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シェフラー 再生可能な水素の生産効率向上に向け ジョンソン・マッセイ、ベカルト、 TNOの3社と提携

2022.05.09 16:00

次世代PEM電解槽開発プロジェクト

シェフラーは、Bekaert(ベカルト)社、Johnson Matthey(ジョンソン・マッセイ)社、そしてTNO International(TNOインターナショナル)社と水素に関する共同研究を行う国際的なコンソーシアムを発足
電解スタックの構成部品を最適化し、プロトン交換膜(PEM)技術の開発を加速
3年間のリサーチプログラムの目標は、高効率で優れた耐久性と低コストを実現する電解槽の基礎技術確立

 
【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202205090903-O1-5b4yqrd4
より経済性に優れた再生可能水素の生産を目指し、シェフラーはパートナー各社との協力でPEM電解槽スタックの性能向上に寄与するコンポーネントの研究開発を行っています。

自動車および産業機械の世界的なリーディングサプライヤーであるシェフラーは、サステナブル技術で世界をけん引するJohnson Matthey(ジョンソン・マッセイ)社、プロトン交換膜(PEM)電解槽向け多孔質輸送層サプライヤートップのBekaert(ベカルト)社、そして水素分野で世界有数の独立系研究機関であるTNO社の3社と提携し、セルスタック部品の最適化による高効率な電解システムを開発します。それぞれの分野で業界屈指の技術力を誇る4社によるコンソーシアムは、次世代技術の早期実現を可能にし、均等化水素製造原価(LCOH)の低減と部品効率の向上を達成します。本コンソーシアムは3年間を活動期間として共同研究を行う予定です。

二酸化炭素排出量実質ゼロを目指す「ネットゼロ」達成に向けてさまざまなシナリオが模索される中、再生可能な水素は、そのすべてのシナリオにおいて重要な役割を担うと期待されています。特にCO2排出削減が困難とされる(hard-to-abate)産業の脱炭素化には不可欠と考えられる技術です。電解法は、水と再生可能エネルギー由来の電力を使って水素を製造する技術で、「ゼロエミッション電源」実現の鍵になると目されています。国際再生エネルギー機関(IRENA)が発表した地球の気温上昇を1.5℃未満に抑えるためのシナリオでは、2050年までに整備されるべき電解槽容量は5,000GW(ギガワット)と予想されています。これは世界の電力需要の12%を供給するのに十分な水素量です。この予想を現実のものとするためには、技術革新と新技術の実装を加速することが必須となります。

今回、シェフラーをはじめとする4社で発足した本コンソーシアムの目標は、電解スタックの主要構成部品を最適化し、プロトン交換膜(PEM)技術の開発を促進することにあります。この開発を足掛かりに、最終的には次世代型PEM電解槽の開発へとつなげ、省電力化、水素生産の低コスト化、設備の小型化を目指します。また、今日一般的に使用される電解槽には効率化向上のために希少元素や部材が使用されていますが、本コンソーシアムではこうした部材の効率的な利用についても調査を行う予定です。

この目標を達成するために、本コンソーシアムは3年間を活動期間として共同リサーチプログラムを実行し、高効率で優れた耐久性と低コスト性を実現する次世代電解槽の基礎技術を構築します。この活動は、2014年にオランダ政府の提唱で発足した企業主導型の共同イノベーションプログラム「VoltaChem」の一環です。同プログラムは、クライメートニュートラル(気候中立)の達成を加速するため、化学産業、エネルギー産業、機械装置サプライヤーおよびそのライセンサーなどのを支援することを目的としています。

「環境に優しいグリーン水素を高い競争力で生産することを目指し、当社のPEM型水電解槽に関する経験と開発力で、国際的に活躍する企業各社とのチームに貢献できることを大変うれしく感じています。」とシェフラーの戦略的事業部門水素担当シニアバイスプレジデントのベルンド・ヘターシャイトは述べています。さらに、「エネルギー移行の実現に向けた取り組みを加速化することは、シェフラーが戦略の柱の1つに据えるものです。また、当社は高い競争力を持った拡張性のある電解スタック生産プロセスの迅速な増強に向け‘ロードマップ2025’を策定しており、ここにおいても早急なエネルギー移行の達成が重要な要素の1つとなっています。世界トップの企業と共に参画する次世代電解槽の共同研究は非常に将来有望なプロジェクトであり、電解槽技術を大きく前進させると強く確信しています。」と述べています。

シェフラーをはじめ、ベカルト社、ジョンソン・マッセイ社、そしてTNO社という世界トップ企業よるこのコンソーシアムは、各社一致協力のもと、共同研究を行います。活動の促進をさらに図るために、本研究プログラムでは参加企業を募集しています。

パートナー企業各社のコメント:

「TNOは地球温暖化の問題に真摯に取り組んでいます。今必要とされるのはイノベーションの加速、そして新しいテクノロジーの開発です。それを可能にするのが、世界トップの企業が手を携えイノベーションを追求する、この次世代電解槽共同研究プログラムだと考えています。独立研究機関であるTNOは、電解槽技術の知見を集結する触媒としてチーム間の化学反応を促し、そしてイノベーションの旗振り役として、全体をとりまとめる役割を果たしていきたいと考えています。」
TNO社 エネルギー移行部門マーケットディレクター リチャード・ブラール氏

「エネルギー移行の動きが加速しています。各国政府は‘ネットゼロ’に向けて、意欲的な目標を設定しています。環境に優しいグリーン水素は、まさにカーボンニュートラルなソリューションであり、この共同研究プログラムが、より低コストで信頼性の高い水素生産を可能にする革新的技術を築く好機になると考えています。本コンソーシアムでは、各社が一致協力し、当社が関わる触媒分野だけでなく、PEM技術全体の促進を目標に活動が成されるものと期待しています。」
ジョンソン・マッセイ社 水素テクノロジー部門マネージングディレクター ラルフ・カルムズ氏

「ベカルト社は未来の電解槽ニーズに対応する電解槽向け高性能部品の開発に注力しており、これからもお客さまに環境に優しい、持続可能なソリューションを提供してまいります。当社は低環境負荷型燃料電池の開発を目指す‘SUPERCELL’プロジェクトにも参画しており、提携各社と緊密に連携した開発活動を行っています。生産のGW(ギガワット)クラスへのスケールアップに向け、技術革新の努力を続けていきます。」
ベカルト社 ファイバーテクノロジー部門 VP インゲ・シルダーマンズ氏

「VoltaChem参加企業各社とともに、私たちは水電解‘Power-2-X’技術のイノベーションの促進と実装を図り、化学工業のCO2排出量の削減を目指しています。VoltaChem参加メンバーが自らの野心的な目標達成に向け手を携え、グリーン水素生産技術の飛躍的向上を目指し、サステナビリティ市場で唯一無二のポジションを確立しようと活動の幅を広げることは素晴らしいことだと感じています。先端技術によるサステナブルなプロセス産業の次世代を切り開く、そのスタートラインに立ったのだと期待しています。」
VoltaChemプログラムディレクター マルタイン・デ・グラーフ氏

各社の概要:

シェフラーグループ
シェフラーグループは自動車および産業機械分野における世界的なリーディングサプライヤーとして、75年以上にわたり、モーションおよびモビリティ分野において画期的な発明や開発を行っています。電動モビリティ、CO2効率に優れたドライブシステム、インダストリー4.0、デジタル化、そして再生可能エネルギー向けの革新的なテクノロジー、製品、サービスを提供するシェフラーは、モーションとモビリティをより効率的でインテリジェントかつ持続可能なものにするための信頼されるパートナーです。水素はシェフラーグループの未来を支える戦略の柱であり、水素生産設備(電解槽)や燃料電池の開発・生産のほか、社内ではグリーン水素を積極活用するなど、その取り組みを強化しています。

電解槽を中心とした戦略的事業は、2021年初めに同社の産業機械部門内に発足しました。発足間もない部署ですが、すでに洋上風力発電所におけるパイロットプロジェクトで、海水を使ったグリーン水素の生産に成功するなど、いくつかのマイルストーンを達成しています。シェフラーは、ドイツの連邦教育研究省(BMBF)が助成する水素フラッグシッププロジェクト「H2Giga」にも参画し、そのサブプロジェクトである「Stack Scale up - Industrialization PEM Electrolysis (電解スタックの大容量化 - PEM電解槽の量産化)」のコンソーシアムリーダーとして活動のけん引役を担っています。現在は、PEM燃料電池およびPEM電解スタックのサブアッセンブリーやバイポーラプレートの開発に注力しています。

 
Bekaert(ベカルト)社
ベカルト社(本社ベルギー) – 電気化学的高効率の多孔質輸送層

ベカルト社は高電気化学効率、高空隙率、低抵抗損失を実現したチタン多孔質輸送層などの革新的製品で水素市場に持続可能なソリューションを提供する世界トップメーカーです。同社はPEM電解槽の分野で20年以上におよぶ実績があります。世界有数のPEM電解槽OEM各社と協調した製品開発を行っています。ベカルト社は、グローバルに製造拠点を展開する世界トップのPEM電解槽向けPTL(多孔質輸送層)サプライヤーです。

 
Johnson Matthey(ジョンソン・マッセイ)社
ジョンソン・マッセイ社は、水素市場にサステナブル技術を提供する世界トップの企業です。電解技術の心臓部ともいえる触媒層付き電解質膜(Catalyst Coated Membrane)の設計・製造をこれからの事業の中核とする計画を掲げています。この事業では、同社が有する白金族金属技術および燃料電池製造に関する豊富な知見を最大限活用し、再生可能水素の量産化に必須となる性能向上と大幅なコスト削減を図っています。

 
TNO社
TNO社は、水素および水電解「Power-2-X」技術、そしてこれらシステム(部品を含む)の拡張可能な製造技術の分野で世界をけん引する独立系応用研究機関です。15を超える研究部門が英知を集結し、水素の生産からインフラ、貯蔵、そして最終的な利用に至るまで、バリューチェーン全体を対象とした活動を行っています。新しい材料や部品の開発はオランダのペッテンにあるFaraday(ファラデー)研究所が担当しています。そこで開発された材料をベースに、拡張可能な製造技術を組み合わせた装置の開発を行うのが、同じくオランダのTNO Holst Centre(ホルストセンター)です。こうした段階を経て開発された装置が、最終的には完全なシステムとして量産移行できるよう、事業化可能性の予備調査(プレフィージビリティ)や技術検証まで当研究機関で行っています。共同イノベーションプログラム「VoltaChem」では、次世代水電解「Power-2-X」技術の開発に携わっています。水素エコシステムに関する確固たる実績を活かし、TNOは各エンドユーザー業界、エネルギーおよびインフラメーカー、素材および加工装置メーカー、コンポーネントおよび電解スタック開発メーカー、そしてシステムインテグレーターなど、業界をけん引する関係各社と協調した活動を推進しています。

シェフラーグループ – We pioneer motion シェフラーグループは自動車および産業機械分野における世界的なリーディングサプライヤーとして、75年以上にわたり、モーションとモビリティの分野において画期的な発明や開発を行ってきました。 電動モビリティ、CO₂効率に優れたドライブシステム、インダストリー4.0、デジタル化、そして再生可能エネルギーなどのための革新的なテクノロジーや製品及びサービスの提供において、当社はモーションとモビリティをより効率的でインテリジェントかつ持続可能なものにするための信頼されるパートナーです。また当社はパワートレインやシャシー用の高精度コンポーネントやシステム、多くの産業機械用の転がり軸受や滑り軸受のソリューションを開発・製造している技術会社です。シェフラーグループは2021年には約139億ユーロを売上げました。約83,000人の従業員を擁するシェフラーは世界最大級のファミリーカンパニーです。また、シェフラーは2021年には1,800件以上の特許出願を行っており、DPMA(ドイツ特許商標庁)によればドイツで3番目に革新的な企業です。

シェフラージャパン プレスリリースのURL:
シェフラー 再生可能な水素の生産効率向上に向け ジョンソン・マッセイ、ベカルト、 TNOの3社と提携 | プレスリリース | シェフラージャパン (schaeffler.co.jp)

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