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地方移住で夢の「1か月10万円」生活!...のために必要な貯金額は「×××万円」

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2015.01.01 17:00
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ひと昔前まで地方移住といえば、地方で生まれた人が故郷にU・Iターンしたり、リタイヤした熟年夫婦が別荘地に移り住んだり......というイメージが強かった。
ところが2011年3月に発生した東日本大震災以降、都会の根なし草から脱却して地に足のついた生活をしたいと考える人が若者を中心に増えている。

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なんと年間支出180万円。上記の合計金額を1カ月にすると15万円、一般的な生活費はわずか「10万円」だ。
なお、この試算では家賃などは発生していない。新築または中古物件に住み、家のリフォームやローン、子育ては済んでいると推定される。また年間支出の中に「国民健康保険料」が含まれている。農業または自営で生計を立てている世帯なのだろう。

「収入は減っても支出が抑えられる」――よく言われる田舎暮らしの魅力の1つだ。

ただ、執筆者の田舎暮らしライター・山本一典さんは「『こういうケースもないことはない』くらいに捉えた方がいいです。趣味の多い熟年夫婦の場合、月の生活費が20万円以上かかるという声は少なくないですよ」と語る。あくまで「目安」と認識しておいた方がよさそうだ。

移住先で子供を育てた場合の目安は?

ところで、田舎暮らしというと「農業」というイメージの人が多いかもしれないが、同センターが2013年に実施したアンケートによると、希望する就労スタイルのトップは「就職(企業等)」の35%だった。Jタウンネットが2013年夏以来実施しているウェブアンケートでも、移住に興味がある、とした719人中、「農業などをバリバリやりたい」とした人は15.6%どまり。「趣味程度なら」「したくない」とした人が大半だ。
実際問題、見ず知らずの土地に飛び込んでいきなり農業――なんてことは、よほどの人脈がない限り難しい。加えて言うなら「住まい」も、特に若い世代だと「一軒家を新築、あるいは購入」というのはなかなか難しいだろう。

「仕事」「住まい」については次回以降で詳しく紹介するとして、こうした状況を踏まえたとき、上記のような「月10万円の田舎暮らし」を送るためには、どうすればよいのだろうか。FP提案書工房の代表・中里邦宏さんにシミュレーションしてもらった。

FP提案書工房の公式サイトトップページ
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前提条件は以下のとおり。

  • 夫・妻ともに30歳で地方移住
  • 地場産業に就職する夫の年収は192万円(月収16万円)
  • 町営住宅に住み、家賃は月2万5000円、火災保険は年7000円
  • 夫・妻の携帯・スマホ代として合計月8000円(電話代3000円の代わり)
  • 金融資産は預貯金が200万円
  • 車は軽自動車を1台所有。11年ごとに100万円で買い替え
  • 移住2年目で子供が1人誕生
  • 生命保険は年12万円。子供誕生後は死亡保険を年5万円プラス

削れる支出項目は意外と少ない

●毎月の生活費
田舎暮らしを夢見ている人の中は「東京よりは生活費が下がる」と思っている人がいるかもしれない。基本的にはしかし、その差はわずかと中里さんは話す。

総務省の「家計調査」で都道府県別消費支出の内訳を見ると、東京と田舎では1割も変わらないのが実情です。水道代や灯油代、ガソリン代などは田舎の方が増えます。 田舎暮らしで減らせるのは食費くらいですが、家で食べる派なのか、外食派なのかによって変わってきますので、一概には言えません。

●子育て費用
収支に決定的な影響が出るのは子供ができた場合だ。節約術が身についていた場合でも、生活費は1カ月あたり2万円ほど出費が増えると中里さんは指摘する。

内閣府が調べた「インターネットによる子育て費用に関する調査」によると、お子様の誕生から義務教育終了までにかかる費用は、生活費や教育費等をすべて合わせて827万円(教育費等を除いて636万円)。節約している家庭なので多少削れるとしても、生活費として1カ月当たり2万円増えると見ておかないとダメです。
また出産に伴う自己負担額は、自治体による補助や病院により異なりますが、20万円くらいは見ておいたほうがいいですね。

夫の月収16万円だけだと50年後は約1400万円の赤字...

夫の月収を16万円とした場合、所得税や住民税、社会保険料を差し引いた年間の手取り額は162万円。月ベースに直すと13万5000円になる。これでやりくりは可能なのか。

スタート時の貯金額を200万円とすると、貯蓄残高は最大で約2000万円の赤字になります。お子様の教育費は幼稚園から全て公立で、国立大学分まで見積もった774万円を用いて計算しています。実際には奨学金を活用しても厳しいといえるでしょう。
お子様のいない初年度で年間6万円のマイナス。お子様が生まれた後は年間50万~60万円くらい生活費は増えていき、80歳で約1400万円のマイナスになります。

共働きしないと無理。理想は「同じ勤め先」

夫が昇給したり、ボーナスがもらえたりする可能性があるとはいえ、シビアに計算すると大幅な赤字になった。
夫の月収を18万円としてシミュレーションしても、夫婦80歳時の貯蓄残高はマイナス748万円。

一方、夫の月収を16万円としたまま、妻がパートに出た場合はどうなるのか。子供が小学校入学後、妻が年60万円を稼いだと仮定してシミュレーションした。
子供が大学を卒業するまでの年間収支はずっと赤字で子供が大学4年のときに貯蓄残高は925万円のマイナスだが、仮に親か借りられるようであれば、子供が卒業して年金を満額もらえるようになれば収支は改善、親からの借り入れを返済しても、最終貯蓄残高はプラス225万円となる。

夫の月収が16万円のままでも、以下の条件なら貯金残高が尽きることはありません。
(1)移住開始時の貯金残高が350万円
(2)お子様が幼稚園入園と同時に奥様が働きに出て、年間60万円、小学校入学後は年間100万円を稼ぐ
貯蓄金額がマイナスにならないキャッシュフローグラフ(中里邦宏さん作成)
貯蓄金額がマイナスにならないキャッシュフローグラフ(中里邦宏さん作成)

移住スタート時の貯金は350万円で、子供が幼稚園に入った後は夫婦共働き――これが一つの目安になりそう。ただし妻も働くとなると車がもう1台必要だ。年間120万円くらい妻の稼ぎが欲しいところ。

正社員として働けるのなら、ある程度は各種手当てなど福利厚生でカバーされると思います。ただし今回のシミュレーションは物価の上昇を全く見込んでいません。また水道代はエリアによって違い、最大で約2倍の差があります。水道代が高い地域に住み、農とも関わりたいのなら、用水路の水を近所から分けてもらうなどの工夫も必要となるでしょう。 移住先に縁者がいない場合、節約するにしても子育てするにしても、コミュニケーション能力がないとかなり厳しいのではないでしょうか。

これは都会も一緒だが、良い条件の会社で働けるならすぐに移住してもいいだろう。託児所があって、夫婦共に同じ職場に勤められれば理想的だ。

最後に。地方移住を夢見ているカップルは今すぐ節約生活を実践すべきと、中里さんはアドバイスする。

「貯金してから」と思ったら移住できないですよね(笑)。誰しもお金は、いくらあっても足りないですから。「3年後に移住するぞ」って決意して、今回の生活費を東京で実践すれば、あっという間にお金は貯まるんじゃないでしょうか。夫・妻それぞれが、移住という夢を、お金を使う度に思い出して、天秤にかけ、節約し続けられるかがポイントです。きっと、移住後の生活にも役に立ちます。
【編集部からのご案内】
連載企画「地方移住」(全4回)の2回目「職探し・基本編」はこちら
※1月2日17時公開予定。
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