電車の下から、見ているよ... JR西日本に登場した啓発キャラクターがたまらん可愛さ
「めちゃめちゃ可愛いです! この子のデザインをした人は、分かってるな」
「これは攻めましたなぁ、かわいい」
「こんな可愛い子に毎日会えて幸せ」
あるキャラクターに、ツイッター上でこんな声が寄せられている。
称賛を浴びまくっているのは、「スキマモリ」というキャラクター。多くの人をとりこにするその姿がこちらだ。
ヤモリを彷彿とさせるフォルムに、紫とピンクの毒々しいカラーリング――ちょっと怖いような気もするけど、なぜか愛嬌がわいてくるなんとも不思議なキャラクターなのだ。
スキマモリの公式ウェブサイトによると、名前の由来になったのは「隙間」と「ヤモリ」と「隙間守り」。性格はマイペースで、うれしいとダンスを踊り、寝るときは丸くなるといった細かい設定もつけられている。
そして、体長14メートルと超大型で、ホームと電車の隙間を住処としているという。
モンスターや妖怪を仲間にできるゲームに登場しそうな感じだが......スキマモリを生み出したのは、JR西日本と大阪市立大学、大阪市立デザイン教育研究所の共同プロジェクト「こどもスキマ転落防止プロジェクト」である。
ポスターだけでなく、絵本まで
スキマモリは、子供がホームと列車の隙間に転落するのを防ぐ取り組みに活用されており、ポスターやデジタルサイネージに使われている。さらには、スキマモリが登場する絵本まで制作されている。
しかし......。ツイッターユーザーからは大きな反響を得ているとはいえ、子供に向けての注意喚起をするには少し怖すぎやしないだろうか。はたしてどういった意図でスキマモリは誕生したのか。
2022年1月20日、Jタウンネット記者はJR西日本の近畿統括本部総務課の広報担当者に話を聞いた。
スキマモリが初めて登場したのは、21年9月。天王寺駅での実証実験でのことだった。そこに至るまではホームと電車の隙間への転落を防ぎたい思いがあったようだ。
「JR西日本の大阪支社の管轄で過去3年間に隙間転落が約100件あり、3割が10歳未満のお子様のものでした。以前から転落防止の注意喚起をするポスターの掲示をしていたのですが、中々認知が進まず、効果も得られませんでした」(担当者=以下同)
そんな状況の中で、「子供に認知してもらうこと」を目的に考案されたのがスキマモリだったという。
グッズ化の要望も出ているが......
「子供にも転落防止を認知してもらうために『怖いけどかわいい』キャラクターを作ろうと市立デザイン教育研究所の学生さんがアイデアを出しました。その後、スキマモリのデザインを市立デザイン教育研究所の学生さんが考えて完成しました。
なぜスキマモリがこのような見た目になったかというと、子供は怖いものに興味がある。モンスターや妖怪のようなデザインにして子供の目につきやすいものを目指しました」
当初は天王寺駅の実証実験だけで姿を見せていたスキマモリだったが、「かわいい、面白い」といった反響がJR西日本に寄せられ、今では大阪エリアはもちろん、京都エリアや神戸エリアの大阪支社管内の主要な駅で掲出されている。
また、ツイッターに寄せられたスキマモリの反響には、
「スキマモリのキーホルダーとか出ないかな」
「グッズ展開希望が多いみたいなので是非出してくれませんかねぇJRさん!」
など、商品展開を望むものもある。そこで担当者に今後のスキマモリの展開を聞くと、
「今のところグッズ化の予定はないです。今後の反響次第です」
とのことだった。
子供の隙間転落の救世主としてスキマモリが頑張れば、本当にグッズ販売される日がくるかもしれない。
(1月24日16時53分追記)
記事初出時、本文中の名称に誤りがありましたので一部修正しています。