浙江省台州市で中国の「隠れたチャンピオン」の台頭を読み解く
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AsiaNet 99892 (0322)
【台州(中国)2023年4月7日新華社=共同通信JBN】1980年代、ドイツの傑出した経営者であるHermann Simon氏は、当時において世界最大の工業製品輸出国であった母国ドイツを研究して「隠れたチャンピオン」という概念を提唱しました。そのとき、産業基盤の弱い中国が、30年以上経って世界の「隠れたチャンピオン」が多数集まる興隆の地になるとは、同氏は想像できなかったかもしれません。
Global Communication Center of Hehe Culture(和合文化グローバルコミュニケーションセンター)によると、中国には現在、独自の新製品を生産する専門的で洗練された企業が7万社以上あり、うち約9000社が産業の「小さな巨人」です。これらの企業は基幹産業の分野に深く関わっており、国内外市場において高い市場占有率と独自の優位性を有しています。これはHermann Simon氏が定義する「隠れたチャンピオン」に似ています。
なぜ中国では、わずか30年余りでこれほど多くの「隠れたチャンピオン」が台頭したのでしょうか。もし、Hermann Simon氏が中国東部の経済の一大勢力である浙江省台州市を訪れる機会があったなら、同氏はその疑問についての十分な解答を得ていたでしょう。
山と海に囲まれたこの由緒ある都市には、医療、自動車、工作機械、金型など、それぞれ生産高が100億元を超える27の産業クラスターがあります。また、35社の「隠れたチャンピオン」と90社の国家的な専門・高度企業があり、独自の新製品を生産し、ここで生産された307の製品は国内外でトップシェアを誇っています。
台州のPrecious Technology Groupの製品ショールームでは、さまざまな機能を持つ厚物用工業用ミシンがショールームの半分を占めています。今年2月、同社は厚物用工業用ミシン製品のセグメンテーション分野における優位性を評価され、浙江省の「隠れたチャンピオン」企業に認定されました。
Precious Technology GroupのLuo Yiming副社長兼最高エンジニアは「本機のプレッサーは自社で発明した双方向調整装置を備えており、厚い材料を上方移動させる作業が簡単に行えます。しかし、同様の機能を持つ海外製品は、生産を止めてレンチなどの工具で調整する必要があり、利便性に欠けています」と述べ、同社の製品の価格は3分の1ほど割安であると付言しました。
Precious Technology Groupから約20キロ離れたところに、ニッチ市場におけるもう1つの「小さな巨人」であるJCtimes Groupがあります。
中国国内では、JCtimes Groupが生産するプラスチック押出金型だけが高品質の光学フィルムを提供でき、主要な国内携帯電話ブランドのバックプレーン製造に広く使用されています。一見すると紙のような薄さですが、何百もの層で構成されています。20年以上の開発期間を経て、JCtimesはこの市場セグメントで世界のトップ3企業になりました。
市場の隙間に目を向け、専門分野の開発に力を注ぎ、本業を中心として絶えず革新していくという道筋は、Precious Technology GroupやJCtimes Groupといった台州の「隠れたチャンピオン」が国内外の激しい競争に勝利する中で誰の目にも明らかな方向です。しかし、台州企業の工業的台頭の背後には、多くの隠れた要因があります。
台州の「隠れたチャンピオン」は、長く続いてきた力強い進取の文化に根ざしています。
改革開放以来、台州は中国で初の合資会社、初の民間自動車企業、初の民間商業銀行、初の民間高速鉄道を誕生させ、同国初の株式協力制度の実施に関する公式文書を発行し、台州スタイルの民間経済発展ブームが生まれました。
台州には平均して8人弱に1人の起業家がいて、冒険を恐れずベストになることは台州の人々の体に脈々と流れる同市の行動規範です。
台州の「隠れたチャンピオン」は、透明でオープンなビジネス環境の中で成長しています。現地政府はマクロ管理と市場原理との積極的な相互作用に取り組み、民間企業が比較的自由に成長し、発展に専念できるようにしています。
特にここ数年、台州は世界銀行の基準に沿った最良のビジネス環境を構築するために尽力し、ビジネス環境の最適化と改善に関する特定タスクチームを立ち上げました。これは政府の作業課題の最優先事項です。民間企業の継続的な輝かしい業績を後押しするための勢いを集めるために、多数の措置が講じられてきました。
台州の「隠れたチャンピオン」は、研究開発への一貫した投資で飛躍しました。
台州で新製品やユニークな製品を生産している90社の国家専門高度企業の研究開発投資は、平均で収益の5.3%を占めています。
また、台州の企業は上海、杭州、武漢など、国内外の大学資源が豊富な大都市に研究開発センターを設立し、外部の支援を活用しています。これまで、台州は長江デルタに14の科学技術イノベーションのエンクレーブを作り、多くの単科大学や総合大学を誘致して研究開発プラットフォームと変革拠点を設立しました。
さらに、台州は強力なデジタルツールを活用して企業の変革とアップグレードを可能にし、革新的な金融政策と商品を通じて企業の発展に資本支援を提供し、有利な地理的位置を生かして国内外でその展開とビジネスを拡大しています。
こうした固有の土壌でますます多くの企業が開業して急速に発展し、それによって台州は科学技術イノベーションを推進するパイロット都市、そして国家イノベーション都市になりました。
このダイナミックな都市は、「隠れたチャンピオン」の発展とともに世界的な影響力を持つ製造拠点へと向かっており、新しい「メード・イン・チャイナ」の台頭をより鮮明に示す事例を生み出しています。
ソース:Global Communication Center of Hehe Culture
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(画像説明:JCtimes Group産業パークとJCtimes Groupが生産した機器)