アイスリーデザインが「Aitria」に社名変更 AI駆動開発で2030年度売上高100億円を目指す
株式会社アイスリーデザインは2026年11月4日、AI駆動開発を軸とした今後の事業戦略とリブランディングを発表した。同日付で社名を「Aitria株式会社(アイトリア)」に変更し、Design・AI・Engineeringの3つを融合したデジタルエンジニアリング企業として事業を展開する。
メディア向け発表会では、独自調査「AI活用実態調査2026」の結果も公表。AIの導入にとどまらず、企業の事業や組織そのものを変革する必要性について説明した。

発表会には、代表取締役社長の芝陽一郎氏が登壇し、リブランディングの背景と新社名に込めた思いを語った。
新社名の「Aitria」は、「AI」とギリシャ語で「3」を意味する「tria」を組み合わせたもの。これまで同社が強みとしてきたDesign・EngineeringにAIを融合し、構想から実装まで一貫してサービスを提供する企業への転換を目指すという。
同社はこれまで350社以上、1,000件以上のプロジェクトを支援してきた。今後はAIを単なる業務効率化のツールとして捉えるのではなく、企画・設計・開発・運用、さらには事業や組織のあり方まで変える技術として活用していく方針だ。
芝氏は、日本のIT業界が人月や工数を中心とした従来の開発モデルから転換する時期に来ていると指摘。AIの活用によって、これまで多くのエンジニアと長い開発期間を必要としていた案件も、少人数で短期間に進められる可能性が広がっていると説明した。

一方で、AIの性能そのものは今後、差別化要因になりにくいとの見方も示した。重要なのは、企業が持つデータや業務知識、AIを使いこなすノウハウだという。
同社では営業活動においても、商談情報や顧客の反応、成約・失注の状況をデジタル化し、AIによる分析を提案内容の改善に活用している。AIを導入するだけでなく、蓄積した知識を実際の業務に生かす仕組みづくりも重視しているという。

発表会では、独自調査「AI活用実態調査2026」の結果も紹介された。
注目されるのは、AI活用の推進者として経営層を挙げた回答者と、そうでない回答者の間で、新商品・サービスの創出を成果として挙げる割合に大きな差が見られる点だ。経営層が推進者となっている場合は64.7%、そうでない場合は8.0%にとどまった。
また、AI活用に伴って求められる能力が変化したという回答は79.1%に上る一方、組織体制や社員の役割を変更したとする回答は42.9%だった。
AIの活用によって求められる能力が変化する一方で、組織体制や社員の役割の見直しには差がみられる。ただし、調査の回答者数は設問によって42〜43人と限られており、結果の解釈には留意が必要だ。また、システム・ソフトウェア開発でAIを活用中、または試験導入中の回答者の68.8%が、要件定義でもAIを利用していた。コードを書くだけでなく、何をつくるべきかを決める上流工程にも活用が広がっていると説明した。
今後はAIエージェントが仕様検討や技術的なチェック、実行支援などを担う場面も増えると予測。少人数の人間と多数のAIエージェントが協働する組織への転換が進むとの見通しを示した。
2030年度に売上高100億円へ、M&Aも成長戦略の選択肢に

事業戦略のパートでは、FY2030(2030年度)に売上高100億円を目指す目標を掲げた。
既存事業の成長に加え、従来強みとしてきたフロントエンドやアプリケーション開発から、サブシステムや業務領域など、より顧客の事業に近い領域へと提供範囲を拡大する。デザインとAI技術を組み合わせ、品質と価格の両立を図りながら大規模案件の獲得を狙う。
また、目標達成に向けてM&Aや資本提携なども選択肢に入れる。芝氏は、既存事業によるオーガニック成長で40億〜50億円程度を目指し、その先の成長をM&Aなどで加速させる考えを示した。AIに強みを持つ企業との連携や、顧客基盤を持つ既存事業者のAI化支援なども視野に入れているという。
AI利用量の増加に伴うトークンコストや、新たな価格設定のあり方も課題として挙げられた。従来の人月課金から、開発スピードや顧客の事業にもたらす成果を踏まえた価格体系への移行を模索する。AIによる効率化を単純な価格引き下げに結びつけるのではなく、顧客の売上向上など事業成果を重視することが重要になるとの認識を示した。
Aitriaは今後、AIを活用した開発プロセスの見直しに加え、組織や事業モデルの変革にも取り組む方針だ。2030年度の売上高100億円という目標に向け、既存事業の拡大とM&Aなどをどのように組み合わせていくかが、今後の事業展開を左右することになる。