「すっごいディストピア飯」 SF感がすごすぎる「漬けマグロ風こんにゃく」が話題に→食べた瞬間、記者が叫んだ言葉とは...
「漬けマグロっていう名前の味の概念を食べてる感覚」
そんなつぶやきと共に投稿された不思議な食べ物がツイッターで注目を集めている。
赤くてつやつやしたものの上に白っぽい粉が乗っている。
これは、Vtuberのヤケクソうさ子(@USAKO_YAKEKUSO)さんが2022年9月18日に投稿した画像。「漬けマグロの概念を食べてる感覚」と表現していることからも分かるように、本物の漬けマグロではない。
これは「マンナン漬けまぐろ」という商品。なんと、こんにゃくで作られた漬けマグロ風の食べ物だ。
こんにゃくが漬けまぐろの味に......? にわかには信じがたいが、ヤケクソうさ子さんは「味がほんと漬けマグロ」ともつぶやいている。
「近未来を感じる」
この「マンナン漬けまぐろ」に、好奇心旺盛なツイッターユーザーたちが盛り上がった。寄せられたのは、こんな声だ。
「面白い商品」
「え、めっちゃ食べたい」
「大人の知育菓子...!」
「すっごいディストピア飯(笑)」
「荒廃したSF世界の合成食料っぽさある」
Jタウンネット記者が9月20日、投稿者のヤケクソうさ子さんに話を聞くと、「サイバーパンク2077といった未来が舞台のSF作品が好きなので、マグロをコンニャクで作っちゃうってなんか近未来を感じる!と感じて買いました」と購入の経緯を教えてくれた。
その上で、味と色以外の部分――食感や質感からはあまり「マグロ」を感じられなかったものの、「おいしかったです。ちょっと無機質な見た目も未来っぽいなニヤニヤしちゃいました」と述べる。
それにしても、なぜ「漬けまぐろ」味のこんにゃくという不思議な存在が生まれたのだろう。そこにはどんな狙いが......?
Jタウンネット記者は「マンナン漬けまぐろ」を販売しているハイスキー食品工業(本社:香川県木田郡)にも取材した。
「ディストピア飯という発想がなかったので...」
元々、同社では業務用の「こんにゃくの寿司ネタ」を開発しており、「漬けまぐろ」はその中の1つだった。
「当時、海外で和食の寿司が健康的なイメージで人気が高まったことと、国内だけでなく、海外でもまぐろを使用する量が増えて、マグロがいずれ枯渇するのではないかといった問題が出始めてきました。
そこで、低糖質・低カロリーのこんにゃくを素材としたヘルシーなマグロを表現してみようと考えマンナン漬けまぐろを開発しました」(ハイスキー食品工業)
そして2013年11月、この業務用の寿司ネタをより美味しく、手軽に食べられるように進化させたものが市販されるようになった。それが現在の「マンナン漬けまぐろ」の始まりだったという。
「食感」は本物のまぐろと比べながら、こんにゃく粉の配合を0.1%単位で細かく調整し、様々な材料を混ぜるなど試行錯誤。あらゆる天然色素を組み合わせ、新鮮なまぐろと比べても遜色がない「色」も再現。そして、特許を取得した独自の技術を利用してこんにゃく特有のアルカリ臭は取り除き、わさびパウダーと合わせた時に丁度良い味になるようタレに漬け込んだ。
ハイスキー食品工業はツイッター上で「マンナン漬けまぐろ」が話題となっていることを受け、次のようにコメントしている。
「最初、何が理由で話題になっているのか分かりませんでしたが、投稿者様のコメント欄や引用ツイートを見ているとディストピア飯、ニンジャ飯といったワードが沢山出てきたことでなるほど!と思い、笑ってしまいました。 同時に弊社商品に皆さまが興味を持っていただいたことに非常に感動しました。
色々なテーマで開発をしておりますが、ディストピア飯という発想がなかったので、今後の開発の良いヒントになるかもしれません(笑)。
マンナン漬けまぐろは、本物と比べてまったく一緒かと言えば決してそうではないと思いますので、カニとカニ蒲鉾ように、ゆるーい気持ちでとらえていただき、これはこれであり?と思って楽しんでいただければ幸いでございます。もちろんディストピア飯としてご利用いただくのも大歓迎です」
マグロとは、こんにゃくとは、何だったのか
Jタウンネット記者も、「マンナン漬けまぐろ」を食べてみることにした。
ボウルに漬けダレごと「まぐろ」を出すと、透明な器に盛ったからか、黒蜜に入った寒天のスイーツのようにも見える。
ただ、香りはちゃんと醤油風味。美味しそうな匂いで、こんにゃくの臭みはない。
そこに特製わさびパウダーを投入し、よく混ぜたら完成。ちなみに混ぜる前にそのままちょっとパウダーを舐めてみたら、しっかりワサビだった。ツーンときた。
色はかなりマグロの赤身に近い。ただ、刺身のように盛り付けようとすると、ツルンと滑ってうまくいかなかった。というわけで四角い物体が整然と並ぶ非常に無機質な感じの一皿が完成。確かに「ディストピア飯」感が否めない。
だが、緊張しながらひときれ口に入れた瞬間、記者は思わず叫んでしまった。「まぐろだ!」。
こんにゃくだとわかっているのに、口の中には漬けまぐろの味が広がっていて、脳が混乱してくる。よく噛んでいるとだんだんこんにゃくの味がしてくるのだが、追加でもうひときれ......とどんどん食べている内に、「まぐろ」とは何なのか、そして、「こんにゃく」とは何だったのか分からなくなってきた。
ハイスキー食品工業によれば、「マンナン漬けまぐろ」は全国のスーパー、ドラッグストア、セレクトショップ、ECサイト等で販売中(※地域によっては取り扱いのない場合もあり)。
果たしてどれほどまでに「漬けまぐろ」なのか。気になった人は自らの舌で確認してみてほしい。