「髪の毛に優しいカールアイロン」を卒業研究で試作。国際高専5年生の瀬戸悠華さん
100℃以下でもきれいな渦巻き状のカールを生成。楽しさ広がる
2023年2月6日
学校法人金沢工業大学
【表:https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M103034/202302042675/_prw_OT1fl_8dscEnm9.png】
国際高等専門学校([金沢キャンパス]石川県金沢市久安2-270 /[白山麓キャンパス]石川県白山市瀬戸辰3-1。以下「国際高専」)は「エンジニアリングデザイン教育」を教育の中心軸に据えています。
先日行われた5年生による卒業研究「エンジニアリングデザインV」最終報告会から、瀬戸悠華さんの実践例「Improving a hair curling iron considering less damage for hair」(髪の毛に優しいカールアイロンの提案)をご紹介します。
【瀬戸悠華さんのプレゼンテーションの要約】
[背景と目的]
・研究のきっかけは,カールアイロンの使用後に実感する髪のパサつきでした。
・髪の約80%はタンパク質でできています。髪は100℃以上の加熱を繰り返すとタンパク質変性が起き、一度硬化した髪は元に戻らないといわれています。
・カールアイロンは加熱したヒータに髪を巻く簡単な方法で巻きぐせがつくれます。しかしヒータ温度が150℃~200℃と高く、髪をヒータに当てる時間の調節はユーザーの感覚に委ねられ常に髪のダメージリスクがともなうという課題があります。
・そこで熱による髪のダメージを改善するために、低温ヘアカールアイロンの開発研究に取り組みました。
[低温ヘアカールアイロン]
・ヒータ基本特性、機構構成、電気回路やプログラミング等について検討・実験を重ねて、最終的に図1のプロトタイプを作りました。その開発コンセプトは次の通りです。
(1)具体目標としてヒータの加温温度は100℃以下に抑える
(2)加温温度を低くすることによってカールが弱くなる分をおぎなうために、加温成形の後にヒータを急冷し髪の水素結合を促進させて形を固めるヒートクール法を提案
(3)ヒートクール法を実現するためヒータ熱源にペルチェ素子を使用
(ペルチェ素子の通電方向で熱の移動方向が入れ替わる可逆性を利用)
[プロトタイプの評価]
・人毛サンプルを用いたカーリング実験から、100℃以下でもカールができることが示され、カール径が加温温度と保持時間に相関があることがわかりました。(図2)
・ 次に自分の髪にスタイリングを試みてその施工性を確かめました。意外にきれいな渦巻き状のカールが生成されました。(図3)
・ カールをほどこした髪の分析までは至らなかったため、低温加工のダメージ改善への寄与について今後あきらかにする必要があります。
・ そのほか実際に使用しての気づきとして、お気に入りの加工条件を制御マイコンにいくつか登録しておくことで、頭の場所ごとにカールの具合を変えたり、家族で使い分けができ使う楽しさが広がりそうです。またヒータは冷めた状態で1工程が自動終了するので、次の場所を巻く際にヒータに触れてもやけどする心配がなく、ユーザビリティが改善している点も訴求できそうです。
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【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202302042675-O2-A0y1CqZS】
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【国際高専のエンジニアリングデザイン教育について】
国際高専のエンジニアリングデザイン教育は、工学教育の世界標準であるCDIO(Conceive[考え出す]→Design[設計する]→Implement[実現させる]→Operate[運用する])と、ユーザー視点での価値創出手法である「デザインシンキング」を取り入れているのが特徴です。ユーザーにとって何が問題で何を必要としているのかアイデアを創出し、モノやシステムなどのプロトタイプ(試作モデル)を作りながら、よりよい解決策を考えて行く中で、イノベーションを創出する力を実践的に身につけます。
5年生のエンジニアリングデザインは卒業研究に相当し、学生が取り組みたいテーマに対して指導教員がつきます。またテーマによっては国際高専の教員と併設校の金沢工業大学の教員がタッグを組み、研究指導に当たることも「KIT(金沢工業大学)/ICT(国際高専)スクールシステム」を構築する国際高専の強みとなっています。
中学生のみなさんも国際高専で一緒に新たな価値を生み出すワクワク感を体験してみませんか。