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共通項も多いけど...方向性が全然違う! セブン&ローソンに登場した名店再現系「沖縄そば」を徹底比較

オサーン

オサーン

2022.08.14 11:00
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マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界

第八十八回 東洋水産 沖縄名店のカップ麺「浜屋」と「てぃあんだー」のカップ麺

文・写真:オサーン

カップ麺ブロガーのオサーンです。

「ご当地カップ麺」の連載の第八十八回目となる今回は、沖縄そばの名店「浜屋」と「麺処 てぃあんだー」の味を再現した東洋水産のカップ麺をレビューします。

前者はセブン-イレブン、後者はローソンで手に入れることができます。

東洋水産「浜屋」(左)と「てぃあんだー」(右)のカップ麺
東洋水産「浜屋」(左)と「てぃあんだー」(右)のカップ麺

コンビニ限定の「沖縄そば」名店カップ麺2品

夏休みの旅行先として人気の沖縄。今年の夏は、コンビニで買えるカップ麺で沖縄旅行の雰囲気を味わってみるのはいかがでしょうか。

沖縄そばは、うどんのような太い麺を豚と鰹のだしを合わせたスープで食べる沖縄の郷土料理。見た目はうどんに近いですが、麺を打つときにはかんすいや灰汁を加られており、製法的にはラーメンに近い存在です。

味はお店によって千差万別で、鰹の和風だしが強いものから、ソーキなど肉を売りにするものまで様々なスタイルが。

そんな沖縄そばについて、セブン-イレブンで「浜屋」、そしてローソンで「麺処 てぃあんだー」の味を再現したカップ麺が発売されました。

それぞれ沖縄そばの名店というだけでなく、どちらも東洋水産によるタテ型カップ麺で、発売日も近いしているという共通項があります。

これは何かしらの強い意図を感じざるをえませんよね?

私は勝手にその意図を読み取らなければ、と使命感に駆られました。そして、2つを食べ比べてみることにしたのです。

「浜屋」は「豚と鰹の旨味」
「浜屋」は「豚と鰹の旨味」

セブンで買えるカップ麺が再現している「浜屋」は、沖縄・北谷町にあるお店で、創業から40年を超える地元民にも観光客にも愛される存在です。

パッケージに書かれているのは「豚と鰹の旨みを利かせたあっさり塩味スープ」という、沖縄そばのイメージ通りの説明です。

「てぃあんだー」は「鰹と煮干の旨み」
「てぃあんだー」は「鰹と煮干の旨み」

一方、ローソンで買えるカップ麺が再現した「麺処 てぃあんだー」は、沖縄・那覇市にある沖縄そばの人気店。

「てぃあんだー」とは「手の油」という沖縄の言葉で、「愛情を込めて丁寧に作る」という意味があるとのこと。ゴルフ好きの店主が10アンダーで回った自慢をしているわけではありません。

パッケージには「鰹と煮干の旨みを利かせた、コクのある塩味スープ!」と書かれており、「浜屋」に比べると魚寄りの味なのだろうと想像できます。

同じ「沖縄そば」でも見た目がずいぶん違う!

どちらも東洋水産星のタテ型カップ麺で、まったく同じ大きさのカップ、麺量も70グラムでまったく同じです。

兄弟どころか、まるで双子のような2品となっていますが、栄養成分を見るとカロリーや脂質など全体的に「浜屋」の数値が高め。

「浜屋」(左)と「てぃあんだー」(右)の内容物
「浜屋」(左)と「てぃあんだー」(右)の内容物

別添袋はどちらも「後入れ特製スープ」1袋ですが、カップに入っているかやく類が異なっており、「浜屋」(左)はたまご、「てぃあんだー」(右)は紅生姜が特徴的。

「浜屋」はたまごが特徴的
「浜屋」はたまごが特徴的

「浜屋」は、表面に油脂が浮いた白濁のスープに、太くて幅広の油揚げ麺と、豚肉、たまご、ネギが合わせられています。

黄色いたまごと緑のネギの存在が視覚的にアクセントになっており、色鮮やかです。

「てぃあんだー」は紅生姜入り
「てぃあんだー」は紅生姜入り

一方の「てぃあんだー」は、澄んだ茶色のスープに、太め幅広の油揚げ麺と、豚肉、紅生姜、ネギが合わせられています。

スープの濃い色と紅生姜の赤が特徴的で、「浜屋」に比べると色調は少し暗めでしょうか。

豚肉やネギなど共通部分も多そうですが、同じ「沖縄そば」でも両者ずいぶん見た目が異なっていることがわかります。

「豚の浜屋」と「鰹のてぃあんだー」

「浜屋」のスープ
「浜屋」のスープ

「浜屋」のスープに浮いているのは、豚脂主体の油脂。

豚脂とベースの豚骨が合わさって豚の旨みが全開の塩味スープで、豚骨ラーメンに近い味と言えるかもしれません。

豚の甘みとこってり感が際立っている一方で、沖縄そばのもう一方の特徴である鰹だしはあまり強くありません。

具のたまごの甘みが、スープの甘さをさらに増幅させていました。

「てぃあんだー」のスープ
「てぃあんだー」のスープ

「てぃあんだー」のスープは澄んでおり、鰹の強さからか濃い褐色になっています。

鰹と煮干しのだしによって魚介が強いのに対し、豚は弱め。

エッジの立った魚介に加えて具の紅生姜のキレも強いため、輪郭のハッキリした味わいとなっています。

同じ沖縄そばのスープでありながら、かたや豚骨や豚脂主体でこってりまろやか系、かたや魚介や紅生姜で輪郭がハッキリした味わいで。沖縄そばじゃなければ、豚骨ラーメンと魚介ラーメンとか、まったく別の分類になってしまいそうです。

沖縄そばの麺は再現が大変?

「浜屋」の麺
「浜屋」の麺

スープや具では違いがハッキリしている一方で、麺はどちらも太くて幅広、縮れのついた油揚げ麺が使われています。

実際にお店で食べると、沖縄そばの麺はちょっとボソボソした独特な食感が特徴的ですが、今回の2品に限らずカップ麺で食べるとそれほどの特徴は見いだせません。

ともすれば、うどんと何が違うのかよくわからなくなります。

「てぃあんだー」の麺
「てぃあんだー」の麺

ただ、今回の麺にはうどんでは使われない「かんすい」が用いられており、少し黄色っぽく、うどんと差別化されています。弾力が重視されるうどんに比べると歯切れが良い食感でした。

とはいえカップ麺で沖縄そばの麺を再現し、うどんと差別化するのは大変そうです。

両商品ともスープがあっさりしているため、スープより太い麺が勝ってしまうバランスですが、その中でも「浜屋」は豚脂のまったり風味、「てぃあんだー」は鰹と紅生姜のエッジがしっかり感じられ、麺とスープの相性は悪くありませんでした。

同じ「沖縄そば」でも対照的な2品

相次いでコンビニ限定発売された「沖縄そば」名店の味を再現した2品は、「浜屋」は豚骨ラーメン寄り、「てぃあんだー」は魚介ラーメン寄りで、同じ沖縄そばでも味の方向性はまったく異なっていて対照的でした。

実際のお店でも、豚だしと鰹だしのバランスは様々で、むしろソーキ(軟骨)やてびち(豚足)に力を入れているお店もあります。

今回の2品を食べ比べてみることで、自分はどんな味の沖縄そばが好きなのか、いつか行くかもしれない旅行の際にどんな沖縄そばを食べれば良いのか、その方向性が見えてくるかもしれません。

筆者:オサーン

カップ麺ブロガー。十数年前に出会った「日清麺職人」のおいしさに感激したことがきっかけでブログを開設。「カップ麺をひたすら食いまくるブログ」で毎週発売される新商品を食べて毎日レビューしています。豚骨スープとノンフライ麺の組み合わせがお気に入りですが、実はスープにごはんを入れて食べるのが最も至福の時です。 Twitter(@ossern)
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