「帰ってこない夫を待つのに疲れ家出した私。息子を抱いて座り込んでたら『赤ちゃんがかわいそう』と言われて...」(愛知県・50代女性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Uさん(愛知県・50代女性)
その日、Uさんは幼い息子を連れて家出をし、当てもなく歩いていた。
やがて疲れて座り込んだ店先で、彼女に声をかけてきたのは......。
<Uさんの体験談>
待てど暮らせど帰ってこない夫を待つことに疲れた私は、ある日生後2か月の息子だけを連れて家を出ました。
しかし、親の反対を押し切って結婚した私は実家に帰ることもできず......あてもなく彷徨い歩くしかありませんでした。
「あなたはいいけど......」
やがて歩き疲れてしまい、あるお店の前に座り込みました。するとカランカランと音が鳴り、床屋さんのおかみさんが出てきて、こう言ったのです。
「あなたはいいけど、赤ちゃんがかわいそうよ。中に入りなさい」
そんな風に優しく諭してくれたおかみさんのお言葉に甘えて、私は床屋の中に入らせていただくことに。そして、きれいなグリーンの緑茶を出していただきました。
「好きなだけいていいから」
おかみさんのその一言で、私は張り詰めていた糸が切れたかのように、涙が後から後から溢れて止まりませんでした。
そうしてしばらくして泣くだけ泣ききったら、すっきりしました。深々とお礼をし、息子を連れて絶対にお礼に来ようと思いました。
「あのひと時のおかげで今の私と息子がいます」
ただ、それからなかなかお礼に行けずに、行動に移そうとしたときには数年が経ってしまっていました。その頃にはもう場所の記憶もあやふやで、床屋さんということだけをたよりに探しましたが、ついに見つけられず......。
もう、26年も前のことになります。ご健在かもわかりませんが、今ここで改めてお礼を言わせてください。
その節は本当にありがとうございました。あの一言、あの一杯のお茶、あのひと時のおかげで今の私と息子がいます。
心から感謝しております。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
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