お雑煮の「もち」、四角いですか?丸いですか? 都道府県別投票、結果発表!【年始特集「お雑煮」(1)】
新年、明けましておめでとうございます。
日本のお正月といえば、おせちにもち、そして忘れてはいけないのが......「お雑煮」だ。 ところが、「お雑煮」と一言で言っても、その中身については家庭差、そして大きな地域差があることはご存じだろうか。なかなか他所のおうちのお雑煮を食べる、という機会がないので気づきにくいが、もちの形から汁の種類まで、実はかなり違いが大きいのだ。
今回、Jタウン研究所では地域別の「お雑煮」の違いについて、全国のユーザーからの投票結果を元に、3回にわたって特集する。
まずは、「もちの形」だ。
Jタウン研究所では、お雑煮に入れるもちの形について、都道府県別にアンケート調査を行った(総投票数547票、2014年12月2日~12月19日)
角もちは315票、57.6%、丸もちは232票、42.4%だった。結果が、下の図表だ。各県ごとの最多得票を色分けしてみた。角もち・丸もち同数の場合は白地のままにしてある。
東日本に角もち、西日本に丸もちと、見事に色分けされているが、これは編集部が参照させてもらった伝承料理研究家・奥村彪生さんの「日本の雑煮文化圏図」を裏付ける結果である。勤務先や学校などの関係で、生まれ育った土地から移動している人も多くいるはずだが、雑煮文化の大勢には影響なかったようだ。
丸もち派が圧倒的な大阪府
投票数が多かった東京都と大阪府を比較してみよう。
東京都は投票総数が273票で、そのうち角もちは61.5%、丸もちは38.5%だった。西日本出身者がかなり移動してきたことが読み取れる。ただし東日本の他県からの流入も多いのだろう。大勢は角もち派が占めたようだ。
一方、大阪府の投票総数は34票、丸もちは79.4%、角もちは20.6%だった。丸もち派が圧倒的に主流を形成している。東日本からの流入者も比較的少数派だ。
境界線はどの辺り?
さて気になる境界線だが、北陸では富山県が角もち、福井県が丸もちで、その間にある石川県は角もち、丸もち同数だった。東海の岐阜・愛知・三重が角もちで、滋賀県は角もち、丸もち同数だった。京都・大阪は丸もちなので、どうやら石川県から滋賀県辺りが境界のように見える。
このテーマについて綿密な聞き取り調査を行った奥村さんは著書(『聞き書 ふるさとの家庭料理5巻もち・雑煮』農文協刊)の中で、次のように記されている。
一応この分岐ラインは新潟県糸魚川から富山県高岡、石川県金沢を経て岐阜県関ケ原、三重県四日市、松坂、熊野新宮を結ぶラインで東西に分かれる。東はのし餅を切った角餅、西は丸小餅地帯である。
ただ、一部の県で例外が見られた。東日本の中で、宮城県と山形県が丸もちとなっている。逆に西日本の中で、奈良県と山口県が角もちだった。
山形県酒田市などは北前船などによる上方文化の影響が強い土地柄のため、関西風の丸もちを用いるところが多いのかもしれない。
一方、宮城、奈良については、隣接する山形、三重の影響だろうか。手がかりのない山口を含め、事情をご存じの方がおられたら、編集部までご教示いただけると幸いだ。
次回は、もちを「焼く」地域と「煮る」地域の境界線を探る。
お雑煮のもちを「焼く」県、「煮る」県...その境界線が明らかに!?【年始特集「お雑煮」(2)】(2日公開)