誰もいなくなった村、廃墟と化した寺社... 福井・永谷集落跡の「崩壊美」が切ない

2019年5月20日 06:00

とても現実とは思えない光景――自然が生み出したものや偶然の産物など美しいものが日本にも多くある。

しめ鯖@関西コミティアK15・16+アーティズム(@zz_saba)さんのツイートより
しめ鯖@関西コミティアK15・16+アーティズム(@zz_saba)さんのツイートより

今回取り上げるのはそれらとはまた一線を画す写真。人が去った村で静かに崩れてしまった神社の姿に、思わず息をのんだ。

電気に振り回された村で

こちらはツイッターユーザー・しめ鯖さんの投稿だ。

崩れてしまったお寺と神社――人の手が加えられなくなってしまったために崩れてしまっている。あまりに悲しすぎるが、どこか美を感じてしまう。素直に綺麗と思わせない魅力がある。

投稿にあった「永谷集落」はかつて発電所の計画に振り回されていたという。現在は福井・おおい町の名田庄永谷となっているが、かつては名田庄村の一部であった。

赤いピンの位置が永谷集落 (C)Google
赤いピンの位置が永谷集落 (C)Google

ここに「芦生挙原揚水発電用ダム」との計画があったようだが、京都・美山町(現在の南丹市)にある京都大学の芦生研究林を破壊することに反対した大学や地元住民の猛反対により、ダムの計画自体が白紙になったという。

それであれば永谷集落から人が消える必要もないはずだが、計画が進行する段階で水没地区として半ば強制的に住民が追い出されてしまったようだ。

しめ鯖さん以外にも集落を訪れた人の写真を見ると、かつての人家に、

「部落を割る関電電発に絶対反対 永谷部落」

と書かれた看板が残されている。

ダムそのものの計画が進められていた時期は不明。住民が離れた年もわからなかったが、1985年に最後の住民が離れたとの情報もあった。

仮にこの情報が正しいとすれば34年もの長きにわたって誰も住んでいない。

ここまで崩れてしまう前に同じ場所を訪れた人のページを読むと、倒壊した樹木や土砂が迫ってきているとの記述があり、仮に人が住んでいたとしても写真のような姿になってしまった可能性もある。

自然の呼吸に飲み込まれ、いつかはここに神社や寺があったこと自体が分からなくなってしまう日が来る。

投稿した、しめ鯖さんは国内外の戦跡や世界遺産などの撮影も行っている。

こうした活動の記録は「Distant Worlds」や「だってガチだもの」というシリーズ本にまとめられAmazonでも販売されている。

日本だけでなく世界にも目を向けると人生が変わってしまうほどの空間が見つかるかもしれない。

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