留学=海外は、もう古い? 高校進学には「地方留学」の選択肢もある

2018年6月29日 08:00

「留学」と聞くと、とかく海外への留学を思い浮かべる人が多いだろう。しかし、「留学」とつく言葉について考えてみると、「野球留学」「内地留学」と様々で、必ずしも海外に行くというわけではない。その中の1つに、「地方留学」という言葉がある。

地方留学とは、厳格に定義されている言葉ではないものの、主に都市部に居住していた生徒が、都道府県の境界を越えて地方で学校生活を送ること。では、どんな事例があるのだろうか。

「地方留学」、聞いたことありました?(画像はイメージ)
「地方留学」、聞いたことありました?(画像はイメージ)

月の寮費は食費込みで1~6万円程度

現在、地方留学に対する注目は高まっており、肯定的な効果も表れているという。

日本財団の「地方留学の推進に関する調査研究」(2018年6月)によると、回答があった教育委員会のうち62.2%で地方留学の受け入れを行っており、学力や学習意欲の高まりといった効果の総合評価についても「かなり効果を感じる」「一定程度効果を感じる」としたのが60.8%となり、地方留学が及ぼすポジティブな影響は大きい。さらに、生徒視点から見ても「他社と協力する力」「基本的な生活習慣」などといった側面で成長実感があるケースが多く、76.4%の地方留学経験者たちが「総合的な成長の実感」で「伸びた」「まあまあ伸びた」と回答している。

地域・教育魅力化プラットフォーム(島根県松江市)の公式サイトでは、豊かな自然や異文化に触れる経験や、少人数教育による手厚い教育サービスの提供、地域ならではの体験が可能になっていることを地方留学の魅力にあげている。また、費用も1~6万円程度(月の寮費。食費込み)とリーズナブルだという。

島根県から始まった

そこでJタウンネット編集部は、18年6月26日に地域・教育魅力化プラットフォームの地域みらい留学担当者に、これまでの動きや実例を取材してみた。

「もともと、島根県で地方留学の動きは始まりました。少子化などにより生徒数が減る中で、学校の数が減り、その地域の子どもたちの通学が不便になることが懸念されました。そこで、学校を存続させ、生徒たちを受け入れて人を増やす必要がある、という動きの中で地方留学が生まれました」

島根県では14年から地方留学に関する説明会を行ったといい、「学校レベルでは12年ごろには始まっていたようです」と述べた。

たとえば、県立島根中央高校では県外留学生80人を有している。月額3万1000円~3万2000円(税別)の学生寮を完備しているほか、親元を離れても安心なように後援会から親代わりの「まち親」を募るなどサポートが手厚い。ほか、部活にも運動系・文化系以外に「地域系」のクラブ「しまんーChu!」があるなど、独特の取り組みもみられる。

島根県以外でも、和歌山県立串本古座高校では地域未来について考える「グローカルコース」を有していたり、地域協議会が全国からの入学生をサポートしている。住まいはアパートとなるが、町が物件探しの手伝いをしているなど安心だ。

「学校として地方留学の取り組みを行うことで生徒たちにコミュニケーションが生まれるなどといったプラスの効果が生まれていったんです。そこで、先生たちも魅力的な教育環境をつくる努力をしていまして、それを受けて逆に、『魅力的な教育環境をつくるために地方留学を取り入れよう』という学校も出てきています」

課題は情報不足と効果の可視化

ただ担当者は、「我々としては効果の可視化が課題になっています」とも語る。具体的には、学習意欲の向上が成績の上昇につながる、といった効果を生んでいるかなどだ。実際、先の日本財団の調査においても、「わからない、評価できない」とした教育委員会が30.4%にのぼり、効果測定の難しさは課題であることがうかがえる。

ほかにも同調査では課題として、生徒や親が地方留学に関心を持っていながらも金銭面、進路面、生活面などで不安があることを挙げ、さらに情報不足がその不安増大に拍車をかけていると分析。学校の先生など、身近なつながりから情報を得るケースがほとんどで、自治体や募集している高校の情報が十分に行き届いていないのが現状なようだ。

そのうえで、適切な情報提供の機会を増やすことが重要だとし、地方留学に関する広報やPRを取りまとめる情報提供サイトなどが必要になると結論付けている。さらに、教育的効果についても、評価の改善によりそれを目に見える形にし、かつ受け入れ校のノウハウを共有することも必要となるとしている。

なお、地域・教育魅力化プラットフォームでは、「地域みらい留学フェスタ2018」を実施しており、6月30日には愛知県名古屋市で、7月1日には福岡県福岡市でフェスタが開催される。

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