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因縁のライバル「前橋VS高崎」、群馬No.1都市はどっちだ?

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2015.02.26 06:00
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前橋市と高崎市は、ともに人口30万人を超える群馬2大都市だ。
お互いの市庁舎は約12キロしか離れていないが、江戸時代は別々の藩だった。前橋藩は譜代大名の大物酒井氏と徳川家康の次男の血筋である越前松平氏が治めた。一方の高崎藩は有力譜代大名が度々入れ替わる。

仲の良くないことで知られる両市。その因縁は明治時代初期にさかのぼる。
原因をつくったのは2015年NHK大河ドラマ「花燃ゆ」のヒロイン文(ふみ)の2人目の夫である楫取素彦(かとりもとひこ)。1876年、彼は県庁舎を高崎から前橋に移したが、高崎市民には「また元に戻すから」と説明していたという。
ところがその約束は守られず、1881年には「群馬県の県庁は前橋市に置く」という国の布告が出されてしまった。

群馬県庁新庁舎(0607crpさん撮影、Wikimedia Commonsより)
群馬県庁新庁舎(0607crpさん撮影、Wikimedia Commonsより)

現時点で県ナンバーワンの人口と商業規模を誇る高崎市。「県庁があれば前橋をはるかにしのぐ大都市になっていたかもしれないのに。そうすれば群馬がグンマー呼ばわりされることもなかった」と残念がる声はあちこちに上がる。行政と経済の分離を評価する声もないわけではないが。

群馬県内における前橋と高崎の位置関係。高崎は埼玉県境に飛び地がある(編集部作成)

群馬県内における前橋と高崎の位置関係。高崎は埼玉県境に飛び地がある(編集部作成)

いったいどちらの市が上なのか? Jタウンネットは両市の公式サイト等に掲載されている各種データをもとに、20項目で実力を判定した。

人口減少中の前橋と、微増の高崎

まずは「面積と人口」の4項目について。人口密度は前橋の方が上だが、それ以外の面積・人口・転入出超過は高崎が勝利した。もっとも、平成の大合併前は前橋の方が人口が多かった。

前橋市・高崎市の公式サイトや「都市データパック 2014年版」(東洋経済新報社)などをもとに編集部作成(以下同)

前橋市・高崎市の公式サイトや「都市データパック 2014年版」(東洋経済新報社)などをもとに編集部作成(以下同)

財政力は高崎の完勝!

続いて「財政力」を比較する。地方税収額・一般財政歳入総額・一般財政歳出総額・将来負担比率・財政力指数の5項目をピックアップしたが、全て高崎が前橋を上回った。

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市政と直接関係ないのは承知の上での話だが、1999年に竣工した県庁舎は高さ153メートルもあり、都道府県庁舎としては都庁舎に次いで2番目に高い。一方の高崎市庁舎は1998年竣工で高さ102.5メートル。ライバル心むき出しな印象を嫌でも受ける。

高崎市庁舎(Alberth2さん撮影、Wikimedia Commonsより)

高崎市庁舎(Alberth2さん撮影、Wikimedia Commonsより)

上場企業数は前橋の方が多いのに

ここまで旗色の悪い前橋。ところが上場企業の本社数では高崎を上回る。行政の拠点である県庁所在地には企業の本社が集中しやすいが、前橋の面目躍如といったところだろう。

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大型店や小売業年間販売額では逆に差を付けられている。高崎駅前は髙島屋とヤマダ電機が出店済。郊外のイオンモール高崎とは別に、来年春イオンモールが開業する。2018年にはビックカメラを核店舗とする商業施設もオープン予定だ。

一方の前橋はというと郊外へのシフトが進み、昔ながらの商店街はシャッター街となってしまった。下の地図の赤い四角形は、前橋と高崎の店舗面積1万平方メートル以上の大型商業施設。「けやきウォーク前橋」は前橋駅から約700メートルほどだが、ベイシアや蔦屋書店などで構成される「パワーモール前橋みなみ」は市街地から7キロ以上離れた田園地帯(北関東自動車道前橋南ICすぐ)にある。

パワーモール前橋みなみとイオンモール高崎は、前橋と高崎の双方から客を取り込みやすい場所に立地する(編集部作成)

パワーモール前橋みなみとイオンモール高崎は、前橋と高崎の双方から客を取り込みやすい場所に立地する(編集部作成)

それでも豊かなのは前橋か!?

これまでの勝負は高崎が13勝で前橋の2勝。ほとんどいいところのない県都だが、活気があるからといって、住民が暮らしやすいとは必ずしもいえない。

下の表は納税者一人当たり所得、持家世帯比率、住宅地地価、公共下水道普及率、世帯当たり乗用車保有台数の5項目について比較したものだが、公共下水道普及率以外の4項目で前橋が上回っている。

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自慢の有名人は誰がいる?

以上、編集部が設定した20項目については、高崎が14勝、前橋が6勝という結果となった。上記のように「生活の豊かさ」では前橋が意地を見せたものの、全体的に自治体としては高崎の方が優勢、と言っていいだろう。

もっとも、数値だけでは測れないものもある。その一つが「どれだけ多くの有名人を輩出したか」だ。有名人の故郷ほど立派と言うのは少々乱暴かもしれないが、教育だったり文化活動だったり、個性的な人間を育む何かを持っているのも事実である。

【前橋】
・萩原朔太郎(詩人)
・糸井重里(コピーライター)
・清水崇(映画監督)
・NIGO(ファッションデザイナー)
・細貝萌(サッカー選手)
【高崎】
・山田かまち(詩人)
・氷室京介、布袋寅泰、松井常松(ロックミュージシャン)
・JOY(モデル)
・山口素弘(元サッカー選手)
・福田康夫、中曽根康弘(政治家)

こうしてみると前橋は文化系で、高崎は頭も体力もすごそうな人が多い印象を受ける。

高校は前橋が優勢か

ところが前橋にはスポーツの名門校がいくつもある。前橋育英高校の硬式野球部は2013年夏の甲子園で初出場・初優勝という快挙を成し遂げ、サッカーも全国大会の優勝経験がある。
公立では前橋工業高校や前橋商業高校も甲子園出場経験豊富だ。

対する高崎は、県立高崎商業高校は夏の甲子園に11回も出場し、高崎健康福祉大学高崎高校(健大高崎)は2012年春の選抜で準優勝した。

進学校としては前橋高校と高崎高校が偏差値で並び立つ。地元の評価は前橋の方が高いだ。ただし2014年の東京大学合格実績では、前橋が現役1名だったのに対し、高崎は現役6名・既卒4名だった。

様々な面で競い合う前橋と高崎。両市のライバル関係が、群馬の今日の発展を実現させたとも言える。

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