熱中症シーズン、朝食抜きやダイエットが危険なワケ。
食事で生命維持に必要な1日水分量の約半分を摂っている⁈ ―体水分マネジメントのススメー
教えて!「かくれ脱水」委員会
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わたしたちは、普段の食事によって1日に必要な水分(水+電解質)の約半分を摂取しています。「かくれ脱水」JOURNALでは、過去にも紹介していますが、残念ながら、まだ一般には浸透していない事実です。水と電解質の摂取によってつくられる体液は、日々入れ替わりわたしたちの健康を維持しています。脱水症や熱中症のリスクを避けるだけでなく、健康を維持するためにも、食事から摂れる水分は重要な役割を果たしているのです。
【監修】 教えて!「かくれ脱水」委員会委員長 服部益治(はっとり・ますじ)先生
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社会福祉法人 枚方療育園 医療福祉センター さくら 院長兵庫医科大学 特別招聘教授 医学博士
日本小児科学会 (専門医)、日本小児保健協会会員、日本腎臓学会 (指導医・専門医)、兵庫県小児科医会 (顧問)、日本夜尿症学会(常任理事)など。著書に、『腎・泌尿器疾患診療マニュアル(共著)』(日本医師会)、『腎臓病の食事指導ハンドブック(共著)』(南江堂)、『保健医療ソーシャルワーク実践(共著)』(中央法規出版)、『子どもの臨床検査-脱水(共著)』(診断と治療社)など
16%の人しか知らない! “水分量の半分は食事から”
わたしたちの1日に必要な水分(水+電解質)は、一般的に1500ml〜2500ml。そのうち約半分の量を、食事から摂取しています。しかし残念なことに、まだあまり知られていないことがわかっています。
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出典:株式会社大塚製薬工場大塚製薬工場
カラダの水分(体液)や脱水症・熱中症の認識に関する実態調査(2022年)
2022年1月に実施された大塚製薬工場のインターネット調査(対象:20歳〜69歳 1030名)によると、「1日に必要な水分の約半分は食事から摂っている」「食事量の減少により脱水症になり得る」ことについて、「知っている」と答えた方々は、それぞれ約16%、18%でした。
また、健康な状態ではカラダに入ってくる水分量と出ていく水分量が同じに保たれていることへの認識も13.6%と低いようです。
食事は栄養とカロリーを摂るものと捉えている人が多いのではないでしょうか。実は生命を維持することに直結する水と電解質の摂取は、二の次というのが実情のようです。
小児と高齢者の、食事からの水分摂取の重要性
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食事による水分の摂取が、1日に摂取する水分量の約半分を占めていることを知ると、様々なことに気づきます。たとえば、高齢者が熱中症になりやすい、脱水症になりやすいことには幾つかの理由がありますが、なかでもカラダの水分貯蔵庫である筋肉の量自体が減少傾向に向かうことと、食事量の減少に伴う水分摂取量の低下が大きな要因です。カラダに蓄えられる水分量が少なくなっている高齢者は、1日3回の食事とこまめな水分補給が特に重要だとわかります。
また、カラダの生理機能が十分に発達していない小児は、皮膚や呼吸から自然と失われる水分量(不感蒸泄)が多く、汗腺の発達も未熟で体温調節がうまくできせん。遊びなどに夢中になりやすく、体の異変や喉の渇きに気づきにくいことも脱水状態を進める要因となります。意識的に水分摂取が必要な小児が、欠食することは、出来る限り避けるべきなのです。
水分視点で見る朝食の重要性
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年齢に関係なく、朝食抜きで早朝のクラブ活動に参加したり、仕事に出かけたりした人が脱水症や熱中症になりやすいこともそうです。私たちは、睡眠中にコップ1杯程度の汗をかいています。朝は、1日のうちでも、脱水リスクが高くなっている状態。それを朝食に含まれる水分によって補っているのです。
朝食の欠食により脱水状態になった場合は、集中力を欠如させることもわかっています。表立った脱水の症状が表れなくとも、工場などで働く人にとっては事故の原因となったり生産性に影響したりすることが考えられます。学生なら、勉強への悪影響があるでしょう。
近年、健康を考える上で、5大栄養素の役割や摂取カロリーについて意識する人は増えているのではないでしょうか。
栄養素については、非常に多くの種類のサプリメントが販売されていますし、肥満やシェイプアップなどを意識したカロリーコントロールや、健康を意識したさまざまな食事制限法も、世代や性別を超えて実践している方がいらっしゃいます。
熱中症や脱水症対策には、3度の食事をちゃんと摂ることが大切。3度の食事により水分と塩分などの電解質を適時適切に摂ることで、一日健やかに過ごせる基本ができると考えられます。
最近は、1日一食や二食といったライフスタイルもトレンドになっています。若い世代には朝食抜きが定番化している層もあるといいます。1日の食事量の増減ですぐに栄養不良になることはそう多くないと考えられますが、朝食を抜いた場合などは、食事量の減少にともなう
脱水症のリスクが高まっていると考えられ、要注意です。
場合によっては、経口補水液を活用する
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せっかく健康のために行っている食事量の調節も、気を付けないと脱水症リスクが高くなり、季節によっては熱中症リスクも高めてしまうのでは本末転倒です。健康維持や美容のために食事量を調節するという人も、極端に量を減らしたり欠食したりしてしまうと、自然に食事から摂れるはずの水分がとれず、体水分量が減少し、本来の水分出納バランスが崩れてしまうことを知りましょう。健康増進の目的で食事量を減らす場合や止むを得ず食事を抜いてしまう場合などは、いつも以上に食事以外の水分補給に気を使ってください。
その場合の水分補給は、“水+電解質”を意識すること。1日の出納を考えた体水分マネジメントを心がけましょう。
食事量の調節で脱水症になった場合は、脱水した体に必要な水と電解質をバランスよく含んだ経口補水液の摂取が役に立つと思います。その備えとしての経口補水液を常備しておくと良いと思います。