日本一寒い北海道陸別町の光熱費、月10万円なり
北海道東部にある陸別町は、1月の最低気温が平均氷点下23.2度で、人が住む場所としては日本一寒い町だ。2014年2月17日放送のバラエティ番組「月曜から夜ふかし」(日本テレビ系)のカメラは、寒さで町おこしに取り組む現地を取材すべく、北海道へ飛んだ。
面積の8割が森林に囲まれ、人口はわずか2700人の陸別町。スタッフが現地に着いた日の気温は、まだ明るいにもかかわらず氷点下25度。バナナで釘が打てて、お湯を空中に撒くと瞬時に煙となる。

彼らは町内のコテージに泊まったが、ベッドから起きたときの朝の室内気温は氷点下5.3度。コップに残した水は凍り、水道も凍結。室内に干した洗濯物を揉むとパリッという音がする。外に干した洗濯物はカチカチだ。
果たしてこの極寒の町で、人々はどのように暮らしているのか。取材に協力したのは、テントと釣り具の店を営む本田さん。寒さによる町おこしに取り組む人物だ。
冷蔵庫の中にヒーター
町民のクルマのほとんどについている「リモコンエンジンスターター」。冬、クルマで出かけるとき、外に止まっているクルマのエンジンを遠隔操作でかけ、温まったところをスッと乗る。本田さんの場合、最低でも20分前にかけるそうだ。当然ガソリン代はかさむ。室内の灯油ストーブは24時間つけっぱなしで,、月7、8万円かかってしまう。これに電気代を加えると月10万円くらいになるという。
陸別町は家も人間も2重。窓、玄関、手袋、長靴、ズボン、ダウンジャケット...いろいろな費用が2重にかさむ。
ストアーの保温対策にも驚かされる。冷蔵庫の中に電気ヒーターが入っているのだ。店主いわく「マイナス20度が1週間も10日も続くと凍ってしまうんです、この中が。7、8年前くらいから入れてるんです」。
寒さがもたらす影響は家屋にもおよぶ。ある接骨院は外観から分かるほど建物が少し傾いている。これは凍土という現象で、床の下の土が凍ることで隆起し、家が持ち上がる現象だという。室内の床にビー玉を置くところころ転がる。家主は「5月の中頃になったら戻る」と話すが、それまでずっと我慢しているのか。
寝ると死んでしまうスリルが味わえるフェス
この寒さを地域活性化に利用しようと、2月に行われているのが「しばれフェスティバル」だ。氷点下15度以下になる氷のテントの中で一晩過ごすというイベントで、寝ると死んでしまうスリルが味わえる。毎年300人が参加している。
番組では紹介されなかったが、町の公式ツイッターも、つぶやきのほとんどが寒さの話だ。
「陸別の今朝の最低気温-25.8℃。ようやく来ました-25℃越え!今年4度目の日本一の寒さです。正直なところ、もう少し下がると思ったのですが・・これからに期待です」(1月14日)
「陸別の今朝の最低気温-26.1℃。7時7分の気温です。今日は、北海道各地で今冬の最低気温を記録したようですね。陸別は8日連続-20℃を下回りました。安定した寒さですが、どうせならあと-5℃くらい欲しいところです」(1月17日)
「陸別の今朝の最低気温は-22.7℃。最低気温の「-20℃越え」が12日連続となりました。陸別らしい安定感ですが、そろそろ-30℃が欲しいところです」(1月21日)
「陸別の17時の気温-1.3℃。暖かいです」(1月24日)
「陸別の今日の最低気温は-22.7℃。しばれフェスに向けて気温が下がると気分は盛り上がりますね」(1月30日)
番組のコーナーの最後は、町民たちの明るい笑顔で締め括られていた。
「冬から春を待つ心がさ、どこの地域よりも良いのさ」
「寒いことから皆の輪がつながっていくというか、寒いというのがコミュニケーションツールになっている」
「日本一寒いけど、心は日本一暖かいって言いたいね」
「日本一になることで、僕たちのエネルギーになりますし、誇りになりますね。寒さは宝物です」
第32回しばれフェスティバル(YouTubeより)