2022年国際金融フォーラム:地政学的紛争とCovid-19パンデミックが世界経済の回復促進の取り組みを鈍らせる
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【北京2022年5月5日PR Newswire=共同通信JBN】4月27日に開催されたInternational Finance Forum(国際金融フォーラム、IFF)のオンラインセッションで専門家らは、世界が引き続き地政学的紛争の高まりやインフレ進行、コロナウイルス感染流行の再発に取り組んでいる中で、ぶつかり合う課題が世界経済に不確実性を投げかけていると指摘した。
IFFの2022年春季会合は、「New Global Landscape: Challenges and Responses(新世界情勢:課題と対応)」をテーマとして4月下旬に開幕した。ここで世界の経済専門家や政治リーダーのグループは、経済的な逆風や予測されている世界の展望、議論されている戦略や方策を浮き彫りにし、世界経済が前途に待ち受ける課題を乗り切っていく手助けとした。
IFFのZhu Xian副会長兼事務局長(元世界銀行副総裁)は、世界経済の回復は2021年に反発した後に失速しつつあると指摘した。
同氏は、Covid-19(新型コロナウイルス感染症)パンデミックの新たな波の中で、世界的な回復は持続する労働市場の課題や延々と続くサプライチェーン規制、インフレ高騰を両立させることができる方策に大きく依存していると述べた。
IFF共同会長で第56回国連総会議長の韓昇洙(Han Seung-soo)元韓国首相は、世界経済情勢を再形成する上でのパンデミックの役割について述べ、Covid-19が世界経済のリージョナリゼーション(地域化)を大幅に推し進めたと指摘した。
同氏は、世界が将来、とりわけ今後数十年間に取り組む必要がある課題は、過去数十年間にわたってグローバリゼーション(世界化)によって生み出された繁栄を維持することであると述べた。中国、韓国、その他多くの国は経済のグローバリゼーションの過程から大きな恩恵を受けてきた。
IFF理事のJenny Shipleyニュージーランド元首相は、国民がCovid-19の嵐を乗り切るのを支援することを目的とした経済刺激策は高いインフレとさらなる社会的不公正を引き起こしたと述べ、各国政府は困窮している人々への支援を導き、それぞれの政策課題の最上位に不平等と取り組むことを設定すべきであると付け加えた。
上海協力機構のAzymbakiev Muratbek Abakirovich事務次長は、世界経済は引き続きパンデミックのマイナスの影響に直面し、その度合いは世界の持続可能性や経済成長のバランスを大幅に害している貿易保護主義や一方的な貿易障壁の高まりによって増していると述べた。
同氏は世界のリーダーに対し、気候変動、枯渇するエネルギー資源、環境の劣化などの諸問題に取り組むための行動に加わるよう呼び掛けた。同氏はまた、こうした注目すべき課題の中で最も重要な点として、世界の持続可能な開発が経済関係の政治化、グローバルガバナンスの脆弱化、国際貿易制度の改革停滞によって引き起こされた重大なリスクにさらされていると強調した。
▽International Finance Forum(国際金融フォーラム、IFF)について
IFFは2003年に北京で設立された独立、非営利、非政府の国際組織である。中国、米国、欧州連合(EU)、国連(UN)を含む20以上の国や地域、国際組織の金融リーダーによって設立されたこのフォーラムは、長年にわたるハイレベルな対話と意思疎通の場である。詳細はhttp://www.iff.org.cn/php/list.php?tid=477 を参照。
ソース:International Finance Forum(IFF)