「カレー=県民食」な鳥取ではせんべいもカレーになる
日本海に面して中国山地が迫る鳥取。平地は少ないものの海の幸と山の幸に恵まれている。二十世紀梨をはじめ、松葉ガニ、砂丘ラッキョウ、あごのやき、大山おこわ、あごのやきなどが有名だ。
意外と知られていないが、鳥取はカレーの消費も旺盛。総務省の家計調査によると、県庁所在地の鳥取市はカレールウの年間支出額で全国トップクラスなのだとか。
これを地域おこしにつなげようと、地元の有志団体が開発したのがオリジナルカレールウ「鳥取カレーの素」。旨味にズワイガニ、甘味に二十世紀梨、香味にラッキョウと、県産品を原料に使用している。
ただのカレーせんべいじゃなかった。コクがある!
鳥取の野望はカレーにとどまらない。日本人になじみの深い米菓もカレー味に仕立ててしまった。その名は「鳥取カレーせんべい」。
2014年9月28日にオープンしたアンテナショップ「とっとり・岡山新橋館」(東京都港区)で遭遇したのだが、パッケージのキャッチフレーズに目が釘付けになった(参照: 鳥取&岡山の共同アンテナショップが予想外に良かった件について)
鳥取カレー倶楽部認定 なんてったってカレーは県民食!
ずいぶん自信満々なこと。どんな味か確かめてやろうじゃないか――。試食用に1袋買ってみた。鳥取市のトラスト食品が販売しており、価格は540円(税込)。
袋を開けた瞬間、辺り一面にカレーの匂いが漂う。パッケージに「中辛」と書いてあるが、鼻を突く刺激は中の上くらいの感じ。
せんべい1枚の大きさは半径20ミリ、厚さ4ミリ程度。カレーの素を使ったタレが光っている。ゴマ粒のように見えるのはポークパウダーか。内容量は90グラム。
一口食べてみると――2種類の異なる味が口の中でうまく分離し、それぞれ違う方向に広がっていく感覚がした。カレーの辛さが口蓋(口の天井)に広がり、和風の旨味が舌に沈殿していく。
原材料名に目を通すと、カレーの素だけではなくオニオンエキスやジンジャーエキス、宗田節、鰹節などの名前があった。
食する前はカレー一辺倒の先入観があったが、様々な材料が絶妙なバランスで用いられており、一味もふた味もコクのある菓子に仕上がっている。
艶よく光っているカレーせんべい。何かをしながら食べるなら、お手拭を用意しておいた方がよさそうだ。