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インシリコ・メディシンがAI駆動型標的探索エンジンで筋萎縮性側索硬化症(ALS)の複数の新規標的を同定

2022.07.08 10:25

AsiaNet 96852

・インシリコとその共同研究者が、インシリコ独自のAI駆動型標的同定エンジンPandaOmics(TM)で膨大なデータセットを精査し、ALS関連遺伝子を発見した。

・CNSおよびdiMNのサンプルから28の標的が同定され、そのうち18の標的(64%)は、抑制することで神経変性が中程度または強力に抑制した。

・本共同研究は、インシリコが主導し、Answer ALSおよびジョンズ・ホプキンス大学医学部、ハーバード大学医学部提携病院のマサチューセッツ総合病院、メイヨー・クリニック、チューリッヒ大学、4B Technologies, Limited、清華大学、バック老化研究センターの研究者の支援を得て行われた。

【ニューヨーク2022年7月8日PR Newswire】

臨床段階のエンドツーエンドの人工知能(AI)創薬企業インシリコ・メディシン(Insilico Medicine)は8日、同社独自のAI駆動型標的探索エンジン「PandaOmics(TM)」を使用し、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の報告されていない複数の潜在的治療標的を同定したと発表した。本研究は、史上最大かつ最も包括的なALS研究プロジェクト「Answer ALS」と共同で実施された。本研究成果は、「フロンティアズ・イン・エイジング・ニューロサイエンス(Frontiers in Aging Neuroscience)」誌7月7日号に掲載された。

世界中で70万人以上の人々が、ルー・ゲーリッグ病としても知られるALSと共に生活している。ALSの患者は、自発的な筋肉の動きが失われていくため、歩く、話す、食べる、そして最終的には呼吸をすることもできなくなる。ALSの進行は概して早く、患者の平均余命は発症から2-5年である。残念ながら、現在承認されているALS治療薬では、機能の喪失を食い止めたり、元に戻したりすることはできない。

研究者チームは、膨大なデータセットを活用し、新しい治療薬用の標的となり得る疾患関連遺伝子を発見した。インシリコ独自のAI駆動型標的発見エンジンPandaOmics(TM)は、公開データセットの中枢神経系(CNS)サンプルやAnswer ALSから直接提供を受けたiPS細胞由来の運動ニューロン(diMN)の発現プロファイルの分析に役立てられた。

本研究の結果、CNSとdiMNのサンプルから17の信頼性の高い標的と11の新規治療標的が同定された。これらの標的は、ALSの最も一般的な遺伝的原因を模倣したc9ALS Drosophilaモデルでさらに検証され、そのうち18の標的(64%)がALSと機能的相関を持つことが確認された。特に、KCNB2、KCNS3、ADRA2B、NR3C1、P2RY14、PPP3CB、PTPRC、RARAの8つの未報告遺伝子は、それらを抑制することで神経変性が強力に軽快した。治療標的となり得る全遺伝子が、論文およびALS.AIで開示された。論文は、以下で入手可能。DOI:10.3389/fnagi.2022.914017

インシリコ・メディシンの創業者兼最高経営責任者(CEO)であるAlex Zhavoronkov博士は「本共同研究の成果は、人の専門知識とAIツールを組み合わせ、満たされていないニーズの高い疾患の新たな標的を発見すれば、何が可能になるのかを示した」「これは始まりに過ぎない」と語った。

本研究は、インシリコのグレーターベイエリア・チームの責任者、Frank Pun博士が主導した。共著者には、インシリコのZhavoronkov博士、共同CEO兼最高科学責任者(CSO)のFeng Ren博士、生物学部門責任者のJu Wang博士も名を連ねた。メイヨー・クリニック、チューリッヒ大学、清華大学、4B Technologies、ジョンズ・ホプキンス大学医学部、ハーバード大学医学部、バック老化研究センターの研究者も本研究に貢献した。

ジョンズ・ホプキンス大学ロバート・パッカードALS研究センターおよびAnswer ALSのディレクター、Jeffrey D. Rothstein医学博士は「Answer ALSのデータがALSの病因となり得る経路や薬剤候補の同定に利用されているのは本当にうれしい」「インシリコの研究こそ、こうした前例のないプログラムならALSの進路を変えるのに役立つだろうと想定された研究方法だ」と語った。

ハーバード大学医学部提携病院のマサチューセッツ総合病院神経内科部長兼ヒーリー & AMG ALSセンターのディレクターで、責任著者でもあるMerit Cudkowicz医学博士は「AIの力がALSの生物学的理解に役立つのを目の当たりにして、わくわくしている」「私は、Sean Healey氏と彼の友人を通じてZhavoronkov博士とインシリコ・チームに紹介された。われわれはすぐに、インシリコ・チームを学際的なAnswer ALSチームとつなげることに将来性を見出した。今回の知見を、ALSと共に生きる患者の治療のための新たな標的に変える次のステップに期待している」と語った。

4B Technologies創業者でもあるBai Lu清華大学教授は「膨大なデータセットに基づくAI駆動型標的探索から、数多くのモデルシステム(ハエ、マウス、ヒトiPS細胞)による生物学的検証、そして医師主導治験(IIT)による迅速な臨床試験まで、この新たなトレンドは、医薬品開発、とりわけ神経変性疾患用医薬品開発のコストと期間を劇的に引き下げ、そしてより重要な成功率を上げる可能性がある」「われわれは、この国際チームの一員となれたことを非常にうれしく思っており、これらの新たな標的を臨床的に検証する今後の取り組みに大いに期待している」と語った。

インシリコ・メディシンの共同CEO兼CSOのFeng Ren博士は「これで、当社の生物学AIプラットフォームPandaOmicsの標的探索力が実証された。AIによって同定された標的の約70%(28個中18個)が前臨床動物モデルで有効性が確認されたのは印象的だ」「当社は、いくつかの標的をALSの臨床試験段階にまで進められるよう、共同研究者と協力を続けている。同時に、PandaOmics(TM)の活用をさらに拡大し、腫瘍、免疫、線維症など他の疾患領域の新規標的発見も進めている」と語った。

インシリコ・メディシンは2016年から、PandaOmics(TM)を使用し、利害関係者と共にALSの標的探索と薬剤に新たな薬効を見出す(リパーパシング)研究を行ってきた。本研究で、ALS神経変性に潜在的な役割を果たす治療標的を同定できるAIツールであるPandaOmics(TM)が、この希少かつ致命的な神経筋疾患に対する理解を深め、創薬に向けた新たな道を切り開いていけることがあらためて確認された。

▽PandaOmicsについて

PandaOmicsは、AIを活用した生物学的標的探索プラットフォームである。高度な深層学習モデルとAIアプローチを活用し、Omics AIスコア、テキストベースのAIスコア、財務スコア、キーオピニオンリーダー(KOL)スコアを組み合わせることで、与えられた疾患に関連する標的遺伝子を予測するもので、現在、学術・産業の両分野で採用されている。同アルゴリズムは、新規性、信頼性、商業的扱いやすさ、創薬可能性、安全性など、標的選択の判断材料となる重要な特性に基づき、タンパク質標的に優先順位を付けることもできる。

▽インシリコ・メディシン(Insilico Medicine)について

臨床段階のエンドツーエンドの人工知能(AI)創薬企業インシリコ・メディシンは、次世代AIシステムを使い生物学、化学、臨床試験分析を結びつけている。同社は、深層生成モデル、強化学習、トランスフォーマー、その他最新の機械学習技術を活用し、新たな標的を発見し、望ましい特性を持つ新たな分子構造を設計するAIプラットフォームを開発してきた。インシリコ・メディシンは、がん、線維症、免疫、中枢神経系疾患、老化関連疾患用の革新的医薬品を発見、開発するための画期的ソリューションを提供している。

(日本語リリース:クライアント提供)

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