【ご当地】薩摩の武士も好んだ鹿児島の豚みそ
東京・有楽町の晴海通りとJR高架が交わる辺りに「かごしま遊楽館」がある。建物1階の鹿児島県の特産品を販売するコーナーは広くないスペースだが、「さつまあげ」のショーケース対面販売があったりして、なかなか活気がある。
伝統ある「食べる味噌」

今回、店内を見回って目を付けたのは、鹿児島名物の珍味「豚みそ」。豚みそと呼ばれるものには、豚のみそ(漬)焼といった料理もあるが、この豚みそはみそが主体の一種の調味料だ。ご飯にのせたり、生野菜や冷や奴につけたりして食べる。最近、この手のジャンルでは「食べるラー油」というものが一大ブームを巻き起こしたが、こちらは薩摩の武士も好んだという、伝統ある「(豚肉入り)食べる味噌(みそ)」である。
売り場には5~6種類の豚みそが置いてあり、なかでも、より鹿児島らしさをアピールされる「黒豚」の名の付くものを2つ買ってみた。
鹿児島黒豚と自社製の麦味噌を使ったというキンコー醤油(しょうゆ)製の「黒豚みそ」。黒砂糖などが入って、甘塩っぱい麦味噌の香りが立ち、そこにやはり甘く歯ごたえある豚肉片がからんでくる。豚みその本格派という印象だ。
否応なく食欲がかきたてられる
鹿児島の高校生が実習で手造りしたという「らっきょう入り黒豚豚みそ」。県立加世田常潤高校の食品工学科製だ。「ヘルシー」とうたい、らっきょうをはじめ、にんじん、玉ねぎ、にんにく粉末、しょうが粉末など野菜類を多く使っているのが特徴。みじんぎり野菜の食感のおかげでみそが軽くなり、食べやすい。
どちらの豚みそも、まったくシャレてはいないが、日本人が慣れ親しむうまさのツボをついてくる味だ。ご飯にのせれば、否応なく食欲がかきたてられる危険な代物だった。
製造:キンコー醤油(黒豚みそ)、鹿児島県立加世田常潤高校食品工学科(らっきょう入り黒豚豚みそ)