鳥取県イチオシの歴史漫画が渋くて熱い
鳥取は戦国から幕末にかけて、義に生きた武士が活躍した地域だ。そんな歴史上の人物を掘り起し、漫画化した作品「もののふ-山陰鳥取 知られざる歴史の物語-」が、2014年10月16日、リイド社から出版された。
この書籍は、鳥取県出身の漫画家の藤原芳秀氏の作品で、リイド社の出版雑誌「コミック乱TWINS」掲載作品をとりまとめたものだ。作者の藤原氏は、「拳児」「ジーザス」「闇のイージス」などの作品で知られる。
発売情報が鳥取県のウェブサイトにも取り上げられていることからもわかるとおり、観光誘客につなげることを見込んでの、出版社と連携した取り組みだ。

ところで今回の作品、取り上げられた歴史上の人物の人選が、とにかく渋い。
まず、戦国時代、現在鳥取市にある湖山池西側の防己尾(つづらお)城で、秀吉軍を撃退した智将、吉岡将監(しょうげん)。秀吉軍の攻撃は合計3回行われたが、いずれも巧みなゲリラ戦法で撃退した。秀吉の千成瓢箪の馬印を奪取するほどの大勝だったと伝えられる。
次は、幕末の動乱を戦い抜いた烈士・河田佐久馬。鳥取藩の尊王攘夷派勢力の中心人物となり、戊辰戦争で活躍し、江戸開城後は北関東に転戦した。政府軍の参謀に就任し、会津戦争にも従軍している。明治維新後は、初代鳥取県権令を勤め、元老院議官、貴族院議員等を歴任した。
また、米子城の若き藩主による家老・横田内膳お手討ちから始まった中村家の内乱に巻き込まれながら、義に殉じた剣豪・柳生宗章も登場する。
なんとも渋い、そして男前な人物たちのセレクト。それでいて、カラー描き下ろし特別編「もののふ鳥取紀行」や、彼らが活躍した地を紹介する鳥取の観光・グルメ・温泉、史跡のガイドなども収録し、観光ガイドとしての実用性も何気にばっちり。歴史散歩のお供にしたいところだ。
A5版、192ページ、税込950円。全国書店の他、ネットでも販売されている。リイド社ウェブサイトからも購入できる。