「バーリバリ」と叫びながら姫路を闊歩した「徒歩暴走族」、あえなく絶滅していた
梅雨明けを前に、日本各地では早くも祭りが開かれている。2014年6月22日からは兵庫県姫路市でも「姫路ゆかたまつり」が3日間にわたって行われる。
多くの市民が集まる祭りに安全対策は必須だ。姫路市は開催に先がけて警察署などと合同で訓練を行った。だがこの訓練、他の祭りとは多少異なる相手を想定したものだった。「徒歩暴走族」と呼ばれる若者たちだ。
(関連記事)
「ヤンキー」が多そうな都道府県は?
条例施行で近年は姿見せず
「徒歩暴走族」は特攻服など派手な暴走族ファッションに身を包み、バイクに乗らずに「徒歩」のまま迷惑行為をはたらく若者のことだ。大声であげながら歩き回り、グループ同士や警察部隊と小競り合いを起こすなど、祭り会場周辺で迷惑行為を繰り返してきた。
訓練の話題が報じられると、多くの人が「徒歩暴走族」なる奇妙な集団に注目した。その詳細を知ろうと、編集部が姫路市役所に取材したところ、意外な答えが返ってきた。近年は、姫路ではすでに「徒歩暴走族」の姿を見ることはないというのだ。
姫路市は2008年、特攻服などの刺しゅう服を着て2人以上で大声を発するなど、周りに不安を覚えさせる行為を禁止し、中止命令できる条例を施行した。
その効果もあってか、訓練を行った市危機管理室の担当者は「特攻服姿の若者は見られなくなり、条例施行後は逮捕者も出ていません。訓練はあくまで万が一を想定したもの」と話す。
それでも以前の暴れっぷりは相当なものだったようで、集まるグループも1つや2つではなく、「期待族」と呼ばれる暴走行為を見物する野次馬も合わさり、過去には姫路駅前を埋め尽くすほどだったらしい。
「バーリバリ」と叫んでいたのも実は一部
そもそも徒歩暴走族はどのようにして生まれたのか。一説によると、北海道の暴走族が積雪でバイクや車に乗ることができない冬場に始めたという。だが、積雪の影響を受けない姫路市はこれに当てはまらない。
これについて、市の担当者は「バイクや車で出ると道路交通法で取り締まられるため、その回避策として単車を置き、徒歩や電車でやってくるようになりました」と説明する。
なお、北海道、姫路の他には、広島でも「生息」が確認されているほか、青森のねぶた祭りに出没する「カラス族」も徒歩暴走族と認識されている。
ちなみに、インターネット上では「徒歩暴走族はバイクのエンジン音を大声で叫ぶ」という話が注目を集め、以前から一部では知られる存在だった。そこで、この点についても前出の姫路市の担当者に聞いてみたところ、「確かにそうした擬音を発していたという話があり、合同訓練でも徒歩暴走族にふんした職員が『バーリバリ』などと叫ぶようにしています」ということだった。
しかし、その後には「擬音を叫んでいたのは一部。集団で合唱のように『バーリバリ』と叫ぶといったことはないです」と付け加えた。ネット上のイメージはどうやら少し大きくなってしまったものだったらしい。