ネット時代になぜ「地方グルメ本」が売れる?
[Jステーション-広島HOMEテレビ]2015年1月29日放送で、売れ行き好調の広島グルメガイド本、そのヒットの裏側にあるものを特集していました。
出版不況といわれる中、好調な売れ行きをみせるのは、ランチやカフェなど、様々なテーマやジャンル別に地元の飲食店を紹介する地方版のグルメガイド本です。
今や、パソコンやスマホなどで専門サイトにアクセスすれば、無料で店の情報や評判を知ることができます。それでも、有料で紙媒体のグルメガイドに関心を寄せる読者の心理を、編集スタッフは次のように推察します。
「誰があげたのかわからなかったりだとか、どれを選んだらいいのか分からなかったりするなかで、一冊に編集することによって、読者が必要な情報がまとまっていることが一つのメリットなんじゃないかなって思います」
次々と登場するグルメガイドブック。実は、不況にあえぐ出版業界のみならず、増税や材料費の高騰に悩む外食産業も盛り上げています。
地方初!新グルメガイド本 ランチパスポートの魅力とは?
「ランチパスポート」は2011年に高知県で出版され、5千部売れればヒットと言われる地方雑誌の世界で、1万6千部という、異例の売り上げを記録しました。瞬く間に全国に広まり、広島県内では、2013年に広島版と備後版の2種類が発売され、毎号ヒットをとばしています。
ヒットの要因はお得感にあります。価格は、1部994円で、掲載されている80以上ある店で提示すると、通常700円から1000円するメニューを、500円程度で味わうことができ、購入者は、4回使えば元が取れる計算になります。ちなみに、1店舗につき3回まで利用ができ、使用期間は発売日から3カ月となっています。
購入者のみならず、掲載されている飲食店にも利益をもたらすのが、ランチパスポートのすごさです。
一般的にクーポン雑誌は、店からの広告収入をもとに製作されるのですが、ランチパスポートの場合、広告料は一切とりません。そのため、店側の負担がないので、取材に協力してもらいやすいのです。
掲載によって、以前より売り上げがアップしたという例も多いそうです。紙屋町にある、「博多うまいもん ふうり」では、約80名の来店客のうち、40名程度がランチパスポートを利用しており、昼の来店客が夜に、夜の来店客が昼に来るというローテーションで、売り上げの増加につながったといいます。(ライター:haruhana)