「外出時、車いすを使っている私。ホテルランチに行った帰り道、信号待ちで隣に並んだ男性が...」(京都府・30代女性)
横断歩道の前で信号待ちをしていると...
その日は雨風が強く、駅へと繋がる横断歩道の前では、多くの方が傘を手に信号待ちをされていました。
雨なのは予報通りでしたから、私たちも傘を持っていました。
ですが、片手で傘を差しながら片手で車椅子を押すのは危ないという母の判断で、差さない選択をしました。
そしてまもなく信号が青に変わると身構えた時、急に頭上に何か黒いものを感じました。
傘です。
隣で信号待ちをされていた男性が恐らく状況を察して下さって、私たち母娘にご自身の傘を差して下さっていたのです。
驚くとともに非常に申し訳なく、何度もご遠慮申し上げたのですが、
その方は横断歩道を渡りきるまで、こちらのペースに合わせてゆっくりと歩いて下さいました。
そして、きちんとお礼をお伝えする間もなく、その方は駅へと向かわれたのでした。
ご自身が濡れてしまうことを厭わずお時間まで割いて下さったこと。今でも思い出すと熱いものが込み上げる、とても心にしみる出来事でした。
この先、もう直接お礼をする機会には恵まれないかもしれません。
ですが頂いたご恩を忘れず、必ず次の誰かに繋げていきたいと強く思います。
あの時は本当にありがとうございました。
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