「『今ここでお前にお金をあげることはとても簡単だけど』若き日の私は、3人の青年を従えた老人に声をかけられて...」(茨城県・40代男性)
若いやつがダメになる姿は見たくない」
その時、当てのない放浪に疲れ果てた私は、まだ開いていない駅の外にあるベンチに腰掛けていました。
人通りもまばらでしたが、そこに1人のご老人(70歳は超えているように見えました)が「こんな時間になにしてるの?」と話しかけてきました。
肌寒さを感じる時期には不釣り合いな軽装をしていた私を見かねたのかもしれません。
その人は20代くらいの男性を3人連れていて、私が今までの経緯を吐き出すように話すと、そのうちの1人に「これでコーヒー買ってこい」と指示。
お連れの方は「ハイ!」と大きな声で返事をすると、小走りで自販機まで走っていきました。
その間に、ご老人は私に言いました。
「今ここでお前にお金をあげることはとても簡単だけど、それだとお前がダメになっちまう」
そして、駆け足で戻ってきたお連れの人から受け取ったホットコーヒーと一緒に、1000円だけ下さって、「若いやつがダメになる姿は見たくない」とその場を去っていかれました。
頂いたコーヒーはとてもあたたかく、自然と涙があふれてきました。
それから数年後、新聞を見ていたら地元の有力者の訃報が掲載されていました。そこには、見覚えのあるご老人の顔が。
当時は空腹と疲労でお礼を言うこともままなりませんでしたが、頂いたコーヒーの温かさは忘れられません。
今では小さいながら、会社を経営する立場にいます。あの時は、ありがとうございました。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」「あの時はごめんなさい」、聞かせて!
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