「崩壊する」と言われ続けて数十年 水没と出現を繰り返す〝幻の橋〟は、静かに朽ちゆく北海道の絶景地
「まるで水面に浮かんでいるみたい......」
そんな錯覚を覚えるような幻想的な写真が、Instagramに投稿されました。
その写真がこちら。
広々とした空に、穏やかな山なみと静かな川。そこにかかる、いくつものアーチが連なる橋。鏡のような水面に反射して、丸い形を作っています。
2026年7月6日にこの写真を投稿したのは、Instagramユーザーのtoshikanayamaさん。
写っているのは、北海道河東郡上士幌町の糠平湖にある、旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群「タウシュベツ川橋梁」です。
かつて北海道の林業を支えていた士幌線ですが、時代の変化とともに役目を終え、現在は貴重な廃線跡として当時の姿を今に伝えています。
なかでも「タウシュベツ川橋梁」は、ダム湖である糠平湖の水位変化によって姿を現したり沈んだりすることから、いつしか「幻の橋」と呼ばれるようになりました。
Jタウンネット記者は、この幻想的な風景を撮影したtoshikanayamaさんに、現地でのエピソードを聞きました。
絶景を見るまでの道のり
撮影したのは2026年6月11日。
toshikanayamaさんは、鉄道旅番組で北海道の廃線跡として紹介されていたのをきっかけに、この橋の存在を知ったのだとか。
絶景を見るまでの道のりについて、
「写真のような距離まで近づくには、ヒグマの生息地域でもある林道を約1時間半歩く必要があります。
また、車で入る場合も林道ゲートの鍵を借りなければなりませんが、人気のため入手は困難。
しかも未舗装でかなり荒れた道だったことから、今回はガイドツアーを利用しました」
と教えてくれました。続けて、
「水面に橋が映り込む"リフレクション"を撮影するには、風の弱い早朝を狙うことも重要です」
と言います。
ロマンだけではない「幻の橋」
しかし、ロマンだけではない「幻の橋」。
ガイドさんによると、その幻想的な景色の裏では、冬になると橋に染み込んだ水が凍結して内部からコンクリートを傷め、春には湖面の氷を突き破るように姿を現すことで、橋の角も削られ、毎年少しずつ風化しているとのこと。
さらに、糠平湖は水力発電用のダム湖であることから、橋を保存することも容易ではないとされています。
そのため、この橋は「自然の中で静かに朽ちていく姿を見守る」という考え方が受け継がれており、そのはかなさもまた、この橋ならではの魅力となっています。
最後に、今回の訪問で印象に残ったエピソードを聞いてみました。
「ガイドさんは『ここはいつ崩壊するかわからないので、早めに見に来てください!』と観光客に案内しているそうです。ただ、数十年同じように話しているため、『まるで"崩壊するする詐欺"みたいですよね』と、自虐交じりに笑っていました(笑)。
とはいえ、先日の北海道地震の影響で、実際に崩壊が進んだ箇所もあるそうです。そのため、本当に早めに訪れた方がいいかもしれません」(toshikanayamaさん)
気になる方は、景色が変わってしまう前に、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。(ライター/ころんころ)
タウシュベツ川橋梁
所在地:北海道河東郡上士幌町ぬかびら源泉郷電話:01564-7-7272(上士幌町観光協会)
上士幌町観光協会サイト内「タウシュベツ川橋梁林道ゲート通行鍵予約ページ」:https://kamishihoro.info/key/
上士幌町公式サイト内紹介ページ:https://www.kamishihoro.jp/place/00000072