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レタス、米軍、CATV、長寿...長野県川上村の数奇な戦後史

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2014.02.14 07:00
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サラダに欠かせない野菜といえばレタス。全国の年間収穫量は約54万トンで、その32%は長野県産だ。1年で最も消費が増える夏場はシェア80%を超えるが、人口約5000人の川上村は夏秋レタスで全国の約27%を生産している。

一般にレタスといわれている種は、戦後日本にやってきたアメリカ軍が広めた。彼らが好んで食べていたレタスは、当時国内ではほとんど作られていなかった。生産に適した場所を米軍が調査したところ、川上村が候補にあがり栽培指定地に選ばれた。

レタス(ブログ「堀 六平のやませみ便り」より)
レタス(ブログ「堀 六平のやませみ便り」より)

川上村は八ヶ岳の広大な裾野に位置し、町役場の標高は約1200メートル。役場や役所の所在地としては日本最高地にある。夏の平均気温は20度前後で、冷涼な気候は高原野菜栽培に向いている。山梨・埼玉・群馬と境を接し、大消費地である首都圏は意外と近い。

米軍の農業指導のもと本格的な生産が始まった。稲作に向かない貧しい村だったが、レタス栽培に着手したことによって、農民たちの暮らしは徐々に向上していく。

収穫されたレタスはアメリカ軍の保冷車に積み込まれ、朝鮮戦争の戦場にも運ばれたという。レタスを食べる習慣は日本人の間にも根づき、1人当たり年間購入量は、現在1800グラム前後で安定的に推移している。

レタス栽培のネックは、天候の影響を受けやすく価格の変動が激しいところ。川上村もその例外ではなかった。そこで1987年にケーブルテレビを全世帯に導入し、翌年から村内3カ所に設置した気象観測ロボットからデータを集め、降水量や最高最低気温の提供を始めた。さらに市況情報を提供して農業の情報化をいち早く実現。市場の変化に巧みに対応することにも成功し、川上村のレタス農家の平均売上額は約2500万円に達した。

24時間貸し出し可能な図書館や、村内の全世帯からクルマで20分以内の場所にある医療拠点「ヘルシーパークかわかみ」など公共インフラは整っている。長野は全国一の長寿県として知られているが、川上村は県内有数の長寿の村だそうだ。

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