ふなっしー人気の裏で激化する「ご当地梨」戦争とは
千葉県は和梨の産出額が全国1位。県内産地のベスト3は白井市・市川市・鎌ヶ谷市だが、梨の妖精ことふなっしーの人気者が高まるにつれて、船橋市の梨がにわかに注目を集めている。
ご当地の旬の時期は7月下旬から10月にかけて。7月下旬~8月中旬が「幸水」、8月下旬~9月中旬が「豊水」、9月上旬~下旬が「秋月」、9月下旬から10月中旬が「新高」。だいたいこの4品種を中心に栽培されている。
ふなっしーが率先して宣伝した影響もあって、2014年は例年以上に好調な売れ行きの様子。ご当地スーパー・ランドローム(船橋市三咲)で扱っていた「ふなっしーのオリジナル梨箱入り梨ギフト」はすべて完売している。
船橋の梨はどんな味?
私事で恐縮だが、筆者の2つ違いの妹は10年ほど前に船橋へ嫁いだ。ランドロームから遠くない場所に一家4人で暮らしている。
先月、彼女から予告なしに小荷物が届いた。それはなんと――「船橋のおいしい梨」。前から食べたいと狙っていた果物だ。なお、Jタウンネットの記事を書いていることは彼女に告白していない。
ふなっしーの箱ではなかったのは残念。代わりにシールが段ボール表面に貼ってあった。
箱の中に入っていたのは8月に収穫される品種・幸水。生産者のチラシも同封されていて、そこには平成21年度に皇室に梨を献上したと記されている。
褐色がかった果皮をしている。収穫時期が早いからなのか、やや色が薄い気がする。上部のへこみ具合がなんともユニーク。
幸水は糖度が高いため日持ちしないそうだ。さっそくむいて食べることにした。
うむ、やわらかくて甘みがじわじわ伝わってくる。冷やして食べてもよさそう。
二十世紀梨の鳥取は祭りで対抗...梨のセールスは戦国時代
日本原産の和梨は弥生時代に既に食べられていたとされる。江戸時代から改良品種が出回っている、日本人にとってなじみ深い果物だ。
船橋の梨の人気に負けじと生産・宣伝に力を入れている地域の1つが鳥取県。倉吉市には日本唯一の梨のテーマパーク「鳥取二十世紀梨記念館 なしっこ館」があり、2014年9月23日まで「二十世紀梨まつり」を開催している。
九州で梨の生産が盛んなのは熊本県。なかでも福岡県に近い荒尾市は、「荒尾ジャンボ梨」のブランド名で知られる新高の生産が盛んだ。
地元の直売所はご当地キャラ界でふなっしーと人気を二分する「くまモン」をノボリに起用して、販促に力を入れている。
沖縄を除く46都道府県で生産される梨。ひょっとしたら果物におけるコメのような存在かもしれない。
ふなっしーがブレイクしたのも、日本文化とのつながりが深い和梨を盛り上げてほしいという梨神様の意思によるものなのだろうか。