【ご当地】富山の「ますずし」は店ごとに違う味
食い意地が張っているせいか、花を見ても食べ物のことを考えてしまうたちだ。サクラ咲く季節なら、サクラ色の鱒(ます)のすしが思い浮かんできて困ってしまうといった具合。
時の将軍、徳川吉宗も絶賛

ご存知、「ますずし」は酢飯の上に酢で締めた鱒の切り身をのせて、重石をかけてつくる押し寿司。じつは古い歴史があるそうで、享保年間に富山藩士が考案したという。市内を流れる神通川の鱒と富山産の米で、これが評判を呼び、時の徳川将軍・吉宗も激賞したと伝えられているとか。
いまでは富山を代表する名物料理となり、富山市内には多くの専門店があるそうだ。遠方では、一部のお店のものを駅弁大会などで目にするぐらいだが、東京・有楽町の東京交通会館にある富山県のアンテナショップ「いきいき富山館」では、地元ならではの珍しいお店も含めて、各種取り扱っている。
富山湾や近海で取れた新鮮な鱒
さて、ではどのお店のますずしを選ぶべきか。どれもそんなに変わらないんじゃ――と思ってはいけない。酢の強さや、塩気、「押し」具合、鱒の脂のり――味の違いは厳として存在するのだ。各店の特徴については、富山館のウェブサイトでも紹介されている。今回、購入した今井商店のものは「薄味で控えめな風味」ということだ。
押さえの竹を外し、わっぱを開ければ、笹の葉に包まれたますずしが現れる。ほんのりと桜色に色づいた鱒と、笹の緑のコントラストが美しい。鱒は富山湾や近海で取れた新鮮な鱒だという。たしかに塩気や酢は奥ゆかしく感じられ、その分しっとりと締まった鱒の身の感触と風味が楽しめた。
製造:今井商店
サイズ:1重(1人前)
価格:1300円