東北のご当地麺をトップバリュが再現 安価でホンモノ味わえる「なみえ焼そば」がほぼカンペキ
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第百二十八回 トップバリュベストプライス「東北ご当地カップ麺」2種
文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。
「ご当地カップ麺」連載の第百二十八回目となる今回は、イオングループのプライベートブランド(PB)「トップバリュベストプライス」のカップ麺、「福島なみえ焼そば」と「仙台辛味噌ラーメン」をレビューします。
製造は明星食品系の東日本明星です。
「トップバリュベストプライス」が東北のご当地麺を再現
「トップバリュベストプライス」は、イオングループのPB「トップバリュ」の中でも廉価な価格設定で、比較的ベーシックなラインナップが特徴。
カップ麺も数多くの商品があり、タテ型のオーソドックスなものから和風カップ麺、カップ焼そばなど多岐にわたります。
物価高騰でカップ麺も次々と値上げされる中、概ね100~130円程度。庶民の味方として頼もしい存在ですね。
今回の2品は、イオンによる地域産品の販売促進など東北の賑わいを創出する活動の一環で登場した、東北のご当地料理に着目したカップ麺。
B-1グランプリでもおなじみの福島・浪江の「なみえ焼そば」と、仙台味噌を用いた宮城・仙台の「仙台辛味噌ラーメン」の味が再現されています。
いずれも定価税別148円。トップバリュベストプライスのカップ麺としては少し高めの設定です。
「福島なみえ焼そば」と「仙台辛味噌ラーメン」の内容物
まずは「福島なみえ焼そば」の内容物。
別添袋が2つ入っており、カップには麺とかやく類が入っていました。
麺量は90グラムで、カップ焼そばの標準的な量となっています。
「仙台辛味噌ラーメン」の内容物。
こちらも別添袋は2つで、カップには麺とかやく類が入っていますが、かやくの量がかなり多そうです。
麺量は65グラムで、標準的なカップ麺の量となっています。
トップバリュベストプライス「福島なみえ焼そば」食べてみた
「なみえ焼そば」は、福島県浪江町のご当地麺。ラードたっぷりの濃厚なソースに太麺やもやしを合わせ、一味唐辛子で仕上げるのが特徴です。
福島の麺料理といえば、日本三大ラーメンのひとつに数えられる喜多方の「喜多方ラーメン」や、喜多方に負けないラーメン文化が根付く白河の「白河ラーメン」がおなじみですが、喜多方が会津地方、白川が中通りでどちらも内陸側にあるのに対し、浪江は海側の浜通りに位置しています。
「なみえ焼そば」も喜多方や白河に負けず、2013年の「第8回 B-1グランプリ」で「浪江焼麺太国」がグランプリに輝き、全国的な知名度を獲得しました。
ただその知名度の高さの割にはカップ麺での再現は少なく、今回の商品は非常に珍しい存在です。
濃厚なソースに太くて縮れのついた油揚げ麺と豚肉チップやキャベツを合わせ、一味唐辛子で仕上げています。
使用されているのは、「なみえ焼そば」認定工場として知られる浪江町の「旭屋」のソース。
そのため「なみえ焼そば」の再現性が高いというよりは、「なみえ焼そば」そのものの味です。
甘みと酸味が強いソースな上に、豚脂などの油脂がたっぷり入っていて、濃厚でこってり感が強くなっています。
強い甘みと油の多さが特徴的で、特に甘さは歴代のカップ焼そばの中でもトップクラスではないでしょうか。
一味で甘濃いソースが引き締まる
一味唐辛子をかけるのは「なみえ焼そば」の大きな特徴のひとつ。
ソースが濃いため、一味唐辛子を加えてもそれほど目立たずあまり辛くもありませんが、一味によって甘濃いソースの味が多少引き締まる印象でした。
麺は太くて縮れのついた油揚げ麺。
幅広で縮れがついており、昔ながらのカップうどんの麺を思わせるものがありますが、原材料を見るとうどんには入っていない「かんすい」が使われており、実際の「なみえ焼そば」の形状に近いです。
欠点をあげるとすれば、「なみえ焼そば」でよく使われるもやしが入っていないことくらい。安価なのに「なみえ焼そば」としてとてもよくできている商品です。
トップバリュベストプライス「仙台辛味噌ラーメン」食べてみた
「仙台辛味噌ラーメン」は、仙台味噌の産地である宮城県仙台市のご当地ラーメン。
仙台味噌は伊達政宗の時代から続く仙台の名産品で、仙台ではその味噌を用いたラーメン店が多く存在しています。
牛タン料理や仙台牛、芋煮、さらには笹かまぼこやずんだ餅など、仙台のご当地グルメは枚挙に暇がなく、それらに比べると「仙台辛味噌ラーメン」の知名度はそれほど高くないかもしれません。
しかしカップ麺で再現されることは多く、特にヤマダイの「凄麺」シリーズから出ている「仙台辛味噌ラーメン」はロングセラーの人気商品として知られています。
辛味を効かせた味噌味のスープに、太めで縮れの強い油揚げ麺と、ダイス肉やコーンなどの具が合わせられています。
ピリ辛の辛味がつけられた味噌味のスープ。製品中の1.1%が仙台辛味噌とのことで、それが実際に使用した味噌のうちどれくらいなのはわかりませんが、特に特徴のある味噌味とは感じませんでした。
大きな特徴は見出だせませんが、安価な価格設定を考えれば十分においしい辛味噌スープです。
彩り鮮やかでまるで「芋煮」?
麺は中太で縮れのついた油揚げ麺。やや幅広で縮れが強く、ちょっとゴワッとした食感になるのが印象的です。
主張が強いため、スープと合わせても麺がやや勝ったバランスだと感じました。
ゴワゴワした食感は沖縄そばの麺を思わせる雰囲気があり、その麺を味噌味のスープと合わせているのは不思議な感覚で面白かったです。
具は、ダイス肉、コーン、キャベツ、ニンジン、ネギの組み合わせ。
価格を考えると具の量がかなり多く、彩りも豊か。この商品の最も大きな美点のように映りました。
特に「仙台辛味噌ラーメン」として本格的な具というわけではないですが、ニンジンやキャベツの色味から、仙台名物芋煮のような賑やかな雰囲気を感じます。
芋は入っていないし、製品にそんな意図があるとは明示されてもおらず、筆者が勝手に思っただけですけどね。
安価で東北の食を楽しめるカップ麺
今回の2品では安価で東北の味を楽しめました。特に「福島なみえ焼そば」はカップ麺では珍しい「なみえ焼そば」の味を再現しており、濃厚こってりなソースの魅力を堪能できる商品でした。
「仙台辛味噌ラーメン」はスープからは際立った特徴こそ感じられないものの、豊富な具と独特な食感の麺が面白い存在で、価格を考えると十分に満足できます。