かったのは、東北、関東、甲信越北陸、関西、四国の各地方だ。県別の上位は山梨、福井、高知、群馬の4県で、いずれも80%以上の支持がある。
そういえば、山梨産焼酎の原料は「そば」や米、麦などが用いられる。地元の人がそれらの銘柄をしょっちゅう飲んでいるとは考えにくいが、そば焼酎は爽やかな味わいが特徴で、水割りやオンザロックで飲むのがお勧めだとか。
ここからは仮説になるが、水割りは焼酎を先に入れるのが一般的だ。普段からその要領で飲んでいるから、お湯割りも焼酎を先に注いでしまう......という人が多いのかもしれない。
また、そもそもあまり焼酎を飲む文化がない地域では、お湯割りの作り方にこだわりがなく、結果的に「焼酎が先」という回答が増えた可能性も考えられる。東北地方では焼酎よりもやはり「日本酒」派が多いことが想定されるし、また関西では比較的焼酎の消費量が少ないというデータもある。
お湯割りの作り方をおさらいする
焼酎の本で紹介されるお湯割りの作り方は、いずれもお湯が先で解説されている。最初にお湯を器に注ぎ、次に器の内側に沿わせるように焼酎を注ぐ。こうすることで自然な対流が生まれ、かき混ぜなくても焼酎がお湯になじんでいく。
焼酎が6、お湯が4の割合が黄金比率と言われている。一般的な焼酎はアルコール分が25度なので、15度くらいに薄まる。少々マイルドにしたいなら、もう少しお湯の割合を高くしてもいいだろう。
ちなみにお湯の温度は、70から75度くらいが適温という声もあれば、鹿児島では45~50度くらいで楽しむという声もある。
皆さんも、いろいろと試してみては。