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KaryopharmとMenarini Groupの難治性多発性骨髄腫治療薬「NEXPOVIO(R)(selinexor)」に対しCHMPが肯定的見解

2022.05.24 12:34

AsiaNet 96116 (1186)

【ニュートン(米マサチューセッツ州)、フィレンツェ(イタリア)2022年5月20日PR Newswire=共同通信JBN】
*約60日以内に欧州委員会の決定が出る見込み

新たながん治療のパイオニアである商業期製薬会社Karyopharm Therapeutics Inc.(Nasdaq:KPTI)と、株式非公開の国際的大手製薬会社Menarini Group(「Menarini」)は20日、欧州医薬品庁(EMA)ヒト用医薬品委員会(CHMP)が、ファースト・イン・クラスの経口エクスポーティン1阻害剤「NEXPOVIO(R)(selinexor)」の週1回のボルテゾミブ(ベルケイド(R))および低用量デキサメタゾンとの併用(SVd)について、1-3回の前治療歴がある成人の多発性骨髄腫治療薬として承認を勧告する肯定的見解を採択したと発表した。

CHMPの肯定的見解は販売認可に向けた科学的勧告で、KaryopharmのNEXPOVIO承認申請に対する欧州委員会(EC)の決定前の最終ステップの1つである。ECの決定は、CHMPの勧告後、約60日以内に行われる見込み。KaryopharmとMenarini Groupは2021年12月、NEXPOVIO(R)(selinexor)の欧州における商品化のための独占的ライセンス契約を締結している。

KaryopharmのRichard Paulson社長兼最高経営責任者(CEO)は「治療法の進歩にもかかわらず、多発性骨髄腫は依然として治療が困難な不治の病だ」「本日のCHMPの肯定的見解で当社は、NEXPOVIOの新規作用機序の恩恵を受ける可能性のある世界中の患者がNEXPOVIOを使えるようにするという目標に一歩近づいた。商品化の専門知識および欧州に確固たる伝統と実績を持つMenariniを今回の取り組みのパートナーにできてうれしい」と語った。

MenariniのElcin Barker Ergun最高経営責任者(CEO)は「CHMPがNEXPOVIOを支持する勧告を出したこと、それが新しく革新的な治療オプションを必要としている多発性骨髄腫患者にとって意味することに感動している」「ECの販売認可が下りるまで、この重要な治療薬を欧州の患者が使用できるようにするべく、関係当局と緊密に連携していく」と語った。

Karyopharmの申請は、再発または難治性の多発性骨髄腫患者を対象にSVd3剤併用治療を評価、2020年11月にランセット誌(Grosicki, et al.)に掲載された第3相BOSTON試験のデータが裏付けとなっている。今回のCHMPの見解は、2020年12月に米食品医薬品局(FDA)がNEXPOVIO(R)(selinexor)を、少なくとも1回の前治療歴のある多発性骨髄腫患者に対するSVd併用療法薬として承認したことを受けたものである。

▽第3相BOSTON主試験について
第3相BOSTON(ボルテゾミブ、Selinexor、デキサメタゾン)試験は、1-3回の前治療歴がある再発または難治性の多発性骨髄腫成人患者402人を評価した多施設・無作為化試験(NCT03110562)である。本試験は、週1回投与のSVdと週2回投与のボルテゾミブと低用量デキサメタゾン(Vd)の有効性、安全性および特定の健康に関連した生活の質のパラメータを比較するべく設計された。本試験の主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)、主な副次価項目は全奏功率(ORR)、末梢神経障害発生率などだった。さらに、BOSTON試験では、独立審査委員会(IRC)により客観的(定量的)な病勢進行が確認されれば、Vd対照群の患者のSVd群への移行が認められた。BOSTON試験は、世界各地の150を超える臨床施設で実施された。

本試験では、治療歴のある骨髄腫患者を対象としたベルケイド(R)ベースの他の試験と比べ細胞遺伝学的リスクの高い患者の割合が高かった(~50%)にもかかわらず、PFS中央値はVd群の9.46カ月に対しSVd群は13.93カ月と、PFS中央値は4.47カ月(47%)も長かった(ハザード比(HR)=0.70;p=0.0075)。SVd群はVd群に比べ、ORRも有意に優れていた(76.4%対62.3%、p=0.0012)。前治療が1回だけの患者も、SVd群はVd群に比べ高いORRを示した(80.8%対65.7%、p=0.0082)。重要なのは、SVd療法はVd療法と比較して、いくつかの重要サブグループで一貫してPFSの延長と高いORRを示したことである。

さらに、以下のような結果が、Vd療法と比較してSVd療法を支持した。

SVd療法はVd療法と比較して、非常に優れた部分奏功以上と定義した「深い奏功」の割合が有意に高く(44.6%対32.4%)、奏功期間の中央値も長かった(20.3カ月対12.9カ月)。さらに、SVd群の患者の16.9%が完全奏功または厳密完全奏功を達成したのに対し、Vd療法を受けた患者の達成率は10.6%だった。奏功は全てIRCによって確認された。2021年2月15日時点のデータでは、SVd療法に関連して全生存期間(OS)が延長する傾向が示され、SVd群の方が死亡者数が少ないと報告されている(68人対80人)。SVd群のOSの中央値は36.7カ月だったが、Vd群のOSの中央値は32.8カ月だった。末梢神経障害(PN)の発生率は、SVd群がVd群に比べ有意に低かった(32.3%対47.1%、p=0.0010)。さらに、グレード2以上のPNの発生率も、SVd群がVd群に比べ有意に低かった(21.0%対34.3%、P=0.0013)。

最も多く見られた有害事象(AE、20%以上)は、血球減少症および胃腸症状、前身症状で、他のSelinexor試験でこれまでに報告されているものと同様だった。ほとんどのAEは、投与量の変更と標準的支持療法あるいはそのいずれかで管理可能だった。最も多く見られた非血液系AEは、疲労(59%)、吐き気(50%)、食欲減退(35%)、下痢(32%)、末梢神経障害(32%)、上気道感染(29%)、体重減少(26%)、白内障(22%)、嘔吐(21%)で、ほとんどがグレード1および2の事象だった。グレード3および4で最も多かったAE(10%以上)は、血小板減少症、リンパ球減少症、低リン酸血症、貧血症、低ナトリウム血症、好中球減少症だった。

▽欧州の多発性骨髄腫について
多発性骨髄腫は、死亡率が高く、血液悪性腫瘍の中で2番目に多い治癒不能のがんである。世界保健機関(WHO)によると、欧州の2020年の多発性骨髄腫の新規患者数は約5万1000人、死者数は約3万2000人に上る(注 1)。多発性骨髄腫の治療法は過去20年間で改善され、全生存期間は大幅に延長したが、同疾患は依然、治癒不能で、ほぼ全ての患者が最終的に再発し、どの承認済み抗骨髄腫療法でも手に負えない難治性の疾患を発症する。そのため、新しい治療法、特に新規作用機序の治療法に対する満たされていない医療ニーズは依然として高い。

▽NEXPOVIO(R)(selinexor)について
米国ではXPOVIOとして販売されているNEXPOVIOは、ファースト・イン・クラスの経口エクスポーティン1(XPO1)阻害剤である。NEXPOVIOには、核外輸送タンパク質エクスポーティン1(XPO1、CRM1とも呼ばれる)に選択的に結合し、阻害する機能がある。NEXPOVIOは、腫瘍抑制タンパク質、成長制御タンパク質、抗炎症タンパク質の核外輸送を阻害、これらタンパク質が核内に蓄積され、細胞内の抗がん活性が高まる。こうしたタンパク質が強制的に核内に保持されることで、そのままではDNAに重大な損傷を受けたがん細胞が無制限に増殖・分裂し続けるのを許してしまう発がん経路の増加を妨害できる。NEXPOVIOは、少なくとも4回の前治療歴があり、少なくとも2回のプロテアソーム阻害剤、2回の免疫調節剤および抗CD38モノクローナル抗体に対し難治性で、最後の治療で病勢の進行がみられた成人患者を対象に、デキサメタゾンを併用する多発性骨髄腫治療薬として欧州委員会から条件付き販売承認を得ている。

NEXPOVIOが治療適応なのは、欧州連合(EU)加盟国およびアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、北アイルランド。 NEXPOVIOは、英国では条件付販売許可も得ている。

NEXPOVIOは、少なくとも4回の前治療歴があり、少なくとも2回のプロテアソーム阻害剤、2回の免疫調節剤および抗CD38モノクローナル抗体に対して難治性で、最後の治療で病勢の進行がみられた成人患者の多発性骨髄腫治療薬として、デキサメタゾンとの併用が適応とされている。

重要な安全情報

禁忌:

selinexorに対する過敏症

特別な警告と使用上の注意:

推奨される併用療法

治療期間中は、十分な水分とカロリーの摂取を維持するよう患者を指導すること。脱水症のリスクのある患者には、静脈内水分補給を検討すること。

NEXPOVIOによる治療前および治療中は、5-HT3拮抗薬と他の制吐薬のいずれか、または両方による予防的併用治療を行うこと。

血液:

ベースライン時、治療中、および臨床的兆候により、患者の全血球計算(CBC)を評価すること。治療開始後2カ月間は、より頻繁にモニターすること。

血小板減少症:

血小板減少事象(血小板減少症および血小板数の減少)は、selinexor投与中の成人患者において頻繁に報告されており、重篤化する可能性がある(グレード3/4)。出血の徴候や症状がないか患者をモニターし、速やかに評価すること。

好中球減少症:

selinexorの投与では、重度の好中球減少症(グレード3/4)が報告されている。

好中球減少症の患者は、感染の兆候がないかモニターし、速やかに評価すること。

胃腸毒性:

吐き気、嘔吐、下痢が重症化する場合があり、制吐薬や止瀉薬の使用が必要になる場合がある。

体重減少と食欲不振:

ベースライン時、治療中、および臨床的兆候により、患者の体重、栄養の状態や量をチェックすること。治療開始後2カ月間は、より頻繁にモニターすること。

錯乱状態やめまい:

めまいや錯乱状態が問題となるような状況を避け、めまいや錯乱状態を引き起こす可能性のある他の医薬品を医師の適切な助言なしに服用しないよう患者を指導すること。症状が治まるまで、運転や重機の操作をしないよう患者を指導すること。

低ナトリウム血症:

ベースライン時、治療中、および臨床的兆候により、患者のナトリウムレベルをチェックすること。治療開始後2カ月間は、より頻繁にモニターすること。

腫瘍崩壊症候群(TLS):

selinexor治療を受けている患者では、TLSが報告されている。TLSのリスクが高い患者は、注意深くモニターすること。組織のガイドラインに従って速やかにTLS治療を行うこと。

生殖能力、妊娠、授乳

妊娠可能な女性/男女の避妊:

妊娠可能な女性および生殖能力のある成人男性患者には、selinexorによる治療中およびselinexorの最終投与後少なくとも1週間は、有効な避妊手段を用いるか性交を控えるよう助言すること。

妊娠:

妊娠中の女性へのselinexor使用に関するデータはない。Selinexorは、妊娠中および避妊をしていない妊娠可能な女性には推奨されない。

授乳:

selinexorおよびその代謝物が母乳に排出されるかどうかは不明である。母乳で育てられた子供へのリスクは排除できない。selinexorによる治療中および最終投与後1週間は、授乳を中止すること。

望ましくない影響

安全性プロファイルの概要

selinexorとデキサメタゾンの併用療法で最も頻度の高い副作用(30%以上)は、吐き気、血小板減少症、疲労、貧血、食欲低下、体重減少、下痢、嘔吐、低ナトリウム血症、好中球減少症、白血球減少症だった。

最も多く報告された重篤な副作用(3%以上)は、肺炎、敗血症、血小板減少症、急性腎障害および貧血だった。

主な副作用の説明

感染症:

非血液学的毒性で最も多かったのは感染症だった。上気道感染症と肺炎が最も多く報告された感染症で、報告された感染症の25%が重篤、治療を受けた成人患者の3%に致命的な感染症が起きた。

高齢者

75歳以上の患者は、副作用による投与中止の発生率、重篤な副作用の発生率、致命的な副作用の発生率が高かった。

疑わしい副作用の報告

医薬品の承認後、疑わしい副作用を報告することは重要である。医薬品のメリットとリスクのバランスを継続的に監視することが可能になるからである。医療従事者は、副作用が疑われる場合、添付文書Vに記載されている国の報告システムを通じて報告してほしい。

NEXPOVIOの製品特性概要および欧州公開医薬品審査報告書については、https://ec.europa.eu/health/documents/community-register/html/h1537.htm を参照。

▽Karyopharm Therapeuticsについて
Karyopharm Therapeutics Inc.(NASDAQ:KPTI)は、新たながん治療を開拓している商業期製薬会社である。Karyopharmは創業以来、腫瘍形成の根本メカニズムである核外輸送調節異常に対処するために開発された経口選択的核外輸送阻害剤(SINE)化合物技術で業界をリードしてきた。Karyopharmの主力SINE化合物で、ファースト・イン・クラスのエクスポーティン1(XPO1)阻害剤「XPOVIO(R)(selinexor)」は、米国で認可を受け、同社が3つの腫瘍症状向けに販売しているほか、欧州、英国(NEXPOVIO(R)として)、中国、シンガポールなど米国外でも、さまざまな症状向けに認可する地域や国が増えている。Karyopharmは、子宮内膜がん、骨髄異形成症候群、骨髄線維症など、満たされていない高いニーズのある複数のがん症状をターゲットとする重点的開発パイプラインを有している。当社の人材、科学、開発パイプラインの詳細については、www.karyopharm.com を参照するとともに、Twitterの@Karyopharm (https://twitter.com/Karyopharm ) および LinkedIn (https://www.linkedin.com/company/karyopharm/ )で当社のフォローを。

▽Menarini Groupについて
Menarini Groupは、売上高40億ドル超、従業員数は1万7000人を超える国際的な大手医薬品・診断薬企業である。Menariniは、満たされていないニーズの高い治療分野に重点を置き、心臓疾患、腫瘍、呼吸器疾患、消化器疾患、感染症、糖尿病、炎症、鎮痛用の製品を提供している。18の生産拠点と9の研究開発センターを有するMenariniの製品は、世界140カ国で販売されている。

Menariniは、がんおよび血液疾患に対する治療法の開発に深く関与してきた。Menariniは、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄線維症など複数の血液悪性腫瘍を対象としたElzonris(米国と欧州では芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)用に販売)、および固形腫瘍を対象としたエラケストラントとfelezenexorの開発に積極的に取り組んでいる。さらに、FDAは最近、MEN1703をAML用の希少疾病用医薬品に指定した。詳細については、www.menarini.com を参照。

参考文献

(注 1)世界保健機関。 2020年。
https://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/35-Multiple-myeloma-fact-sheet.pdf

Logo - https://mma.prnewswire.com/media/652491/MENARINI_Group_Logo.jpg

ソース:Menarini Industrie Farmaceutiche Riunite

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