Artmarket.com:香港の急成長の文脈にみるフリーズ・ロンドン、そしてArtpriceがとらえたその他のアート市場の変化
AsiaNet 98274
【パリ2022年10月18日PR Newswire】イギリスは2022年上半期、アートオークション全体での売上高26%増という数字を記録し、3年ぶりとなる好スタートを切りました。それに続いてロンドンが迎えたのが、「フリーズ・ロンドン」および「フリーズ・マスターズ」です。この両フェア(リージェンツ・パークにて10月12日~16日まで開催)と並び、同地ではもちろん複数の名のあるセールの開催も予定されています。長らく世界のアート市場の首都として君臨してきたロンドンは、現在でも世界で2番目の規模を誇る市場となっています。ただし、ブレグジットの影響、香港の台頭、アートのデジタル化といった事柄に直面するこの都市にとって、その地位はもはや安泰とは言い難い状況となっています。
ファインアートオークションの売上高 – ロンドン対香港
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「18世紀、クリスティーズ、サザビーズ、フィリップス、ボナムスといった主要オークションハウスが誕生した地、それがロンドンです」と、Artmarket.comのCEOであり、Artprice創設者のthierry Ehrmannは歴史を紐解きます。「20世紀になると、ニューヨークが、ますますグローバル化を遂げるアート市場の新たな中心地となりました。アート市場は電気通信、そして後にはインターネットの到来により、明白に流動性を増していくこととなりました。今日、香港では傑作が高値で取引される一方、パリはブレグジットの帰結を優位に利用しようとうかがっています。さらに、アート市場のうちの一部はWeb3へと向かっており、これにより市場の分散化がますます強まっていくものと考えられます」
グローバルな競争が激化し、倍増する中で、ロンドンが切り札とできるのはオールド・マスター、近代アート、戦後美術のセールスに対する確固たる評価です。ただし、これに加えてロンドンに求められるのは、超現代アートの交流および革新の場としても存在感を示していくことです。顕著な価格高騰(そしてNFT革命)を煽り、またそれに煽られつつ、このセグメントは、グローバルアート市場の一番の原動力となっています。香港が見せる成長は、この現象をよく象徴しています。
フリーズブランドフェアのネットワーク
アートの世界では、シナジーは通常、スタイルや時代の混交から生まれます。ヴェルサイユ宮殿に踏み込んだJeff Koons、村上隆、Anish Kapoorなどはその例といえます。この種のミックスは、ギャラリーがなぜ、自らが取り扱う20世紀アートを代表する著名なアーティストの作品と並べて若手アーティストの作品を展示することを好むのかを一定程度説明するものでもあります。これは、現代アート専門のフェアと、オールド・マスターのみを扱うもう一つのフェアとを同時開催し、現代のアート作品を美術史的観点に位置付けようとするフリーズが用いる切り札でもあります。実際のところ、Continua、Kamel Mennour、Skarstedtなどの名だたる一流ギャラリーは、一般に考えられるのとは逆に、「現在」よりも「過去」にフォーカスすることを好むようになっているのです。
フリーズ・グループは、さらに、主要なオークションハウスが行っているような、ハイエンドなアート市場における地理的な多角化の利点にも気づいています。2000年代初頭にイギリスの首都ロンドンの中心地でスタートしたフリーズは、その後アメリカへも進出、2016年にはまずニューヨークで、2019年にはロサンゼルスでの開催が行われるようになりました。さらに今年は、第一回目となるフリーズ・ソウルの開催によりアジアにも進出を果たしました。フリーズは現在、MCHグループの最も有力なライバルの座にまで上り詰めているといえます。MCHグループは、あの名高いアートバーゼルフェアを手掛けるグループです。アートバーゼルは、バーゼル、マイアミ、香港で開催されているほか、2022年10月20日~23日にグラン・パレ・エフェメールで開催のParis+でフランスにも進出予定です。
香港と五分五分の戦いを繰り広げるロンドン
2021年、ファインアートのオークション売上高では、香港(17億ドル)はロンドン(19億ドル)にわずかに及びませんでした。ただし、現代アートのセグメント(1945年以降生まれのアーティスト)に注目すると、香港がロンドンを上回りました(香港が7億ドルに対しロンドンは4億3,200万ドル)。アジアの買い手は、世界の他のどの地域よりも急速に現代アート作品の価格を押し上げています。事実、2021年の香港のアートオークション市場では、現代アート作品のロット数はわずか2,160(6,500ロットのロンドンの3分の1)であったのに対し、現代アート作品の平均価格としては、32万5,000ドルという圧倒的な最高額が記録されました。
2021年の制作時期別オークション売上高(ロンドン対香港)
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主要なオークションハウスは中国の「特別行政区」香港に渦巻く活力を歓迎しており、20世紀や21世紀を代表するJean-Michel BasquiatやGerhard Richter、Adrian Ghenieといったアーティストに関して、ロンドンよりも香港を好む傾向を強めています。その時点で一番旬のアーティストの作品をニューヨーク、ロンドン、香港で交互に販売するという主要オークションハウスの戦略は、グローバルなアートオークション市場におけるアメリカ、ヨーロッパ、そしてアジアの相対的な成功の度合いに決定的な影響を及ぼしています。
この戦略が明白に見て取れるのが、超現代アート(40歳以下のアーティスト)のセグメントです。このセグメントからは、Matthew Wong(1984-2019)、Avery Singer(1987)、Aboudia Diarrassouba(1983)、Amoako Boafo(1984)といった市場の新たなスーパースターたちの作品がこれら3都市全てで販売されており、オークションハウスによる思い切った予想額をさらに超える落札結果もしばしば生まれています。
欧米をリードするアメリカとイギリス
https://www.artprice.com/artprice-reports/the-contemporary-art-market-report-2022/the-united-states-and-the-uk-lead-the-dance-in-the-west
このような中、フィリップスは、時計、ジュエリー、デザインと並ぶハウスの得意分野となった現代アートおよび戦後美術のセールを活性化するべく、ますますこのダイナミズムに依拠するようになっています。また、フィリップスは先ごろ、香港および北京でのセールの開催についてYongleとの提携を行ったことを発表、中国のアート市場への強い関心を明確に示しています。すでに2021年には、フィリップスはPoly Auctionとの提携を行い、総額1億7,600万ドルとなる4回のセッションを開催しています。
アート市場の再構築の中で
現在のところ、ロンドンは、世界のアート市場に君臨する3大都市のひとつとしてまぎれもない地位を占めています。さらに、この都市は成長へと戻る道筋を見つけたかのような様相さえ見せています。ただし、オークションの売上高総額は2008年や2014年と比較してまだかなり低い水準にとどまっています。さらに、2022年上半期には香港をリードしたとはいうものの、これは、もしこの上半期に中国が思い切ったゼロコロナ政策をとらなければ実現しなかったものと考えられます。香港市場は、本年下半期には再び盛り上がりを見せていくものとみられています。
そんな中、フリーズ・ロンドンからちょうど1週間後のパリでは、名高いアートバーゼルフェアによるParis+が開催されます。FIACの代わりとして今回初めて開催されるこのParis+には、さまざまな疑問や期待の声が上がっています。
アート、そしてアート市場のデジタル化の流れに関しては、「クリスティーズ3.0」(nft.christies.com )の立ち上げにより、事態は急速に進展しています。
ロンドンは、自らが築いてきた長い歴史、そしてファインアートのセールにおける確固たる評価を強みとすることはできるかもしれません。ただし、そんなロンドンも、今日、超現代アート、そしてアートNFT市場が放つエネルギーを無視することはできないでしょう。
画像:
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ArtmarketとArtprice部門を動画で見る: www.artprice.com/video
Artmarketとその部門であるArtpriceは、1997年にCEO Thierry Ehrmannによって創立されました。Artmarketとその部門であるArtpriceは、1987年創立のServeurグループの管理下に置かれています。
Who's who(C)内の公式バイオグラフィーを見る:
Biographie_thierry_Ehrmann_2022_WhosWhoInFrance.pdf
Artmarketは、美術品市場におけるグローバルプレイヤーです。中心となるArtprice 部門は793,000人以上のアーティストを網羅する3,000万以上のインデックスとオークション結果を含むデータバンクを所有しており、これまでと現在の美術品市場情報の蓄積、管理、活用の分野における世界的リーダーとなっています。
Artprice by Artmarketは、美術品市場に関する情報を提供する世界的なリーダーであり、世界標準のマーケットプレイスを通じて、世界有数の美術品NFTプラットフォームになることを目指しています。
Artprice Images(R)は、世界最大のアート市場イメージバンクのデータベース無制限アクセスを提供しています。このデータベースには、1700年代から今日までのアート作品の1億8,000万を数えるデジタル写真とエッチング画像が、美術史家のコメント付きで収められています。
ArtmarketはArtpriceとともに6,300にのぼるオークションハウスからの情報をたえず収集し、主要なプレス、メディアエージェントに向けてアート市場のキー情報を提供しています(出版数7,200)。540万人のユーザー(ログインメンバーとソーシャルメディアユーザー)が、メンバーの投稿する広告へのアクセスを有し、リーダー的なGlobal Standardized Marketplace(R)を代表するネットワークとして、固定ないしは入札価格でのアート作品の売買を取り扱います(オークションはフランス商法のL 321.3条における第2、3段落の定めによって規定されています)。
ArtmarketはArtpriceを含めて、BPI(国立投資銀行)から「イノベーティブ企業ラベル」国立認定を受け、2018年11月から2回目となる3年間の国立支援を獲得しています。これに力を得て、アート市場におけるグローバルプレイヤーとしてのポジション強化プロジェクトに取り組んでいきます。
Artpriceが超現代アート市場についての2022年レポートを発表:https://www.artprice.com/artprice-reports/the-contemporary-art-market-report-2022
Artprice 2022 年半期レポート:アート市場は西側で力強い成長を取り戻す:https://www.artprice.com/artprice-reports/global-art-market-in-h1-2022-by-artprice-com
Artprice by Artmarketによる2020 年度グローバルアート市場報告(2022年度3月発表):https://www.artprice.com/artprice-reports/the-art-market-in-2021
Artmarket.comによるArtpriceの2020年と2021年の現代アート市場レポート:https://www.artprice.com/artprice-reports/the-contemporary-art-market-report-2021
Artmarket と Artprice によるプレスリリースのインデックス:
serveur.serveur.com/Press_Release/pressreleaseEN.htm
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ArtmarketとArtprice部門の仕事や世界観をみる https://www.artprice.com/video 有名なOrgane Contemporary Art Museumに本社を置く“The Abode of Chaos”(The New York Timesより): https://issuu.com/demeureduchaos/docs/demeureduchaos-abodeofchaos-opus-ix-1999-2013
*L'Obs - 将来の美術館:https://youtu.be/29LXBPJrs-o
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(日本語リリース:クライアント提供)