「杖をついて歩く父の前に、カップ麺の空容器。跨ごうとして転んだところを、通りすがりの男性に...」(東京都・50代女性)
自宅まであと30メートルのところで...
ガンを発症し、晩年は怪我も多く、入退院を繰り返していたというNさんの父親。娘とは、離れて暮らしていた。
心不全でこの世を去ったのは3年前。「自分史を書くぞ」と張り切っていた矢先のことだった。
「(入退院を繰り返していても)気持ちだけは前向きで、生前はサラリーマン時代の話から、尊厳死の話まで、私にいろいろ聞かせてくれて、いつも私を励ましてくれて、大好きな父でした」(Nさん)
足に骨肉腫が出来て手術をしていたため、杖をついて歩いていた彼は生前、よく1人で近所を散歩していたそうだ。
ある日のこと。いつものように散歩に出ていた彼は、自宅まであと30メートルといったところで、尻もちをついて転んでしまった。
「カップ麺の空の容器が落ちていて、それを杖をつきながら跨ごうとしてバランスを崩したようです。杖を使って歩く老人が一度尻もちをついたら、1人ではなかなか立ち上がれません」
Nさんの父親は、しばらくそのまま座りこむしかなかったという。