お雑煮のもちを「焼く」県、「煮る」県...その境界線が明らかに!?【年始特集「お雑煮」(2)】
東日本のお雑煮は「四角いもち」、西日本は「丸いもち」――さらにこのもちを、「焼いて」入れるのか、それとも焼かずにそのまま「煮る」のか、というところにも、地域差がある。
(前回の記事)
お雑煮の「もち」、四角いですか?丸いですか? 都道府県別投票、結果発表!【年始特集「お雑煮」(1)】
Jタウン研究所では、お雑煮に入れるもちの調理法について、都道府県別にアンケート調査を行った(総投票数509票、2014年12月3日~12月19日)。
もちを焼くは278票、54.6%、もちを煮るは231票、45.4%だった。結果が、この図表だ。各県ごとの最多得票を色分けしてみた。焼く、煮る、同数の場合は白地のままにしてある。
大きく分けて、東は焼く、西は煮ると、色分けされているようだ。ただ石川県から滋賀県辺りを境に東西で二分された角もちか丸もちか」の結果とは違い、東海エリアと北陸の一部が、煮る派、西に組み入れられているなど、境界線がやや東側に寄っている。
焼く派と煮る派が拮抗した大阪府
投票数が多かった主な都市の内訳を見てみよう。
東京都は投票総数が215票で、そのうち焼く派は62.8%、煮る派は37.2%だった。焼く派が大勢を占めたようだ。丸もちか、角もちかの調査では、角もちが6割以上だったことを考えると、東京では角もち、焼く派が多いことがうかがえる。
次に、愛知県を見てみよう。投票総数は27票で、焼く派は29.6%、煮る派は70.4%であった。丸もちか、角もちかの調査では、角もちが8割以上だった。つまり愛知では、角もち、煮る派が多いようだ。
そして、大阪府の投票総数は29票、焼くは51.7%、煮るは48.3%だった。ほぼ拮抗しているのだ。丸もちか、角もちかの調査では、丸もち派が8割近くと圧倒的だった。丸もちを焼く人と煮る人が半々、と捉えていいだろう。
大阪と京都に焼く派が多いのは、なぜ?
色分けされた地図では、東は焼く派、西は煮る派という傾向が明らかに見てとれるのだが、例外は大阪、京都である。焼く派が健闘しているのだ(京都では「焼く」が60%)。関西でも奈良はもともと焼く派ということだが、なぜ大阪と京都にこれほど焼く派が多いのか、予想外であった。
伝承料理研究家・奥村彪生さんの著書『聞き書 ふるさとの家庭料理5巻もち・雑煮』(農文協刊)を紐解いたが、ここでも大阪・京都は「煮る」文化圏に入っている。
近年、東日本から移動してきた人が多いのか? 奈良県の食文化の影響大なのか? 煮崩れるのを嫌って、焼く派がひそかに増えているのか? 何か事情をご存じの方がおられたら、編集部までご教示いただけると幸いだ。
また奥村さんの著書には、九州の一部の県で、「焼いて用いる地域が多く、煮て用いるのと混在地帯である」と記されている。本調査でも九州の中で、長崎県と熊本県が焼く派となっている。
最終回となる次回では、「おすまし」「味噌」など、汁の違いについて分析する。
お雑煮の汁=「おしるこ」な県もある! おすましだけじゃない地域差事情【年始特集「お雑煮」(3)】(3日公開)