「忍たま」作者出身地・尼崎には忍者っていたの? 地元史料館がガチ回答
NHKで放送中のアニメ「忍たま乱太郎」の原作者・尼子騒兵衛さんは、兵庫県尼崎市の出身。そのペンネームも、尼崎市の女性で「尼子」、そして騒々しいから「騒兵衛」と名乗ったそうだ。
主人公・乱太郎の苗字の「猪名寺」を始め、登場人物にも尼崎の地名にちなんだ名前が少なくない。
江戸時代の文献から詳細回答
その尼崎には「尼崎市立地域研究史料館」といって、ご当地の歴史に関する文書・記録・史料類を幅広く集めて保存している文書館がある。歴史に関する調べものをする人の相談にも応じている。
2013年5月、史料館に一通の質問が寄せられた。その内容は「忍たま乱太郎」に関する、歴史好きでもなかなか思いつかない内容だった。
「尼崎在住の漫画家・尼子騒兵衛氏によるテレビアニメ「忍たま乱太郎」には、尼崎の地名にちなんだ忍者たちが多く登場しているが、実際に江戸時代の尼崎には忍者がいたのか?」
丁寧な回答に脱帽
史料館からの回答は「いたか、いなかったのか」というレベルを超えるものだった。
青山氏が尼崎藩主であった時代には、「忍頭(しのびがしら)」という藩士の役職がありました。また、藩主・青山幸利(よしとし)が「忍目付(しのびめつけ)」という役の者を摂津国内や周辺諸国に派遣していたという記録があります。尼崎藩領の所在地は摂津国の西部(現在の尼崎市域から神戸市域にかけて)にあたるので、忍目付が派遣された先としては播磨国(現兵庫県南西部)、河内国・和泉国(現大阪府域)、大和国(現奈良県域)、山城国(現京都府南部)などが考えられます。
松平氏が尼崎藩主であった時代には「隠密(おんみつ)」という役職があったことが、幕末期の史料により確認できます。ただし、その具体的な役割・性格は不明です。
(国立国会図書館のレファレンス協同データベースより)
結論だけでなく「回答文プロセス」「参考資料」も付記されていて、今後相談者が別の疑問にぶつかったとき、自分1人で調べる際の参考にもなっている。
この調査結果を導くのにどれくらいの時間を要したのかについては記載がない。史料館の職員にとっては調べがいのあるタフな内容だったのか、それともお茶の子さいさいだったのか。そこが気になるところである。