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荷風が「長崎の町を想い起す」と記した東京・曙橋の坂道(念仏坂と雁木坂)

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2015.02.28 17:00
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市ヶ谷谷町から仲之町へ上る間道に古びた石段の坂がある。念仏坂(ねんぶつざか)という。麻布飯倉のほとりにも同じような石段の坂が立っている。雁木坂(がんぎざか)と呼ぶ。これらの石級磴道はどうかすると私には長崎の町を想い起すよすがともなり得るので、日和下駄の歩みも危くコツコツと角の磨滅した石段を踏むごとに、どうか東京市の土木工事が通行の便利な普通の坂に地ならししてしまわないようにと私は心窃(ひそか)に念じているのである。(永井荷風『日和下駄』より)

念仏坂の現在

念仏坂(くーさんさん撮影、Flickrより)
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念仏坂は、都営地下鉄新宿線「曙橋」駅の近くに現存している。登った先にはフジテレビの本社があったが、1997年に移転した。この変わった名前は、近所に老僧が住んでいたからとも、坂が急なので、通る人が念仏を唱えながら歩いたから、ともいわれる。

雁木坂の現在

雁木坂(Norisa1さん撮影、Flickrより)
雁木坂

雁木坂は、東京メトロ日比谷線「神谷町」駅の近く、宗教団体「霊友会」の施設付近にやはり現存している。雁木とは丸太で作った階段という意味だが、荷風がこの文章を書いた大正初年にはすでに石段となっていた。

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