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「『今ここでお前にお金をあげることはとても簡単だけど』若き日の私は、3人の青年を従えた老人に声をかけられて...」(茨城県・40代男性)

Jタウンネット読者

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2024.03.06 08:00
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シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Hさん(茨城県・40代男性)

二十数年前、Hさんは勤めていた会社を退職し、放浪していた。

まだ電車も走っていない時間。駅前のベンチに座っていると、3人の若者を連れた老人が話しかけてきて......。

仕事をやめて放浪している時に...(画像はイメージ)
仕事をやめて放浪している時に...(画像はイメージ)

<Hさんの体験談>

今から二十数年前、人間関係が原因で、働いていた会社を飛び出す形で退職しました。

行くあてもない私は、茨城県内のターミナル駅付近をフラフラ。

9月に入って10日ほど経っていて、夜になると肌寒く、野宿をしながらの放浪が骨身にこたえる季節になっていました。

若いやつがダメになる姿は見たくない」

その時、当てのない放浪に疲れ果てた私は、まだ開いていない駅の外にあるベンチに腰掛けていました。

人通りもまばらでしたが、そこに1人のご老人(70歳は超えているように見えました)が「こんな時間になにしてるの?」と話しかけてきました。

肌寒さを感じる時期には不釣り合いな軽装をしていた私を見かねたのかもしれません。

駅前のベンチに座っていたら、声をかけられて...(画像はイメージ)
駅前のベンチに座っていたら、声をかけられて...(画像はイメージ)

その人は20代くらいの男性を3人連れていて、私が今までの経緯を吐き出すように話すと、そのうちの1人に「これでコーヒー買ってこい」と指示。

お連れの方は「ハイ!」と大きな声で返事をすると、小走りで自販機まで走っていきました。

その間に、ご老人は私に言いました。

「今ここでお前にお金をあげることはとても簡単だけど、それだとお前がダメになっちまう」

そして、駆け足で戻ってきたお連れの人から受け取ったホットコーヒーと一緒に、1000円だけ下さって、「若いやつがダメになる姿は見たくない」とその場を去っていかれました。

頂いたコーヒーはとてもあたたかく、自然と涙があふれてきました。

あの時貰ったコーヒーの温かさ(画像はイメージ)
あの時貰ったコーヒーの温かさ(画像はイメージ)

それから数年後、新聞を見ていたら地元の有力者の訃報が掲載されていました。そこには、見覚えのあるご老人の顔が。

当時は空腹と疲労でお礼を言うこともままなりませんでしたが、頂いたコーヒーの温かさは忘れられません。

今では小さいながら、会社を経営する立場にいます。あの時は、ありがとうございました。

誰かに伝えたい「あの時はありがとう」「あの時はごめんなさい」、聞かせて!

名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。

Jタウンネットでは読者の皆さんの「『ありがとう』と伝えたいエピソード」「『ごめんなさい』を伝えたいエピソード」を募集している。

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(※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談を編集して掲載しています。あらかじめご了承ください)

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