激辛カップ麺の代名詞【辛辛魚】に〝辛さひかえめ〟登場 「いつもの」と比べてみました
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第百三十五回 寿がきや食品「麺処井の庄監修 辛さひかえめ 辛辛魚らーめん」
文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。
「ご当地カップ麺」連載の第百三十五回目となる今回は、寿がきや食品の「麺処井の庄監修 辛さひかえめ 辛辛魚らーめん」をレビューします。
「麺処井の庄」は東京・石神井公園に本店を構え、立川など他に支店を数店展開する人気ラーメン店。
看板メニューである「辛辛魚」はカップ麺としてもおなじみで、激辛カップ麺の代名詞として広く知られています。
寿がきや食品から発売されているカップ麺「麺処井の庄監修 辛辛魚らーめん」は、今年16年目を迎えた大定番商品。
発売当初は圧倒的に辛いカップ麺でした。
いつもの「辛辛魚」より「辛さひかえめ」
とはいえ、激辛文化が浸透した現在では必ずしも最高に辛いというわけではありません。
大量に入っている濃厚な魚粉や太い豚骨といった、単に辛いだけではない魅力があるところに、ロングセラーになる秘訣がありそうです。
その「辛辛魚」が「激辛すぎて食べられない」という声に応えて作ったのが今回の商品。
「辛さひかえめ」を謳い、「辛辛レベル」なるものが「3.5くらい」と書かれています。
いつもの「辛辛魚」が何レベルかは明示されておらず、しかも「3.5くらい」というアバウトさですが、いつもの7割くらいの辛さと仮定するなら、辛いものが極度に苦手な人向けというわけではなそうです。
そして、今回辛さ控えめな代わりにいつもより魚粉や豚骨がパワーアップしている模様。
辛いものが苦手な人だけではなく、魚介好きや豚骨好きの人にも向けた商品のようです。
どんな違いがあるのか、今回はいつものと辛さ控えめを食べ比べてみます。
辛辛魚のカップ麺をレビューした記事はこちら《不朽の名作カップ麺、真冬の風物詩「辛辛魚」 14年間オンリーワンであり続ける「激辛×魚介」の合わせ技》。
辛辛魚のコンビニ麺をレビューした記事はこちら《激辛カップ麺でおなじみ「辛辛魚」が、温冷2つの「まぜそば」に 辛さはいかほど?食べ比べてみた!》。
「辛さひかえめ 辛辛魚らーめん」の内容物
「辛さひかえめ 辛辛魚」といつもの「辛辛魚」の内容物。
どちらも別添袋は3つで、包装の色が異なるものの「液体スープ」「後入れ粉末スープ」「かやく入スープ」の3袋構成は共通しています。
カップに入っている麺はどちらも75グラム。全粒粉入りの同じタイプの麺のようです。
麺の上に先入れの「かやく入スープ」を開けると、赤味を帯びた粉末とネギが入っているのは共通ですが、「辛さひかえめ」の粉末が白っぽくて量も多くなっています。
辛みが少なく豚骨が濃そうだと粉末の色から予測できますね。
「辛さひかえめ」でもスープは真っ赤
お湯を入れてみると、こんな感じ。
どちらも強い辛味を効かせた豚骨ベースの醤油味のスープに、全粒粉入りのノンフライ麺とネギが合わせられています。
上にこんもり積もっているのは、別添の「辛魚粉」と呼ばれる魚粉と唐辛子の混合物です。
いつもの「辛辛魚」は見るからに辛そうですよね。
太い豚骨をベースに強い辛味を加えた醤油味のスープは、「辛魚粉」を入れなくても十分に激辛。
激辛も魚介豚骨スープも現在のラーメン業界の大きな柱ですが、それを16年も前からカップ麺でやっているのが「辛辛魚」のすごいところです。
「辛さひかえめ 辛辛魚」も真っ赤なスープに赤い粉末で、「辛さひかえめ」が嘘のような見た目となっています。
そしてビジュアル通り、「辛魚粉」なしでスープだけ飲んでも十分に辛いです。
それでも、スープを飲み比べると明らかに辛さ控えめ。豚骨の甘みが前に出てきます。
「辛さひかえめ」は間違いないですが、「豚骨増し」については辛さが弱いのでに相対的に目立っている一面もありそうです。
「辛さ控えめ」のもう一本の柱はどうか?
スープは見た目あまり差がなかったですが、「辛魚粉」には大きな違いが見られます。
本家「辛辛魚」の「辛魚粉」は赤味が強くて量も多いのに対し、「辛さひかえめ 辛辛魚」は黒っぽくて量が少なめ。
いつもの「辛魚粉」は唐辛子の辛味が目立つのに対し、「辛さひかえめ」もそれなりに辛いものの唐辛子よりも魚介が目立っていました。
間違いなくいつもより「辛さひかえめ」で「魚粉増し」でした。
麺は太めで縮れの強いノンフライ麺。
弾力があってもちもち感が強く、パンチの強いスープとバランスが取れていました。
お店の麺はストレートなのに対し、カップ麺では一貫して縮れ麺を使用。
麺の縮れがスープや魚粉をよく拾うことでスープの存在感をより高めており、お店の特徴とは異なっていてもカップ麺ではこの麺が定着しています。
「辛さひかえめ」と「魚粉増し」は間違いない
「辛さひかえめ」で「魚介増し」と「豚骨増し」を謳っており、「豚骨増し」こそ微妙でしたが、「辛さひかえめ」と「魚粉増し」は間違いなく体感できる一杯でした。
辛さだけではなく、魚粉好きの人も手に取る価値のある商品ではないでしょうか。
ただ、「辛さひかえめ」とはいってもしっかり辛いです。
「激辛は苦手でも辛さにはチャレンジしたい」という前向きな人向けであって、辛いものが極度に苦手な人向けには作られていません。
辛いものがどうしても無理だが、だからこそ辛辛魚の雰囲気を味わいたいという人は、今後「ピリ辛魚」的な、さらに踏み込んで辛さを抑えた商品が登場するのを待つしかないかも。