恵方巻「食べる」派が関西でさらに増加中!? 一方関東は...
「恵方巻」――節分の日、家族全員がその年の恵方(縁起の良い方向)に向かい、願い事を念じながら目を閉じて無言で一気に太巻きを食べる風習だ。
2月は一般的に消費の落ち込みやすい時期だが、コンビニやスーパーにとって恵方巻は、旬の売れ筋商品として欠かせない。派手な宣伝効果もあって、その認知度は着実に高まっている。
では、実際に「食べる」という人はどれくらいいるのだろうか。また、その地域差は?
Jタウンネットが1月20日から30日までの11日間、「節分に恵方巻、食べますか?」というテーマでアンケートを実施したところ、482人の読者から回答をいただいた。昨年も同様のアンケートを行っており、得票率を比較してみた。
「今年も食べる!」と回答した人の割合は、前年から5.8ポイント増えて29.9%。一方で「食べたことはあるが、今年は食べない」と「今年も食べない!」と回答した人はいずれも減少している。また、「食べたことはあるが、今年は食べるかも」という人は前年の2.3%から今年は1.9%とほとんど変わらない。
次に都道府県別の傾向を見てみよう。「今年も食べる!」と「食べたことはあるが、今年は食べない」の2選択肢を合算した割合を、県ごとに色塗りしたのが下の図だ。
大阪の影響が強い滋賀と京阪神地域、鳥取・岡山・香川は「食べる(かも)」の得票率が高い。北関東や中部地方、山口、高知も恵方巻の支持率が高かった。
反対に低調だったのは九州地方で、最も得票率の高い佐賀でも25.0%しかいない。宮城・福島・南関東、新潟、島根、広島なども得票率が低かった。
恵方巻の発祥地の傾向は?
恵方巻の原形が生まれたとされる大阪。「今年も食べる!」と「食べたことはないが、今年は食べるかも」の合計得票率は全国平均の約2倍あった。
大阪発の風習といわれる恵方巻だが、昔から庶民に広まっていたわけではない。
「図解 知識ゼロからのコメ入門」(八木宏典著)によると、昭和初期には大阪の船場商人の間で節分の祈願事として定着したが、「丸かじりずし」という呼び方が一般的だったという。1930年代、大阪鮓商組合や海苔組合が販促活動の一環として、この風習に関するチラシを配って宣伝を行う。戦後に宣伝活動が再開され、1977年には道頓堀で巻きずしの早食い競争が行われる。
徐々に火がついた巻きずしに目を付けたのがコンビニ業界。1983年にファミリーマートが大阪と兵庫で、1989年にセブン-イレブンが広島でそれぞれ販売を開始し、このとき採用された「恵方巻」という呼び名が広まっていった――というわけだ。
これを示すように、昨年と比べると大阪府の「食べる(かも)」の割合は10ポイント増加している。
恵方巻に対する抵抗が東京はまだ高い!?
次に両コンビニチェーンの本社がある東京の得票率を見てみる。「今年も食べない!」と答えた人が最も多く60.2%に達する。全国平均の53.9%よりやや高く、去年の結果とほとんど変わらない。
大阪・東京の増減を見ると、元々の「恵方巻エリア」ではない東京での普及は足踏み気味なのに対し、「地盤」大阪での人気はさらに高まっている――という読み方もできる。
デパートの「売るぞ!」の気合がハンパない
消費税増税の影響で消費者の節約志向が強まる中、大手流通業者は例年にも増して恵方巻の販売に力をいれている。
恵方巻というと、七福神にあやかった「7種の具材」の和風タイプが基本だが、海鮮系やサラダ系、揚げ物系など、具材のバリエーションは年を追うごとに多様化している。
例えば東京・池袋の西武百貨店は、2015年2月2・3日の2日間、150種類・2万7000本の恵方巻を販売する。2日の「おはよう日本」(NHK)で開店前の様子が生中継されたが、11種類の豪華海産物を巻き、海苔の上に金箔を散りばめた商品は1本5000円もするという。
このほか、女子向けにイチゴと生クリームを使った「スイーツ」タイプ、晩酌のお供用にニンジンやゴボウを巻いた「かまぼこ」タイプ、子供向け「エビフライ」タイプなどが紹介された。
さらに店内には管理栄養士が常駐していて、客が値段と好みの具材、ボリュームなどを伝えると、お勧めの恵方巻を提案してくれるという。
いったい恵方巻はどこまで進化するのだろうか。そして「食べる(かも)」という人の割合は、今後も伸び続けるだろうか。