「混みあう駅の階段を、手を繋いでゆっくり降りる幼い子供たち。大工風の男性が2人の前で手を広げ...」(東京都・40代女性)
シリーズ読者投稿~忘れられない「あの人」と~ 投稿者:Sさん(東京都・40代女性)
Sさんはその日、7歳と3歳の子供たちを連れて実家に帰ろうとしていた。
目指すは上野駅の新幹線乗り場。Sさんには大きな荷物があったので、上の子に下の子の手を引いてもらっていたのだが......。
<Sさんの体験談>
私は40代半ばのシングルマザーで、アメリカ・サンフランシスコに住んでいます。
今から6~7年程前、当時7歳と3歳の子供を連れて実家に里帰りしたことがありました。
これは、12時間のフライトを経て朝方に羽田空港に帰国した私たちが、モノレールや山手線を乗り継ぎ、上野駅の新幹線乗り場に向かっている時の話です。
駅の階段を下りていると...
私はスーツケースを運ばなければならなかったので、上の子に下のこの手を引いてもらうことに。
下り階段で荷物を引きずりながら、前を歩く子供たちにゆっくり降りるように指示しているとき、30代くらいの大工さんらしき男性が、私たちを見ていることに気付きました。
その人は無言でしたが、危なっかしい幼い2人の子供を気にかけてくださっていることが分かります。
子供たちの少し前に行っては振り返って様子をうかがい、混みあう階段で通行人と子供たちがぶつからないように、手を広げ構えながら歩いていました。
3歳児に合わせて歩いていたので、私たちが階段を降りるのにはとても時間がかかったのに、その人はそれを、階段の上から一番下まで続けてくれたのです。
そして、子供たちと私が無事に階段を降りきったのを見ると、走って行ってしまいました。
無言の思いやりに感謝
その時、会釈くらいしかできなかったことを、ずっと後悔しています。
彼が無言だったのは、自分の服装で子供たちを怖がらせてはいけないと考えたからかもしれません。今でもその無言の優しさ、言葉以上の思いやりを思い出します。
あの時、混雑している上野駅のホームで、幼い子供たちに気づき、母親に気づき、子供たちが怪我をしない様に気にかけてて頂いて、ありがとうございました。
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