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人口減にあえぐ和歌山に、イオンモールはいかに切り込んだか

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2014.10.03 15:51
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和歌山県は1990年代以来、著しい人口減に悩まされている。そのあおりをまともに受けているのが商業で、隣接する大阪府への買い物客流出などの影響もあり、県都の和歌山市では4百貨店のうち3店までが閉店したほどだ(参照:消える高島屋とシャッター通り、そしてイオンモール...記者が見た和歌山市の今)。

そんな和歌山に2014年3月16日オープンしたのが「イオンモール和歌山」。その登場は、高島屋(8月閉店)にトドメを刺した形となったことは以前伝えたが、ではそのイオンモールはこの和歌山でどのような「戦い」を展開しているのか。以下は8月、同店を訪れた筆者によるレポートだ。

イオンモール和歌山(写真は全て編集部が撮影)

イオンモール和歌山(写真は全て編集部が撮影)

まるで大阪との「関所」

県内最大級の商業面積を誇り、大阪府と和歌山県を結ぶ国道26号線沿いに立地する。県境近くにそびえる巨大な建物はあたかも現代の関所のようで、買い物客の県外流出を食い止める役割を期待されているのだろうか。

H&M、OLD NAVY、ベルシュカ、FOREVER21、デシグアルなどの外資系ファストファッションブランドがテナントとして入居し、3世代で楽しめるキッズモールは安くて可愛らしいグッズが揃う。

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市中心部から北に約5キロ離れた丘陵地ながら、計画世帯約2800、人口約3万人のニュータウン「ふじと台」の商業ゾーンに位置する。

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同質性が指摘されがちなショッピングモール(S.C.)だが、同モールは地元住民の嗜好に合わせた店づくりが随所に見られた。

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2012年4月に開業した和歌山大学前駅に直結しているのも有利な点だ。雨の日でも傘を差さずに建物内に入ることができる。

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併設のシネマコンプレックスは10スクリーンを擁する。映画のシーンに合わせて座席が前後左右上下に動く「D-BOX」は近畿地方で初めて導入された。

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モール3階に大きなフードコートがあるが、1階の建物外にもレストランストリートがある。バイキングの「ブッフェスタイルアソート」、イタリアン料理の「ピアサピド」、「回転すし 北海素材」は和歌山初出店。近畿地区初の店も軒を並べる。オシャレな雰囲気で飲食を楽しめそうだ。

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集客力のある食料品売り場

モールの核となるのはスーパーのイオン和歌山店。「AEON STYLE STORE」と銘打っており、従来のスーパーのイメージとは異なる店舗構成を志向している。

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1階の食品売り場は最も賑わっているエリアで、地元民の嗜好に合わせた売り場になっている。イオンのPBブランドといえばトップバリュ。紀州梅を使った商品を前面に押し出していた。地元の特産品も大切にしていますというアピールに感じられた。

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総務省の家計調査によると、和歌山は全国でも牛肉の消費量が多い。そうした土地柄を考慮して、量り売り=少量の購入にも応じている。

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趣味系の専門店も充実

鉄道マニアにとって和歌山県は、訪れたいスポットが数多くある場所だ。
「たま駅長」で有名な和歌山電鐵は今年7月、鉄道施設が国の登録有形文化財に指定された。また旧国鉄時代から続くJRのデスティネーションキャンペーンは、1978年に和歌山から始まった。

モール内で活気のあったテナントの1つが鉄道模型の店ポポンデッタ。幼児を連れた親や高齢者で賑わっていた。

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1階の専門店街には農産物直売所「産直市場よってって」がある。それぞれの農作物の生産者の写真と名前のプレートを壁面に掲示している。「生産者の顔が見える」を売りにしているのはそういう理由だ。地元で採れた野菜やかんきつ類、加工商品が中心のようだが、他県産品もあった。

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S.C.の専門店というと全国展開している企業ばかりというイメージだが、「よってって」は同県田辺市に本社を置く。グルメ&フードゾーンの「紀州雑賀屋 笹一」も同市中之島で営業している。

消費者の立場からすると、S.C.に地域の人気店がもっと出店すればいいのにと思うが、零細商店にありがちな家族経営だと年中無休のS.C.に合わせるのが難しく、それがネックになっているのかもしれない。

屋上にはカーディーラーも

屋上階は駐車場になっているが、その1角にベンツやBMW、TOYOTA、SUZUKIと国内外の4つの自動車メーカーのディーラーが集まっている。斬新な試みだ。

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店内を歩き疲れて休む場所を探していると、噴水の出る広場で子供たちがキャッキャとはしゃいでいた。買い物だけではない空間があるのも同モールの強み。

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何でも揃っていそうな同モールだが、意外なことに家電量販店は入居していない。その代わりスーパーのイオン3階には家電売場がある。
イオンりんくう泉南ショッピングセンターとテナントを分散させるためらしいが、家電量販店がネット通販に押され、呼び水として弱くなっていることが影響していないだろうか。アパレル専門店の充実ぶりと比較すると寂しい印象は否めない。

和歌山での成否は未知数とはいえ、今後地元で大きな存在感を発揮しそうな同モール。駆け足の見学だったが、次に和歌山を訪れることがあれば必ず再訪したい。

一通り歩き回って駅に戻るとき、レストランストリートで1組の家族(若い夫婦と子供2、3人)とすれ違った。そのうち男児は「キン肉マン」のラーメンマンと同じヘアスタイルで、顔は亀田3兄弟に似ていた。どこから来たのか......。

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