透かして見える、紅い宝石「虫鬼灯」 自然界が生んだ職人技に見惚れちゃう
暑さ寒さも彼岸までというが、秋の彼岸も近づいた2021年9月15日、次のような写真がツイッターに投稿され、話題となった。
「これは見事な虫鬼灯。採ってきて玄関に飾った」というコメントが付けられている。銀の細工のようにも見える覆いの中の、紅い宝石が鮮やかだ。
実はこれ、ほおずきの萼(がく)を虫が食べてしまったあとの様子で、「虫鬼灯」と書いて、むしほおずきと呼ばれているらしい。まさに玄関に飾りたくなる逸品である。
「Yupon」(@yupon_U)さんが投稿したツイートには、6万2000件を超える「いいね」が付けられ、今も拡散している(9月21日現在)。
ツイッターには、こんな声が寄せられている。
「葉脈だけを残した少し寂しい秋の気配......透かし見る朱色が見事に提灯の様です」
「中学生の時に、この虫鬼灯を切り絵にしたのを思い出しました」
「これ虫がやってたんですね! 枯れたらこうなるのかと思ってました」
「すんごーい こうなるんやね すんごーい 自然って不思議だな~」
感嘆の声が尽きることがない。Jタウンネット記者は、投稿者「Yupon」さんに詳しい話を聞いた。
テントウムシが作る、見事な「虫鬼灯」
投稿者「Yupon」さんがこの「虫鬼灯」を発見したのは、9月15日、東京都の自宅の庭だったという。
「実を覆っている萼の部分は縦3センチあまりです。ホオズキはいつの間にか庭に生えていたもので、虫がついても放任しているため、毎年半分くらいの実はこんな風になります。ただここまで完成度が高いのは珍しいので、見つけたときはうれしかったです」(「Yupon」さん)
見事な細工をしたのは、どんな虫なのだろうか?
「ニジュウヤホシテントウなどに萼を食べられて、脈だけがレース状に残ったホオズキです」と「Yupon」さん。
この珠玉の逸品を作った職人のうちの一種・ニジュウヤホシテントウは、その名の通りテントウムシの一種。ナス、ジャガイモ、トマト、そしてホオズキなど、ナス科の植物の害虫として知られる。他にも、カメムシなどが好んでこのガクの部分を食べるそうだ。
ツイッターには、網の中で輝く実をみて、昔を懐かしむユーザーも複数いた。
「昔、庭にあった鬼灯を頑張ってうまいこと実揉んで皮取って吹いてたの思い出した めっちゃ懐かしい」
「昔は中の種を上手くとって口の中で膨らまし器用に音を出して遊ぶ女の子たちがいましたね」
「私は母のように口に入れて鳴らすことが出来なかった思い出が有ります...これはこれで綺麗ですよね」
ほおずきの実は中身を取り除いて空っぽにし、風船のように膨らませ、口に含んで音を鳴らす子供のおもちゃとして楽しまれていた。
今では懐かしい貴重な習慣になってしまったかもしれない。